日常の備えが重要
先日、熊本県で10年ぶりとなる大きな地震が発生しました。
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
また、今なお避難生活を余儀なくされている方々が、一日も早く安心して日常を取り戻されることを願っております。
私自身、7年前に震源地に近い高千穂町で仕事をさせていただいたことがあり、今回の地震のニュースを見て、現地の方々のことがとても気になっています。
地震が発生すると、一時的に「自宅は大丈夫だろうか」「耐震補強をした方がいいのでは」と考える方が増えます。
しかし、時間が経つにつれて、その危機感は少しずつ薄れていくのも現実です。
実はこれが一番怖いことではないでしょうか。
日本は世界でも有数の地震大国です。
「次はいつ、どこで起こるか分からない。」
だからこそ、大きな地震が起きた"今だけ"ではなく、普段から住まいの安全について考えておくことが大切だと思います。
7月11日のブログでは、耐震診断や耐震改修の必要性について書きました。
しかし、いきなり耐震補強の話になると、「費用が掛かりそう」「本当に必要なのか分からない」と感じられる方も少なくありません。
私は、まず最初に行うべきことは、
「自分の家がどれくらいの耐震性能を持っているのかを知ること」
だと考えています。
診断を受けて初めて、
・補強が必要なのか
・どの程度の補強で済むのか
・今のままでも安心できるのか
という判断ができます。
つまり、耐震診断は工事をするためではなく、正しい判断をするための第一歩なのです。
兵庫県では、昭和56年(1981年)5月以前に着工されたことが証明できる住宅については、無料または低額で簡易耐震診断を受けられる制度があります。
対象となる住宅にお住まいの方は、この制度を活用しない手はありません。
また、対象外となる住宅であっても、当事務所では 簡易耐震診断を3万円(税別)で行っています。
「補強工事をするかどうか」ではなく、
まずは住まいの現状を知る。
そのことが、ご家族を守る第一歩になると考えています。
もう一つ、今日からでもできる地震対策があります。
それは寝室にある背の高い家具の固定です。
阪神・淡路大震災では、建物そのものではなく、倒れてきた家具の下敷きになり、多くの方が被害に遭われました。
特に就寝中は、とっさに避難することができません。
耐震改修には時間も費用も掛かりますが、家具の固定は比較的少ない費用で、すぐに始められる防災対策です。
「何から始めればいいか分からない。」
そう思われる方は、まず寝室を見渡してみてください。
それだけでも、住まいの安全性は少し高まります。
私の実家では背の高いタンスは全てホームセンターで購入した家具転倒防止用チェーンにてしっかりと下地のある壁面に固定しています。
地震は忘れた頃にやって来る。
昔から言われてきたこの言葉は、今も決して色褪せていません。
だからこそ、ニュースを見た今だけではなく、日常の中で住まいの安全を考える習慣を持っていただきたいと思います。
「私の家は大丈夫だろうか。」
その疑問を、そのままにしないことが、ご自身や大切なご家族の命を守ることにつながります。
住まいは、暮らしを支える場所であると同時に、災害時には命を守る器でもあります。
この機会に、ぜひ一度、ご自宅の耐震性について考えてみませんか。
夏の入浴、どうされていますか?
