縁望の家「版築ワークショップ」編

「版築ワークショップ」にお邪魔しました。

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せーの、ドスン、せーの、ドスン。
子どもたちの元気な掛け声と、土を叩く大きな鈍い音が、整備中の庭に響きます。叩くたびに、型枠を締め付けている支持材がきしんで金属音を立てます。

わずかな時間でしたが、子どもたちも大人の手を借りて「ホラホイ」で土を突くのを楽しみました。完成後10ヶ月を迎えた「縁望の家」にて庭づくりの一環として開催した「版築ワークショップ」の一幕です。

近畿地方全般の梅雨入りが発表された直後ながら、快晴に恵まれた当日。版築作りのワークショップに参加されたのは、施主のKさんご家族とご親戚のみなさん。ご友人やご両親も見学にお越しになりました。

 

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今回の「住まい手の声 縁望の家 版築ワークショップ編」では、版築の施工のご指導・ご協力いただいた、(有)あかい工房 棟梁の赤井敏貢さん、左官職人の門垣要さんも交えて、作業の合間に伺ったお話をご紹介いたします。

以下、
夫・妻: 「縁望の家」施主 Kさんご夫妻
A棟梁: 有限会社あかい工房 棟梁赤井敏貢さん
M左官: 左官職人 門垣要さん

 

自分たちでやってこそ

― ご苦労さまです。「版築(はんちく)」とは聞き慣れない言葉ですね。

夫:
そうですね、芦田さんからご提案いただくまで、僕たちも知りませんでした。
家を建ててすぐには、庭に手が回らなかったんですが、何とかメドが立って、芦田さんにお庭の設計もお願いしまして。 外からの視線を遮るために目隠しが要るんですが、柵を立てるだけではなく、「版築」という塀も作ってアクセントにしましょう、と提案していただきました。「版築」という言葉を聞いたのがその時が初めてです。
自然のもので作る、というところも面白いですよね。
A棟梁:
そうですね、コンクリートセメントは使わない、いわゆる土の塀です。 真砂土もこの家の近くから調達してきました。
夫:
それに、自分たちも参加できるというのもうれしかったです。
家づくりセルフビルド的なことは何もできなかったので、今回こそはと。
妻:
家づくりに参加した証が残りますし、一生の思い出になりそうで、今日のことは楽しみにしてました。
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A棟梁:
うちの会社の事務所の横にはもう少し大きな版築があります。それを作ったときは、最初一人でやろうかなんて悠長に考えていたんですが、やり始めてすぐにこれは相当厳しいと思って、うちの若い職人を呼び寄せて数人で掛かりました。
 
Kさん、今朝からしばらく作業をしてみていかがですか?自分たちも参加しようと決めたことを後悔されてませんか?(笑)
夫:
実は少し後悔を…、というのはウソです。(笑)
しばらくやってると、手にマメができて潰れました。野球部のことを思い出しましたよ。こんなに大変だとは思わなかったですけど、こういうのは自分たちでやってこそですよね。
 
僕たち夫婦は二人とも教員をしています。子どもたちに教える立場なんですが、机上の空論といいますか、実際の経験が不足しているという後ろめたさのようなものがあって、家を建てる職人さんたちがどんな思いをして仕事されてるかとかを、なるべく体験したいという想いが強かったので、こういう機会を持てて嬉しいです。
 
そういえば、学校のグラウンドで、石灰は水と混ざるとカチカチになるな、と思ってたんですよ。
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A棟梁:
はい、消石灰が接着剤の役割をするんです。
真砂土と消石灰を3:1の割合でモルタルミキサーに入れて、混ぜながら水を加えていきます。
ほどよく捏ねられたものを、型枠の中に均等に、高さ30センチほど入れます。 それを半分の高さになるくらいまで、上から叩くというか、突いていきます。
これを繰り返して、型枠を外せば、今日のところは完成です。
M左官:
明日以降になりますが、完全に乾いてから、足元と天板を色モルタルを塗って整えます。 外向けに水が流れるように傾斜をつけるんです。それで出来上がりですね。

― 土を型枠に入れて突く、というのを繰り返すのは、塀の完成の高さまでですね。何回ほど繰り返せば完成ですか?

