ありがとうの家「住まいながらの見学会」にて

「住まいながらの見学会」にお邪魔しました。

arigatou-interview_1 Mさん邸に伺ったのは、「住まいながらの見学会」の開催日。 来場いただいた木材供給会社の社長さんと施工会社の社長さんにも、お話に加わっていただきました。 お二人とも「ありがとうの家」の家づくりに携わられています。
出会いから家づくりまでの思い出や、木の家への思いなど和やかな雰囲気の中、語っていただきました。

以下、
夫・妻: 「ありがとうの家」施主 Mさんご夫妻
Kさん: 木材供給会社 有限会社木童社長 木原巌さん
Aさん: 施工会社 有限会社あかい工房社長 赤井一隆さん

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Kさん:
予定通り、菜園を始められたんですね。
夫:
そうなんです。今は、まださつまいもだけですが、これからどんどん充実させていこうと思ってます。
Aさん:
心配されてた床ですが、大きなヘコミや傷は見当たらないですね。
まだ住まわれて半年なので、無垢板に遠慮して生活されてるのかな?
妻:
気にしてたのは、本当に最初だけでしたよ。
ヘコミは結構たくさんあるんです、例えばここにも…。
Aさん:
ほんとですね。でもこれくらいだと、アイロンと濡れタオルを使って簡単に直せますよ。
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ありたい姿

― Mさんのお家づくりは、Kさんにお会いされて、現実的に動き出したとか。

夫:
そうですね。
Kさん:
私がお会いするまで、工務店やハウスメーカーには、いくつほど回られてましたか?
夫:
確か、5つ、6つでしょうか。
Kさん:
そうでしたか。
お人柄が真面目な方に多いのですが、家を建てたいからいろんな見学会や勉強会に行かれて、でも、踏ん切りをつけられずにさまよい続けている、という。
私たちは、住宅渡り鳥、なんて呼んでますが(笑)。
夫:
ご縁がなければ、今でもさまよってたかもしれませんね(笑)。
 
運も良かったと思うのですが、Kさんにお会いしてから2週間で土地が決まりました。
私たちは静かな環境で駅と実家に近い土地を探していたのですが、ご紹介いただいた不動産屋さんに、ぴったりなところを見つけていただいて。
 
芦田さんとは、Kさんを介してお会いしました。私たちの家づくりの要望に合うのは彼しかいない、Kさんがとおっしゃって。
Kさん:
私の仕事は、あくまで材木を売ることで、いわゆる住宅プロデュース業ではありません。
なので、誰にでも紹介できるわけではないのですが、ピンと来ると、外れることがないです。
芦田さんに任せておけば安心だし、必ず合うと。
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― なぜそう思われたのですか?

Kさん:
Mさんご夫婦が、たいへん勉強熱心でらっしゃった。
それに加えて、こうありたい、という姿をお持ちだったんですね。
夫:
今から思うと、おぼろげながら、ですけどね。
Kさん:
例えば、木の家、健康に過ごせる家、寒くない家、そのあたりは一般的なんですが、自然の力を最大限利用する、車にも乗らない、テレビは要らない、と。
何でも欲しがるのではなく、独自の価値観をお持ちでした。
Mさんご夫婦はおもしろいな、レベルの高い家づくりが出来るな、と感じたのを覚えています。
それで、付き合いのあるいろんな建築家さんや設計事務所さんに思い巡らせて、Mさんご夫婦には芦田さんだな、と。
Aさん:
やりたいことがある、というのは大切ですね。
家づくりでは、どうしても経済的な制約に囚われがちです。
施工する側の勝手な意見ですが、金額の高い・低いを比べて、これだといくらであれだといくら。じゃあその中間で、こんなもんかな、というのは面白くないんですね。
住まい手が求めておられる以上のことは、私たちがしたくてもできないんですが。
 
世間では、たった9ミリの板を上から貼っただけでも「木の家」と呼んでしまうんです。それぞれの価値観といえばそれまでですが、Mさんご夫婦は、それが本当に「木の家」かな、とご自身で問い、考える姿勢をお持ちでしたね。
妻:
私は、テレビを観たいときもありますよ。
そういうときは小さいので観てます。
夫:
ちゃんとしたのを観ようとすると、アンテナ工事からしないといけないですね。

― 徹底されてますね!