浴室感想暖房機の活用で快適な夏の入浴
夏こそ「頭寒足熱」の入浴で、汗をかかない快適な夜を
夏はシャワーだけで済ませる方も多いですが、一日の疲れを取るためには、やはり湯船に浸かることが大切です。
ただ、多くの方が感じるのが、
「お風呂から上がっても、いつまでも汗が止まらない…」
という悩みではないでしょうか。
タオルで何度拭いても汗が噴き出し、せっかくお風呂に入ったのに不快な思いをすることがあります。
実は、この悩みはお湯の温度と浴室環境を少し工夫するだけで改善できるかもしれません。
私が実践している夏の入浴法
私は夏になると、いつもの入浴方法を少しだけ変えています。
お湯の温度を1℃下げる
普段より1℃低い39℃に設定します。
たった1℃ですが、身体への負担が少なくなり、のぼせにくくなります。
2. 浴室の「涼風機能」を使う
浴室暖房乾燥機に付いている涼風機能を入れたまま湯船に浸かります。
すると、
頭や顔には涼しい風が当たり、下半身は温かいお湯
という状態になります。
まさに昔から理想とされる
「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」
の状態です。
頭を冷やしながら足元は温めるため、非常に快適に入浴できます。
但し、浴室乾燥暖房機が無い場合は、他の方法を考えなければいけませんが後付け出来る物もありますし、
扇風機などを付ける方法が取れるかもしれませんね。
最後に冷水を浴びる方法との違い
以前は、
「汗を止めるには最後に水を浴びればいい」
と思い試していました。
確かに汗は少なくなりますが、
身体が冷え、お風呂に入った満足感が薄れた上で、リラックス感が少ない
という印象でした。
一方、頭寒足熱で入浴すると、
身体はしっかり温まり、お風呂上がりの汗の出方がかなり違い、とても快適な状態で脱衣場も後に出来るようになりました。
建築の工夫は暮らしの快適さにつながる
住宅設計では断熱性能や気密性能ばかりが注目されます。
もちろんそれらはとても重要ですが、
実際の暮らしでは、設備をどう使いこなすかと言った暮らしの運用によって快適性は大きく変わります。
家づくりとは、建物をつくることだけではありません。
そこで毎日を心地よく過ごす「暮らし方」を考えることでもあります。
夏のお風呂で汗に悩まれている方は、ぜひ一度、
39℃のお湯と浴室の涼風機能による「頭寒足熱入浴」
を試してみてください。
きっと、「こんなに違うのか」と感じていただけると思います。
「住まい」と「食」の共通点
今年から家庭菜園を始めました。
初めての挑戦なので、水やりの加減、虫や暑さへの対応など、分からないことばかりです。
それでも毎日のようにトマトやキュウリ、ナスなどの夏野菜を収穫できるようになり、土に触れる時間がとても楽しみになっています。
建築設計をしている私は、これまで「住まいと健康」の関係についてお客様にお話しする機会が多くありました。
断熱性能が高い家は、夏も冬も快適に過ごせるだけではありません。
ヒートショックのリスクを減らしたり、睡眠の質を高めたり、健康寿命にも良い影響を与えることが分かっています。
しかし、家庭菜園を始めてから思うようになりました。
健康との関係で言えば、「食」は住まい以上に根本的な存在ではないだろうか。
昨年の米不足をきっかけに、日本の食について以前より関心を持つようになりました。
日本の食料自給率は決して高くありません。一方で、まだ食べられる食品が大量に廃棄されているという現実があります。
「足りない」と言いながら「捨てている」
この矛盾には、何とも複雑な気持ちになります。
家庭菜園を始めると、野菜が一つ育つまでにどれだけ手間が掛かるのかを身をもって知ることになります。
毎日様子を見て、水をやり、草を抜き、虫と戦い、ようやく収穫できる。
だからこそ、収穫した野菜を無駄にしようとは思いません。
スーパーでは当たり前に並んでいる野菜も、本当は多くの時間と労力を経て私たちの食卓へ届いていることを改めて実感します。
これは建築にもよく似ています。
一棟の住宅も、設計者だけで完成するものではありません。
大工さん、左官職人さん、電気屋さん、設備屋さんなど、多くの職人さんの技術と努力が積み重なって、一つの住まいになります。
完成した家だけを見るのではなく、その背景にある「つくられる過程」を知ることで、その価値は何倍にも感じられます。
食も住まいも同じです。
完成したものだけを見るのではなく、「どのようにつくられたのか」を知ることが、本当の豊かさにつながるのではないでしょうか。
家庭菜園は野菜を育てる趣味であると同時に、食の安全や食料自給率、食品ロスについて考えるきっかけを与えてくれました。
そして、健康とは薬や運動だけでつくられるものではなく、
「何を食べるか」「どんな家で暮らすか」という毎日の積み重ねによって育まれるものだということも改めて感じています。
これからも家庭菜園を続けながら、野菜だけではなく、食の成り立ちや日本の農業についても少しずつ学んでいきたいと思います。
住まいを設計する建築者として、これからは「住まい」と「食」の両方の視点から、健康な暮らしについて考え、発信していければと思っています。
200㎡以上の建物を購入する前に
「安く買えた」は危険かもしれません。床面積200㎡以上の建物を購入する前に必ず確認してほしいこと
住宅を購入し、又同じく住宅として使用される方は200㎡以上であっても何も問題はありませんので、この先を読んでいただかなくても構いません。
「古い建物を購入して、カフェを開きたい。」
「空き家をリノベーションして民泊を始めたい。」
「工場を改装して店舗として利用したい。」
近年、このようなご相談をいただく機会が増えています。
物件価格も手頃で、「少し改修すればすぐに営業できそう」と考えられる方も多いのですが、実はその判断には大きな落とし穴があります。
それが『用途変更』です。
200㎡以上の建物は特に注意が必要です
延べ床面積が200㎡以上の建物で、以前とは異なる用途に変更して利用する場合は、建築基準法に基づく用途変更の手続きが必要になるケースがあります。
例えば、
住宅を民泊や宿泊施設へ変更する
住宅を飲食店や店舗へ変更する
工場を福祉施設へ変更する
といったケースです。
「内装を変えるだけだから大丈夫」と思われるかもしれませんが、法律上はそう簡単ではありません。
建築確認申請書は残っていますか?