A棟梁:
設計では1200ミリとなってますので、8回ですね。

― 8回もですか、それは大変だ。

夫:
でも、やりはじめると、止める人がいないとどこまでもやってしまいそうな感じですよ。
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A棟梁:
これは上腕の、普通の生活では使うことのない筋肉が鍛えられそうでしょう。
夫:
そうですね。
しばらくやってると握力が弱くなって、気を抜くと「ホラホイ」がストンと落ちました。

― 土を突いていく道具が「ホラホイ」ですね。

A棟梁:
はい、ウチでは「ホラホイ」と呼んでます。昔、棟上げに使っていました。
柱の頭を上から叩きたくても叩けないときに、下にいながら上から引っ掛けるように叩くためのものです。
今は鉄製のものがあるので、この木製のはもう使わないんですが、何かで使えるかもしれないなと、置いておいたんです。

 

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住みやすさを優先したプラン

お互いの子育てのお話や、KさんとA棟梁がご趣味とされているマラソンについて話しながら、和気あいあいとした雰囲気で作業は進み、午前中は終わり。お昼休憩には、縁側でみなさんでお弁当をいただきました。

― ところで、Kさんの住まいづくりは、いつごろから始まったのですか?

夫:
一番下の子がまだ生まれてませんでしたから、この子が今2歳なんで、およそ3年ほど前になります。 築55年の4世代が住む実家のリフォームを依頼しました。それは、こちらの都合で中止せざるを得なくなったんですが。

― 実現には至らなかったリフォーム案はいかがお感じでしたか?

夫:
提案してもらって、僕らが住みやすくなることを最優先に設計してくださってるな、と感じてました。
妻:
私たちは、斬新さや驚きより、そこが大事でしたね。
私は、元々ホームページやポートフォリオを拝見していて、落ち着いた感じが気に入っていましたので。
夫:
こちらの勝手な想いを上手に汲みとって具現化してくださってると感心してました。
そのプランでは、土間から繋がるところにバイク用のビルトインガレージがありました。僕が熱望していたんです。

 

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家族と共に変わっていく住まいに

― お庭には鉄棒も建てられるらしいですね。教員をされてるお二人のお庭に鉄棒というのはおもしろいですね。校庭を再現されるのかな、と。

夫:
今の子どもって、懸垂力と逆さ感覚が足りないと思っています。自分の体重を支える経験がないので、信じられないくらい腕の力が弱いんですね。外に遊びに行っても携帯型のゲームやってますからね。鉄棒を作るのは、せっかく自然豊かな環境なので、遊びながら身体を鍛えてもらえたらと思って。
なので、子どもが小さい今だからこそ、庭を作りたかったんです。
 
そこは大切なことだと思っていて、つまり、家も庭も、子どもたちの成長とともに、家族の歴史が刻めるようなものにしたいと思ってるんです。家族の変化とともに変わっていくような。
 
僕の実家は、親がハウスメーカーで18年前に立てた家なんですが、残念なことに、家族の形が変わっていくことを想定して建てられてないんですね。
僕は3人兄弟なんですが、僕ともう一人はほとんど住まずに巣立っていったので、結局使わないままの部屋があったり。
ゆるさがないというか、子供部屋をいくつ、プラス、大人部屋をいくつ、みたいな発想で建てられたんだと思います。
ですので、自分で家を建てることがあるなら、変化していく家がいいなと思ってました。
A棟梁:
案外、家族の変化を受け入れられない作りになってしまってるお家は多いですね。
私は、子供部屋というものは、居心地良くないほうがいい思ってます。特に幼いときは、こもっちゃうより、親の目の届くところで勉強したらいいと。
夫:
そうですね。それに、3人子どもがいるからって、3つ子供部屋作っても、大きくなって、いなくなったら小さい3つの部屋って使いようがないですからね。
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夫:
例えば、この家の1階の和室は、客人が来られたら区切って客間となるんですが、子どもが今ぐるぐる走り回って遊んでいるのが楽しそうなので、普段は開けっ放しです。
 