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家づくりを垣間見るために産地を見学

― 建築前には、芦田さんも含めて、みなさんで宮崎まで木材の産地見学に行かれたそうですね。

Kさん:
そうなんです。でも、口説き落とすための接待旅行にお連れしたわけでないんです。 漠然と林産地の風景を見て回っても仕方ないですから。 建てることが決まってから、Mさんご夫婦を産地見学にお連れしました。
 
現地の山、森、木をご自身の目でご覧いただきたかったのは、もちろんですが、私はそれよりも、家は人が作るんだ、ということを最初に知っていただきたかった。
あなたの家の建てるために、たくさんの人が働いておられます。 そこで働く人たちは、あなたの家の建てるために、木を切り、運び、加工しておられる。その一生懸命な姿を見ていただくためにお連れしたんです。
 
家を建てるにはたくさんお金がかかります。 それは、材料費もさることながら、木を植え育てる人、木を切り加工する人、図面を描く人、施工する人などなど、想像もつかないほどたくさんの人の手が必要だからなんです。 現地に出向いてご覧いただけると、なるほど、とご納得していただける。
私自身も、初めて産地見学をしたとき、とても感動しました。
Aさん:
それに、住む人と家づくりに関わる人たちが、みんなで顔を合わすことで、やはり自然と気合いが入ってくるんですね。一体感が生まれるといいますか。
木を切り出してる人も、このご夫婦がそこに一生暮らす家に使われる木を今切っているんだ、と思うと手を抜くわけにはいかないですからね。
私も産地見学に行くと、良い仕事をしよう、と心を新たにします。
夫:
素晴らしい体験でした。
ぜひ見たかったし、見れてよかったと思っています。
 
私は仕事でウェブサービスを作っているのですが、それと似てるかもしれません。画面で見えるのはただのウェブページですが、その向こうで、たくさんの人が必死で働いてますからね。
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暖かいこと、畳スペースがあること

― プランニングは、すんなり決まりましたか?

夫:
最初のプレゼン時には、芦田さんに設計案を3つ出していただきました。
妻:
私は、ウッドデッキが広くとれる案に魅力を感じていました。
子供が生まれることもあって、そこで遊ばせてるところを想像したりして。
夫:
でも話をよく聞くと、いちばん光を取り込んで暖かいのは別の案だったんですね。 私が自然の力を効率良く使う家にしたかったのと、妻がとにかく寒いのが苦手だったので、暖かい家の案を採用しました。 芦田さんオススメのプランは、最初からそれだったんですが。
 
光をほんとうによく取り込むので、おかげで明るいし、暖かいし、光熱費は低く抑えられてます。 日が長くなったとか短くなったとか、四季の変化が自然と感じられるのもいいですね。
妻:
大きな吹き抜けは、生活する家族の気配を感じられるのがいいです。
 
夫は自宅で仕事をすることが多いのですが、あまり仕事の邪魔になるとかは気にせず声を掛けてます。 彼の返事の様子で、今は忙しいのかなとか、感じ取ってうまくやってると思います。
そういえば、今まで聞いたことなかったけど、そのへんは大丈夫?
夫:
問題なく、仕事に集中できてますよ。
妻:
それなら、よかった。
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妻:
私はもともと、戸建てを建てたいと強くは思ってなくて、注文住宅で木の家を建てたい、と言い出したのは、夫でした。私は彼に賛成した感じです。
 
私が欲しかったのは、畳のスペースです。ひとつは、洗濯物を取り込んで畳むところ。もうひとつは、リビングの畳スペースです。 無垢板のリビングに畳スペースが繋がった感じが、前から大好きでした。夫も、それはいいね、といってくれました。
他の部分もそんな感じで、私たちの要望としては、お互いが出し合って自然に決まっていきました。特に意見の擦り合わせが必要だった記憶がありません。
 
夫は、我が家が建てられていく様子を芦田さんのブログでよくチェックしていたようです。私は妊娠中で、そんな気にもなれず、現場に足を運ぶこともかないませんでした。
なので、完成して初めて見たときは、テレビ番組のビフォーアフターである、完成お披露目シーンみたいな感じでしたね。
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選択を迫られ悩み考えた末の心地良い我が家

— どうしても予算には限りがあるもので、減額していく過程は、やはりみなさんが苦労されるそうですね。

夫:
それはほんとうに大変でした。
例えば、無くてもよいトビラは無くしました。
それに、ベランダの柵も作らないことにしました。 当初は作る予定だったんですが。あんまり視線が気になるようなら後で付ければいいね、と。
妻:
柵を作らないことは、私も少し心配だったんですが、住んでみると、お隣さんと自然と挨拶する機会が増えて、親しくなれました。 コミュニケーションを取るきっかけになって、柵がなくてよかったかもしれません。
お隣さんにも恵まれましたね。
夫:
全部が全部、無くせば良いというものではもちろんなくて。
2階の壁紙も貼らずにおいて、子どもが大きくなってからにしようかとも考えてましたが、さすがに殺風景だったのでやっぱり貼ってもらうことにしたり。 蓄熱暖房やヒバを張ったお風呂は、どうしても譲りたくなかったり。
 