私が最初に確認するのは、その建物に建築確認申請書や確認済証などの資料が残っているかということです。
これらの資料が残っていれば、建物がどのような設計で建てられたのかを確認しながら用途変更の手続きを進められる可能性があります。
もちろん個別の検討は必要です。
しかし、問題はここからです。
建築確認申請が存在しない建物は大きなリスクがあります
昔の建物では、建築確認申請書が残っていなかったり、そもそも建築確認を受けていないケースもあります。
このような建物を用途変更しようとすると、状況によっては改めて建築確認申請を取得しなければならない場合があります。
すると問題になるのが、現在の建築基準法への適合です。
建てられた当時の基準と現在の基準は大きく違います
建築基準法は何度も改正されています。
特に構造に関する基準は、昔と現在では大きく異なります。
そのため、新たに建築確認申請を取得する場合には、現在の法令に適合させる必要があり、
構造補強
耐震補強
防火区画の見直し
避難経路の確保
その他各種法令への適合
など、多額の改修工事が必要になることも珍しくありません。
「物件は安く購入できたけれど、改修費が想像以上に膨らんでしまった。」
そんなケースは決して珍しい話ではないのです。
不動産価格だけで判断しないことが大切です
物件探しでは、どうしても購入価格に目が向きがちです。
しかし、本当に見るべきなのは、
『その建物を自分の目的で問題なく使えるか』
という点です。
建築確認申請が存在しない建物では、その確認が非常に難しくなります。
結果として、用途変更ができない、あるいは多額の改修費が必要になる可能性もあります。
購入前に建築の専門家へ相談してください
もし200㎡以上の建物を購入し、事業を始めようと考えているのであれば、契約を結ぶ前に一度、建築士へ相談されることをおすすめします。
購入後に問題が判明すると、「こんなはずではなかった」と後悔しても取り返しがつきません。
建築確認申請書の有無を確認し、用途変更が可能なのか、どの程度の改修が必要になるのかを事前に調査しておくことで、大きなリスクを避けられます。
まとめると
建物は「安く買えれば良い」というものではありません。
特に200㎡以上の建物で用途変更を伴う事業計画では、建築確認申請書の有無が、その後の事業の成否を左右することもあります。
もし建築確認申請が存在しない建物であれば、現在の建築基準法への適合が必要となり、多額の改修工事が発生する可能性があります。
だからこそ、物件を購入する前に一度立ち止まり、建築の専門家と一緒にリスクを確認してください。
建物選びで失敗しないための最初の一歩は、「建築確認申請書がありますか?」と確認することです。
その一言が、数百万円、場合によっては数千万円規模の予想外の出費を防ぐことにつながるかもしれません。
先生、私は何の病気ですか~?