2階はさらにゆるく作っています。今はみんなで雑魚寝する部屋です。将来的には、そこをゆるやかに区切って使っていこうと考えています。
庭は、子どもの遊ぶ場としての役割を終えたら、バイクガレージにしてみようかな、というのが僕の夢です。
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― なるほど、先々のことまでしっかり考えておられますね。

妻:
それは私たちが考えたというより、芦田さんに教えてもらったことですね。
その点は、ほんとに助かりましたね。
夫:
言葉は悪いかもしれませんが、住まいも朽ちていくのが自然だと思ってます。子どもには、物は大切に扱わないと長持ちしないんだ、と住みながらに学んでほしいというのもあります。
半年に一度、父親がサンドペーパーを使って、下手なりに手入れしていたな、とか。大切にすることを口で教えるだけじゃなくて、一緒に作業することで子どもが覚えてくれてたらいいなと思いますね。
そういうところは、木の家ならではでしょうし、木の家にしてよかったな、と思います。
妻:
私もやっぱり、素足で歩く感覚、スギの気持良さをほんとうに気に入ってます。ツルンとしたいわゆる新建材のフローリングもキレイでいいんでしょうけど、私は断然こちらですね。
M左官:
表面が傷つきやすいのを嫌がる方もおられますけど、スギの床は、ほんとに気持ちよろしいね。
妻:
そうですよね。
うちには3人の小さい子どもがいますから、よく傷つきます。アイロンでの修復がまったく追いつかなくなるのもすぐでした。
でも、この気持ち良さを考えると取るに足らないものですね。
きれいなままで住んでも面白くないというか、夫が言ったように、変わっていくのが自然だし、気に入ってます。
費用も掛かりましたけど、その点は、掛けてよかったです。
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夫:
構想の段階では、これを付け加えたいな、とか、無ければ予算を抑えられるな、というのはたくさんあって、妻と二人でよく話をしました。
芦田さんに相談すると、それがどれくらい費用が抑えられて、家がどうなるか、ということを丁寧に説明してくださいました。
単純に何円プラス、マイナスっていう、オプションを足したり引いたり、みたいな話とは違いました。
妻:
結局は、何年か先のことを考えたら、多少無理しても、と判断することが多かったですね。
妙に細かいところをケチッてもしょうがない、と私の周りで家を建てた人はだいたい言いますけどね。

― Kさんの周りに建築家さんと家を建てられる方っておられますか?

妻:
いや、いないですよ。
夫:
一般的な家にお邪魔すると、きれいだな、新しいな、とは思いますが、どこも同じような家に見えて、住みたいと思えないですね。
妻:
人それぞれですが、自分たちの価値観はそうですね。

 

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遠い景色を望み、人との良縁を望む縁側

午後の作業再開後しばらくすると、作業をするために開けてあった建物側の上半分の型枠も閉じられ、天板を除いて塀全体が型枠で覆われた状態になりました。そして、足場は高い位置に付け替えられました。
3時の休憩も、やはり皆さん縁側に腰掛けて一休みです。

A棟梁:
それにしてもこの昔の縁側みたいな感覚いいですよね。
縁側から家に入ってくるような感じですか?玄関が、玄関じゃなくなるような。
夫:
はい、そのとおりです。子どもの友だちはみんな、縁側からうちの子を呼びに来ますね。
子どもたちがワイワイ言いながら行き来して、僕たちはそれを眺めたり、一緒に遊んだり。外と家とが緩やかに繋がっているような家にしたかったんです。
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― 縁側のアイデアは、どこから得られたんですか?

