優劣の基準をどのように考えるか

AとBどちらの材料が優れているか?と言った記事をウェブサイトなどで目にする事があります。

但し、二つ(以上)を比較して優劣をつける場合、多面的な裏付けを示せていなければ、その記事は、優劣を語っているのではなく、その方の、好きか嫌いかの話しに過ぎないと思うのです。

多面的な裏付けを数字で示せるなら説得力はあるでしょうけども、全てがそうは、いかないでしょうから、ものの優劣を判断するのは、そう簡単ではなさそうです。

最近あった話ですが、「新聞紙を利用した断熱材でセルロースファイバーって暖かいんでしょ?」と言う質問を頂き、又別の日に地域新聞でもセルロースファイバー断熱材の事が掲載されていました。掲載内容をはっきり憶えている訳ではありませんけども。

「暖かい?って誰が言ってましたか?」 と尋ねると、「知人に最近そういった事を勉強している人が居て、雑誌か何かで目にした・・・」確か、そのようなご返答だったように思います。

 暖かさの感じ方は人それぞれですが、

比較基準の一つとして熱伝導率を挙げてみます。熱伝導率とは熱の伝えやすさを示す値で数字が大きいほど、熱を伝えやすい、即ち断熱性は低い事になります。

セルロースファイバー 0.04(W/㎡K)

住宅で使われる頻度の高い以下の2つ

住宅用グラスウール16K 0.045(W/㎡K)

ロックウール 0.038(W/㎡K)

となり、数字だけでみるとどれも大して変わりはありません。

すなわち、セルロースファイバーが特別に暖かい素材ではない事が分かります。

では何故、前記のような話が出てくるのか?

断熱性能は断熱材単体の性能だけで決まるのでは無く、色々な素材の組み合わせやその他、諸性能の複合要因で決まります。

前述の話では暖かくなるように設計された建物に使われていた断熱材がセルロースファイバーであった、と言う事が考えられます。即ち、セルロースファイバーを使ったから暖かくなったのではないと思います。

そして、セルロースファイバーのその他の性能、例えば、断熱材自体に吸放出性があるだとか、そのような性能を他の製品と比較して優れている事を際立たせ、本来の性能である暖かさをくっつけたと言うのがオチではないでしょうか?

又新聞や雑誌も取材している側はプロではありませんので、話題になり易そうな内容だと、事の真意は別に掲載したがる傾向にあるように思います。

ですので、新聞や雑誌を丸々、鵜呑みにするのは少し控えられた方がいいように感じます。

 

誤解のないように申し上げますが、私はセルロースファイバーを否定している訳ではありませんし、過去に使用した事もありますし、条件が許すならこれからも使用する機会はあろうかと思います。

只、あまりにも嘘とまではいかないにしても、偏ったものの見方が世の中を席巻している事態をもう少し、正確に見直さなければならないと言う事を主張したいのです。

 

ついでのようにもう少し加筆しますが、セルロースファイバーはそれ自体が吸放出作用があるから、この断熱材を使えば壁体内結露は起こらない、と言った宣伝文句も間違いではないのですが、材料の組み合わせによっては壁体内結露は起きます。

以前、検証のために結露計算をしたのですが、構造用合板+セルロースファイバーと言う組み合わせでは、構造用合板の透湿抵抗が高い(即ち湿気を通し難い)ので壁体内の外部側で結露すると言う結果でました。

そう、結露するかしないか、実は計算で確認出来るんですよ。

ですので、この断熱材で壁体内結露をおこさないようにしようとするなら、面材(板状の材料)は透湿抵抗の低い材料を使うか、若しくは室内側の防湿フィルムを施工する必要が生じます。

 

このように、建築とは複数の材料の組み合わせで性能が決定される機会が多いために単純に単体の性能比較では、きちんとした比較にはなっていない事が多く

単純にAとBに優劣をつけて比較する事よりも、AとB、それぞれの長短所を比較し、それを理解した上で相性の良い材料の組み合わせを選択すると言うのが最もスマートな解決ではないかと思うのです。

 

ですので、住まいづくりの相手を見つける際にも、これが良いと勧められた事柄に対しては、何故それが良いとお考えなのか、長所短所など事細かに説明を施して頂き納得の上で採用されるのがベストでしょう。

良いと勧められたから・・・は後悔の元ですよ。

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