と電話で自身の病状を尋ねる人は居ないと思います。何故なら、診てもらわないことには何も分からないことが判明しているからです。
同じく私どもの仕事も現地や現状を把握できないと、お答えできるものは何もありません。最近、ファーストコンタクトで「費用はいくらですか?」と言った内容を伝えられる方が多いのですが、それは先の電話口の患者さんと同じことをされているのと同じなんです。
逆に、現地や現状も見ず、何も把握出来ないで、その質問に答えられる人が居るなら、とても心配です。
勿論、費用を気にされている方々のお気持ちは分かります。
しかし、我々は毎回同じことを同じように繰り返す仕事ではありません。物件毎に違う条件、規模、用途、環境などを一つずつ把握することから全てが始まります。おまけに建築の場合は法令が関わることも多く、その法令に則って仕事を進めるために事前調査が必要になる場合もあります。だからこそ、先ずは現状を正確に把握し、その上で根拠のある費用を算出し、ご提示することが、皆様にとっても一番安心できる方法だと考えています。
高い安いだけでなく、根拠のある内容をきちんと提示するのが私どもの姿勢です。そのために、今回の案件では、どのような仕事をしなければいけないのかを、現状や現地を把握した後で組み立てます。その後に初めてお見積もりと言う形で金額の提示が出来るようになります。
設計と言う行為こそ、机の上での仕事ですが、全ては現地や現状のために行う行為であり、そこをどれだけ把握するかが命なのです。
耐震診断および耐震改修工事について
「この家もあと何年住むか分からない。」
耐震診断のお話をすると、多くの方から返ってくる言葉です。
「子どもも独立したし。」
「地震なんていつ来るか分からない。」
「今さらお金を掛けても…。」
確かに、そのお気持ちはよく分かります。
しかし、私は兵庫県の耐震診断員として、これまで40件以上の丹波市内の住宅を診断してきました。
その経験から、一つだけお伝えしたいことがあります。
「古い家だから危ない」のではありません。
「危険な状態のまま暮らしていること」が問題なのです。
あなたの家は大丈夫でしょうか?
兵庫県では、昭和56年5月以前に着工した住宅であれば、条件を満たすことで無料または少ない自己負担で簡易耐震診断を受けることができます。
昭和56年は建築基準法が大きく改正された年です。
それ以前の住宅は、現在の耐震基準とは考え方が大きく異なります。
「見た目はしっかりしている。」
「今まで地震でも壊れなかった。」
だから安全とは言い切れません。
実際に診断してみると、壁の配置や接合部、基礎など、建物全体のバランスに問題がある住宅は少なくありません。
評点1.0を超えた住宅は、ほとんどありませんでした
これまで40件以上の耐震診断を行ってきました。
その中で、評点1.0以上だった住宅は、特殊なケースを除けばほとんどありません。
多くの住宅は、
評点0.4前後
という結果でした。
評点1.0以上が「一応倒壊しない」とされる基準です。
0.4という数字は、その基準を大きく下回っています。
もちろん、評点だけですべてを判断するわけではありません。
ですが、数字として現実を知ることは、とても大切です。
「いつ来るか分からない」ではなく、「いつ来てもおかしくない」
南海トラフ地震の発生確率が繰り返し報道されています。
もちろん、明日起こるかもしれませんし、30年後かもしれません。
誰にも分かりません。
だからこそ、多くの方は
「まだ大丈夫。」
と思ってしまいます。
ですが地震は、
準備ができた人を待ってはくれません。
もし家が倒壊すれば、
家財はもちろん、
思い出も、
そして何より、
命そのものが危険になります。
耐震改修は建物を守る工事ではありません。
その家で暮らす人を守る工事なのです。
「耐震改修は高い」というイメージを変えたい
耐震改修というと、
「かなり高額になる。」
そんなイメージを持たれている方も多いでしょう。
もちろん全面改修をすれば、それだけ費用は掛かります。
しかし現在では、
愛知建築地震災害軽減システム研究協議会が開発・評価した低コスト工法が普及しています。
当事務所でも、この工法を積極的に採用し、
必要な性能を確保しながら、できるだけ費用を抑える耐震改修
をご提案しています。
さらに兵庫県では、
耐震改修設計費や工事費に対して補助制度も用意されています。
「高額だから無理。」
と思っていた方でも、実際には利用できるケースが増えていますし、補助金を使えなくても良いから自主的に補強をしたいと言う方も増えています。