夫:
ハウスメーカーのモデルハウスで、大きな軒下で、窓二つ分が開く大開口を見て、いいなと思いました。
でも計画段階で、芦田さんに、1年のうちでどれだけフルオープンにする機会がありますか?虫も入ってきて大変ですよ、と。それ言われたらそうだな、と。
妻:
減額案の対象にもなって、結局、L字型で贅沢に開ける形に落ち着きました。
ここを部屋にしたらもっと広くなる、と言う友だちもいますけど、私たちはそうは思わないんですね。
夫:
ちなみに、縁側が部屋より少し下がってるのは、なぜかわかりますか?

― ほんとですね、なんでかなと思ってました。なぜですか?

夫:
部屋の中から見て、窓の縁が見えないようになってるんです。中から外を見ると、景色と柱だけになる。
 
そういうふうに細やかに工夫してくださってるので、L字型で充分開放感があって全然良かったです。
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妻:
軒が大きくて、風が良く抜けるので、縁側が熱くないんですよね。
夏場になると暑くて使えないウッドデッキもあると聞きます。
A棟梁:
デッキは、作るときは夢がいっぱい詰まってたんでしょうけど、そのまま使われずにダメになって消えていく悲しい感じのは、よく見かけますね。

― ここは悲しい感じとは真逆ですね。この特徴的な縁側というのが「縁望の家」というお家の名前の由来にもなってるんですか?

夫:
はい、2つの意味が込められています。
縁側から景色を眺める、ということと、人とのつながりを求める、ということです。僕たちの要望をうまく言い当てられていて、とても気に入ってます。
 
僕は、人生を良い方向に進めていくのは、邂逅(かいこう)といいますか、人とのご縁だと思うんですね。
家を建てるということだけ言っても、芦田さんという建築家さんとの出会いがあり、信頼できる大工さんを連れてきてくださって、成り立つわけですよね。
 
この土地は、僕の地元でないので、僕は新しいつながりを求めているというところがあります。
この縁側は、子どもに限らず、入って来やすいらしくて。いろんな方とここで腰掛けて、お話しします。
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A棟梁:
たくさんの建築家の先生と、お仕事をさせてもらうんですが、芦田さんは、住まい手の側に立つタイプだと思います。
反対のタイプは、家を作品と呼んで、こういう風に住め、といって強制する。 僕はどちらかといえば、そういう強制するタイプの先生と仕事するのは苦手です。
M左官:
施主さんが住むんですから、住みやすいように住まんとね。

― どういう点で、住まい手側に立っているとお感じですか?

A棟梁:
それは、住まい手さんの話をよく聞かれて、現場の人間にわかりやすい図面を描かれるということです。
 
住まい手さんの話を聞いておられるかどうかは、施工中に住まい手さんと少し話をすればわかります。
 
芦田さんとは、長く仕事をさせてもらっているということもあるのですが、いただく図面は、詳しく分かりやすく描かれています。あやふやなところがほとんどありません。
施工する我々の話もよく聞かれて、細かい収まりのアイデアなどを、私から提案して、取り入れてもらうこともあります。
 
大工の世界では、仕事を広く知っておけ、とよく言います。仕事を広く知っていると段取りが見えるので、現場でよく動けて、良い大工になれるという意味です。
それは図面を描く仕事も同じで、芦田さんは大工仕事をよく知っておられるので詳しく描けるんだと思います。
結果的に、住まい手さんの意思が、家にきちんと反映されることになります。

 

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1軒目で思い通りの家に

日も傾きかけ、さすがに皆さんの疲労の色も濃くなってきました。版築は順調に完成に近づいて、残りの作業はプロの手に任せます。

― お二人が住まいづくりで、最もこだわられたところといえば、どこですか?

夫:
答えとして少し変に聞こえるかもしれませんが、家族のつながりですかね。1階のリビングで家族で楽しく過ごしたい、縁側で子どもたちが遊んでいるのを見守ってやりたい、ということです。
子供部屋を大きくしたいとかじゃなくて。
妻:
そうですね、大きな家が欲しい、とかではなくて、家族みんなが心地良く過ごせることですね。
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― これから家を建てる方に、納得のいくものにするために何かアドバイスするとすれば、何かありますか?