減額項目として上がってきたのは、100項目くらいあったと思います。ほんとうに必要かどうか、しばらく悩み続けました。
自分の価値観、大げさに言うと、人生でお前は何を選びとるのか、と誰かに迫られてるようでしたね。
Kさん:
イエスかノーか、ドンドン突き付けられてくる感じだったんではないですか?
夫:
そうです。
芦田さんに知恵を絞っていただいて、アドバイスをもらいつつ、進めていきました。
Kさん:
使う材料の質を落とすと、簡単に予算を大きく削ることができるんです。でもそれをしてしまうと、ろくなことにならないですね。
Aさん:
材料の質を変えると、設計のディティールも変わりますからね。
例えば、この家のキャットウォークは、ヒノキです。だからこの細さが実現できます。でも、これがスギならもっと太く作らないといけません。
Kさん:
だからヒノキを選ばれたんですか、なるほど。
Aさん:
他にも、階段は、前から見ると薄く、でも後ろから見るとしっかり厚く、仕上げてありますね。
それぞれの木の特性を見極めて、強度を保ちつつ、見栄え良くなるように考え抜いて設計されています。そういう工夫の積み重ねがが、この家全体から受ける繊細な印象を作っていると思います。
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Aさん:
このお家に来られる方も、長居してしまう家ではないですか?
夫:
それはあるかもしれません。
Aさん:
ツルツルピカピカの、かっこいい家もいいんですが、すぐに、ぼちぼち帰ろうかな、という気分になりますよね。(笑)
料理で言うと、おふくろの味、といいますか。ほっこりしてしまうんですね。
Kさん:
木ならではの、有機的で不連続な独特のゆらぎの力がありますね。
夫:
私は、仕事柄、無機的なものに囲まれていることが多いので、我が家は居心地良くて、ほっとします。
 
私たちは、ボランティアの宿泊提供コミュニティを利用していて、この家には海外から外国人の方も泊まりに来られるんですが、そこでもかなり高い評価をいただいています。
ヒバのお風呂が気持ち良いとか、家じゅうが明るいとか言っていただいて、それは、私たちのホスピタリティというより、それは我が家の家の評価ではないかと思ったりしてます。(笑)

― それだけではないでしょうけどね。

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木のぬくもりと会話が存分に楽しめるリビング

― ところで、お住まいで一番気に入ってるところはどこですか?

夫:
何と言っても、リビングの掘りごたつですね。
人をたくさん招いても、みんなで座ってもらえます。そのまま、おしゃべりして、みんなで食事するのが楽しいです。
テーブルにしてしまうと、椅子の数とか気を使うことが増えそうです。
妻:
私も掘りごたつが気に入ってますね。お客さんにも喜ばれてます。
掘りごたつに入らずに畳スペースに座っておられても、目の高さが同じなので、自然に会話ができます。
それに、床に座ることで、木のぬくもりが、とても強く感じられるんです。
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― これから家を建てる方に、何かアドバイスがあれば、教えてください。

夫:
家づくりにでは、たくさんの選択に迫られます。 自分の価値観の見直しと再発見の連続です。
どういう生活をしたいのかをはっきりさせて、 本当に必要なところを見極める。何でもかんでも付け加え過ぎないほうがよいです。 そのためには、家や暮らしを長い目で見てみることが必要なんじゃないかと思います。
妻:
私たちは、どうしても譲れないポイントは絞って、とにかくシンプルに選択していくことを心掛けましたね。 途中でやりたいことはたくさん出てきますが、こだわるのか、まあいいかと言えるところなのかを分けてました。
私たちは、見た目や照明は、どちらでもいいです、と言うことが多かったように思います。せっかくプロの方がいて任せられるんですからね。
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妻:
私たちは、家の構想を練っていたのが、子どもが生まれる前でした。ですので、生活していて、生まれてすぐの子供に適していないと感じる箇所はあります。
でも、子供は成長します。家族も生活も変わっていくものです。
これが正解、というのを追い求めるというよりは、柔軟に変化していける住まいがいいのかな、と思っています。
夫:
家づくりに関わってくださった方々の多くは、紹介を通じて繋がりました。 みなさん、お会いして早い段階から共感することが多く、信頼のできる人ばかりでした。責任感の強さも感じられ、安心して任せられました。
家を建てるという人生の一大事に際して、私たちは幸運に恵まれたとつくづく感じます。それが、私たちの家の「ありがとうの家」の名前の由来です。

— 本日は、貴重なお話をありがとうございました。

聞き手・構成: 芦田成人建築設計事務所ウェブサイト制作チーム(担当:植村)

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