兵庫、京都、大阪で誠実に丁寧に木の家をつくる芦田成人建築設計事務所
兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

刻み見学その1

先日は、過日見積金額の出た「篠山のリフォーム」工事の打合せ。予算調整の為、見積内容、設計内容を詰めて更にあとひとふんばり。

今月中の着手を目指す事に。

変わって今日は「丹後町の家」の打合せ 兼 刻みの見学第1回目、第2回目は次週、住まい手を、お誘いしての見学となる予定です。

わざわざ、お誘いしたのは、このブログ内でも何度か触れていますように、プレカットと言う機械で材料を加工する事が多い中で、今回は大工さんの手によって材料が刻まれると言う稀な機会に恵まれた事が大きな理由です。

手で刻むと言う事は材料の1本1本に墨が付けられて、ノミやノコで地道に切ったり削ったりを想像しますが、そうは言っても機械も発達していますので、機械の力を借りながら人間の手で補うと言った方が適切かも知れません。

しかし、プレカットとは確実に違い、木の癖や表情、木目を見ながら、一本一本対応していくのは熟練した技が必要な訳で

刻み見学2

 

例えば、上の写真では指矩(さしがね)、墨壷(墨を貯めたり線を引くための糸が付いていたりする物)、墨差し(竹で作った筆のような物)と言った墨付けの3点セットとでも言うべき道具を使い、切ったり、加工したりするための印を付けていきます。

刻み見学

 

そのようにして付けられた印が上写真です。(反射して少々見辛いですが)

鎌継ぎと言う、材料同士を継ぐための加工を表しています。

 

刻み見学3

 

こちらは単なる細い棒の様に見えますが、よーく見ると印が付いていたり数字が書いてあったりします。(数字は反対向きに写しましたので、上下がひっくりかえっています)

これは尺杖(しゃくづえ)と言って、設計図面に基づき建物の高さが決まっていたり、垂木等の間隔が一定寸法で繰り返される場合、その度ごとにメジャーなどを充てて測っていたのでは作業効率も悪く、寸法が狂う元になるために、予め作業する人数に応じて、同じ物を何本か作り、それを各人が使って寸法の定規の代わりするための道具で、墨付け作業はまずこれを作る所から始まると言っても過言ではありません。

これを材料の上に乗せて、印のつけてある個所を材料にも写し取りそれで作業効率を図っている訳です。

単なる棒?と思って馬鹿にしてはいけません。

さてさて、今回の見学では色々得る物があったので小分けにしてアップしていこうと思います。