夫:
限られた僕たちの経験から言わせてもらうと、要望をきちんと聞いてくださる設計者の方と出会うことじゃないかなと思います。
有名かどうかや評判やも大事かもしれないですが、要望に耳を傾けてくださるかどうか、信頼して思い切ってお話できる設計者かどうかを見極めるといいますか。
妻:
そうですね、芦田さんには、設計のこともそうですが、土地のことで隣接する地主の方とお話をしなければならなかった時、一緒に立ちあってくださったのは、本当に助かりました。 私たち当事者だけで話すとすんなりことが進んでないかもしれません。
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夫:
作る側とお願いする側の立場で、もどかしさや戸惑いがまったくなかったですね。
プロの方にこんなこと言っていいのか、素人特有のわけの分からないワガママなんじゃないか、と遠慮してしまうことが普通かもしれませんが、芦田さんはきちんと聞いてくださるので、そういうのが全くなかったです。

― 住まいが完成してから10ヶ月間、生活されてるわけですが、ここはこうしておいたら良かった、とお感じになったことがあれば教えてもらえますか?

お二人:
…(しばらくの間、沈黙。)
夫:
いや、ほんとにね、無いんですよね。
「家は3軒建てないと思い通りの家にならない」といいますが、僕に関して言うと、1軒目の家で、充分思い通りになりましたね。
妻:
実現しなかったリフォームがあるので、プランニングとしては、2軒目ですね。
夫:
思い通りにならなかったといえば、バイク用のビルトインガレージですね。真っ先に削られてしまいました。
妻:
今じゃないでしょ、とバッサリね。(笑)
夫:
はは、冗談です。それは納得がいってるのでいいです。(笑)

― なるほど。(笑)
いよいよ、型枠が外されるみたいですね。

お二人:
ほんとですね。

 

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待ちに待った、版築の姿がお目見え

作業を終えて、赤井さん・門垣さん・芦田さんの手によって、いよいよ型枠が外ずされていきます。

一同:
おお!(拍手)
芦田成人建築設計事務所版築ワークショップ 完成
夫:
オンリーワンな感じ!いいですね。
まるで大きなクランキーチョコのような…。
一同:
(笑い)
M左官:
乾いたら、色はもっと明るく、白っぽくなっていきますよ。
A棟梁:
角も取れていきますよ。
無垢の床のキズみたいなものです。
妻:
味わいというやつですね 、わかります。
私たち、床材をきれいに保つのも1日で諦めましたから、そういうの大好きです。
夫:
確かにしんどかったですが、自分たちが関わったのは本当によかったです。
職人さんにお願いして、自分たちはどっか行って帰ってきたら完成してて、それを見るだけなら、何もわからないですからね、どれだけ大変かとか。
妻:
ありがとうございましたとお礼を言って、感想を言って、きっとそれで終わりですもんね。
夫:
身を持って体験できたので、この層の1つ1つに思い出があります。
A棟梁:
ここは、お昼前ころでお腹空いててあんまり突けてないな、とか。
よく捏ねれているところ、そうでないところ、ばらつきが模様になって、おもしろいです。
M左官:
ここには石があったり。
夫:
ほんとうですね。
結果同じものが完成したとしても、こういう体験をしてないと、これが味わいだ、とかわからないかもしれません。さらに味わい深く感じられるようになりますね。

― 今日のお話の中に、縁側のあるお家は玄関が家の入り口でなくなる、というお話がありましたが、この版築が完成して、縁側のインパクトがさらに増した気がしますね。

妻:
今以上に、縁側から訪ねて来られる人が増えそうね。
夫:
そうね。でも、それがいいんですよ。それが望んだことですよ。
A棟梁:
でも芦田さん、この版築にインターフォンを仕込めとかは言わんといてくださいね。
一同:
(笑い)
芦田成人建築設計事務所版築ワークショップ32

聞き手・構成: 芦田成人建築設計事務所ウェブサイト制作チーム(担当:植村)

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