将来、家を売る時にも耐震性は評価される時代です
最近では、中古住宅を購入する方も、
「耐震性」を重視するようになっています。
実際に、耐震性能を評価したうえで売買を行う不動産会社も増えてきました。
つまり耐震改修は、
今住む家族のためだけではありません。
将来、
お子さんへ引き継ぐとき。
売却するとき。
空き家活用を考えるとき。
住宅の価値にも影響する可能性があります。
耐震化は「費用」ではなく、
将来への投資
という考え方もできるのです。
まずは現状を知ることから始めませんか
耐震改修をするかどうかは、
診断を受けてから考えても遅くありません。
ですが、
診断を受けなければ、
危険かどうかさえ分かりません。
健康診断を受けずに健康だと思い込む人はいないでしょう。
住まいも同じです。
まずは現在の状態を知ること。
そこから、ご家族にとって最善の選択を考えていただければ十分です。
県或いは市の無料の条件に当てはまらない方でも簡易耐震診断だけなら、当方では、3万円+消費税でお受けいたします。
命を守る選択を、一緒に考えます
芦田成人建築設計事務所では、兵庫県の耐震診断員として、これまで40件以上の耐震診断に携わってきました。
診断だけで終わるのではなく、補助制度の活用や、低コスト工法による耐震改修まで一貫してご相談いただけます。
「まだ住み続けるか分からないから。」
そう考える方にこそ、一度お話を聞いていただきたいと思っています。
住む期間の長さではなく、
明日も安心して暮らせること。
それが耐震化の本当の価値ではないでしょうか。
ぜひ一度、ご自宅の耐震性について考えるきっかけにしていただければ幸いです。
施工図は私が描く
一般的な建築現場では
住宅建築の現場では、設計者が描いた設計図をもとに施工会社が施工図を作成することが一般的です。
設計図は建物全体の考え方や寸法を示す図面ですが、実際に職人さんが施工するためには、さらに詳細な図面が必要になります。
そこで作られるのが施工図です。
当事務所の設計監理案件では、多くの現場で私自身が施工図を作成しています。
手間も時間も掛かります。
正直に言えば、効率だけを考えれば施工会社に任せた方が楽かもしれません。
それでも続けているのには理由があります。
先ずは、手戻りを防ぐことができると言うことが理由の一つです。
現場で最も避けたいことの一つが手戻りです。
一度作ったものを壊してやり直す。
言葉にすると簡単ですが、実際には大きな損失になります。
職人さんの手間が増えるだけでなく、材料に傷が付く可能性もあります。
そして現場の雰囲気も少しずつ悪くなります。
施工図を事前に描き込み、納まりを整理しておくことで、こうした手戻りを大幅に減らすことができます。
次に、本当に納まるのかを確認できると言うことも理由になります。
設計中は美しく見えた図面でも、施工図を描き始めると様々な問題が見えてきます。
柱と建具の取り合い。
断熱材の厚み。
設備配管の通り道。
見えない部分の寸法関係。
施工図は、設計図の答え合わせのような作業でもあります。
「描いたものが本当に実現できるのか」
それを自分自身の手で確認できることは大きな価値だと思っています。
実際、この作業によって大きな変更が伴いそうになったのを事前に発見することができたこともあります。
そして、職人さんから学べると言うことも大きな理由になります。
実は私が最も大切にしているのはここかもしれません。
施工図を描いて現場へ持ち込むと、職人さんから様々な意見をいただきます。
「こうした方がきれいに納まる」
「この方法ならもっと丈夫になる」
「こちらの方が将来のメンテナンスがしやすい」
長年現場で培われた知恵は、教科書には載っていません。
その一つひとつが次の設計の財産になります。
私たちは図面を描くことは出来ても、それを形にしていただくのは現場の職人さんです。
その職人さんへのリスペクトの気持ちを込めて、施工図を描いています。
又、それは職人さんとのコミュニケーションツールの一つとしても機能します。
設計は図面を描いて終わりではない、「自分が描いた図面に責任を持つ」
多くの設計者がSNS上で現場の職人さん達から叩かれている記事を目にする度に、心が痛い思いをします。
設計というと、机に向かって図面を描く仕事と思われることがあります。
しかし実際には、図面を描いた後からが本番です。
施工図を描き、現場で確認し、職人さんと対話しながら建物を完成へ導いていく。
そうした積み重ねによって、図面の中にしか存在しなかった建物が本当の住まいになっていきます。
だから私は今も施工図を描き続けています。
それは単なる確認作業ではなく、より良い建築をつくるための大切な設計の一部なのです。
全てに理由がある
この時期の栗農園からは非常に臭いにおいが漂ってきます。ご存じの方もいらっしゃると思いますが非常に生臭い匂いです。
今は栗の白い花が咲き横を通るとその様子が分かります。
先日、草刈りのために栗農園で作業をしていたのですが栗の木の下にはブーンと言う羽音とともに無数のコバエのような虫がホバリングしていました。
それを見て何故、栗がこんなにも臭いにおいを放つのかが理解出来ました。
虫を利用した受粉だなと結びついたのです。臭い匂いを放つことで虫を呼び寄せて受粉のお手伝いをさせているのだそうです。
只、臭いで済ませていただけでは分からなかった自然のシステム。物事には全て理由があることを今更ながらに一つ学びました。
建築においても全てのことに理由があります。
只、見た目が格好いいだけで決めている訳ではなく理由があって、そのサイズであったり、その寸法であったり、その商品であったりします。
そこを理解するか否かで出来上がりも違ってきます。
最近ではインスタグラムやピンタレストで格好の良さそうな家や部屋やインテリアを探し、保存しておくことも出来ますが、果たしてそれらを寄せ集めたからと言って本当に良い家になるか?と問われれば、私は疑問に思います。
言うなれば、そう言った寄せ集めの家は、全員が4番打者の野球チームと同じで、実際に機能しない可能性が高いと思います。
何故ならば、寄せ集めただけでは、そこに理由が無いと言うのが一番の問題点です。
実際に関東の某お金持ちプロ野球チームが昔、そのようなチーム編成をしたことがあります。
確か、そのシーズンの結果は、思わしくなかったような記憶があります。
野球では1番打者には1番打者の役割があり、2番打者にも、3番打者にも、それぞれの役割がありチームとして機能させることが重要です。
それそれぞれに違う理由でデザインされた家を寄せ集めた所で、多分うまくは機能しないでしょう。
メリハリをつけることが重要なのに、見せ場ばかりでは疲れる家にしかなりません。
だから、気に入った家を保存するのは良いけども、それをそのまま採用するのではなく、そのコンセプトを自邸の中で生かす場合に上手くマッチするのか否かを考えることが重要になると思います。
生命力
5月になっても葉の付かない枝だけの状態で、完全に枯れてしまったので処分しなければいけないと思っていた観葉植物のガジュマルですが、
先日ふと見ると枯れたはずの枝のあちらこちらに小さな緑が見えました。
「あれっ?」小さな新芽が出てきたのです。この寒かった冬にうっかりと防寒対策を怠ってしまったので、もう駄目だと思っていましたが、
植物の生命力には感心せずにはいられません。
同様に枯れてしまったシマトネリコにも栄養剤を与えていたのですが、残念ながらこちらは未だに反応がありません。
奇跡的に復活してくれることを願うばかりです。
この先、ガジュマルが青々とした状態にまで復活してくれることを願い、水遣りなどもしていきたいと思います。
庭木で植える木々にも、極たまに土地に根付かずに枯れてしまう物もあります。
土壌が合わなかったのか、はたまた水が足りなかったのか、理由は分かりませんが、植物と付き合うのは根気と観察力は必要かと思います。
庭に緑は必要ないと仰る方も時々、いらっしゃるのですが、例え木1本で良いのでやはり緑があると生活に潤いを与えてくれると思います。
新芽が芽吹いてきたガジュマル
城崎へ
5月も後半だと言うのに少し肌寒い日でした。地元の建築仲間と連れ立って城崎に建築探訪へ行ってきました。一番の目的は堀部安嗣さんが改修設計された旅館「泉翠」でのランチ。
宿泊者のための客室も改修されているそうですが、残念ながら、そちらの見学までは出来ませんでした。次回行くなら、宿泊して是非客室の方も見学したいと思います。
過去に城崎をじっくり観光で訪れた記憶はありませんが、近くの香住や出石などは何度か訪問しています。
どちらの感じとも違い、街の中心を流れる川の両側に並ぶ宿やお店を中心に多くの外国人観光客などで賑わっていました。
城崎は年月を経た建物が多く、現代のニーズに沿うように旅館などが有名建築家に依頼して改修や新築をするケースが増えているようです。
しかし、細い路地に沿って建てられた、それらの建物は取り壊して新築するには条件が厳しすぎるため、改修を選択する方が賢明なように思えました。
平日とあって、ランチ予約は我々だけだったのでしょうか?前半は我々だけが貸し切り状態で、他の方々に気を遣う必要もなく会話のボリュームも上がり気味でしたが、
すごく騒いでいる訳ではありません。
白い壁にボールト天井、低く抑えられたライティングでレセプションスペースで少し寛ぎ、やがて奥の客席に通されました。
他にお客さんが誰も居なかったので、最初は少し緊張しましたが、出されたお料理に舌鼓を打つ内に、やがて口も警戒になり、建物の雰囲気を楽しませていただきました。
奥にあった厨房で調理をされるのかと思いきや、客席からは見えない所で調理された地元の食材は、どれも美味しそうで、ご飯とみそ汁は、お代わりOKとのことで、最後にはお腹を満たすことができました。
お腹を満たした後は、再び城崎の街を奥に向かって探訪です。
キラキラ輝く
暫く時間が空きましたが、生きております(笑
週末栗農園の話題も久しぶりですが、現在は栗の花が咲き私は恐らく栗の花粉症に悩まされながら、月に1度の草刈りをしております。
先日、某企業さんが栗を買いますよと言うことで営業さんがお見えになりました。
丹波ブランドの栗で一儲けを企んでおられるのかな?と思いながら話を聞いていましたが、
多分、栗を加工して販売する、いわゆる六次産業化までやることでコストメリットが増えるのではないかと推測しています。
栗の傍らで、今年から家庭菜園も手探りでやっておりまして、ナス、キュウリ、トマト、シシトウ、サツマイモなどの野菜を植えてみました。
既にナスは数本収穫しましたが、これからが本番の夏野菜は未だ青く色づき始めた所で、特にミニトマトは小さな実が
キラキラと輝いてとても綺麗に見えます。
これらの夏野菜が食べ頃になると赤く色づき、とても美味しそうに見えるのですが、収穫の頃合いを見計らって
空から飛来する野鳥に先を越され、折角育てた野菜が奪われてしまう被害に備えるため、現在は野鳥被害防止のための
柵を製作中で植えた野菜の周りに杭を打ち、ネットを張るための下地作りを進めております。
実が熟す前に何とか完成させないといけません。
広い洗面脱衣スペースは清潔感でまとめる
アンダーカウンター型の洗面化粧台
オーバーカウンター型、ベッセル型と来て最後はアンダーカウンター型の洗面台の紹介です。
アンダーカウンター型はカウンターの底にボールが取りつく形式で継ぎ目が無く一体感のあるように見えるのが特徴です。
ボールの縁の盛り上がりが無いためカウンターの上に落ちた水もすんなりとボールに戻すことができるためメンテナンス性に優れています。
一方で取り付け上の制約がありカウンターの縁からの空き寸法を一定程度設ける必要があるため、小さなカウンターには向きません。
写真は北東面に設けた高窓です。広めの洗面脱衣スペースで、人が2人同時に洗面台を使えるようにして欲しいと言うリクエストでした。
朝のこのスペースは毎日、身支度を整えるために混雑します。洗面、歯磨き、お化粧、髪の毛のセットなど忙しいご家庭では一人に独占されてしまうと困るスペースでもあり、
少し広めに確保しています。
収納部分は引き出しを増やせば、未だ未だ増量出来ますが、各ご家庭のスタイルで引出しでなく既製品のバスケット等で対応される場合もあります。
今回はカウンター下に物を入れたり椅子を入れたり出来るように大きく空けています。
そして毎回悩ましいのが洗濯機の排水口をどこに設けるか?と言う問題です。
洗濯機パンを使えば、パン自体に排水口が設けられているので大きな問題はありませんが、パンに埃が溜まって汚くなったり、パンも割と面積が必要になるため当事務所では余り洗濯機パンを設けることをしていません。と言うことで床に排水口を設けるのですが、排水口の大きさも結構あります、又大引きなど床下の構造体との干渉も避けないといけないなど考えることは結構あります。
洗濯機を浮かせるブロックがあり、そのような物を使えば排水口の位置を洗濯機の下に設けることも出来ます。
但し、異常があった時に洗濯機を動かしたりしないといけないこともあり、極力洗濯機の真下の排水口を避けたい
そうすると場所に困ることも多いのです。
今回は洗面脱衣スペースが広めでしたが、排水口を設けたい位置の真下には大引きが居たため、既製品では無く造り付けのカウンターの良さを生かしました。
写真の洗面カウンターの脚の下の方に穴が見えますが、この穴に排水ホースを通し洗面カウンターの下に排水するようにしています。