兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

リノベーションについて その11

鉄骨造の事例
今回は、鉄骨造の建物のリノベーション事例
になります。元は会社の作業場として建てら
れた建物ですが廃業されたのか、売りに出さ
れていたのを購入されて、そのまま住んでお
られました。

元は作業場でした
元は1階が作業場とトイレ、浴室、洗面、2
階に和室と流し台が設えられていました。幸
い、生活に必要な水回りが備わっていたため
そのまま住むことが出来たのでしょうけども、
お風呂の入るために、わざわざ1階に降りて
きて又2階に上がらないといけない非常に不
便な動線でした。

1階は作業場だっただけあり、広いスペース
が備わっていたのですが、そこは洗濯物干場
や物置、トレーニングスペースなど雑多使い
方がされていて、その間を潜り抜けてお風呂
に入らないといけない、あるいは顔を洗いに
行かないといけないと言った生活が繰り広げ
られていました。

鉄骨ALC造とは
又鉄骨ALCと呼ばれる外壁は軽石のような
無数の小さな気泡が空いた厚み10cmくら
いの板ですが、それだけではとても断熱性能
が足りる訳もありません。

南面採光が難しく
おまけに敷地の南側には直ぐ傍に隣家が建ち、
光は入ってきません。主な採光面は北面です。
東面と西面にも窓は設けてありますが、間口
が狭い。今回の計画では南面採光を望めない
ため、空いているその他の面で採光を得て、
寒いALC造の建物の断熱性を高めること、
鉄の構造体の中に国産木材による木の空間を
つくりあげ、ご家族が健康で快適に暮らせる
リノベーションを目指しています。

雨漏り補修
まず、雨漏りの痕跡があった壁面ですが、こ
れは元のALC壁の水密性が経年により低下
していたことが原因でしたので、コーキング
補修をした上に外壁の塗装を施しています。

断熱施工
そして揺れやすい鉄骨造の特性から壁面は普
段は使わない付着性の高い現場発泡吹付系の
断熱材を採用しています。折版屋根の下には
高性能グラスウール断熱材をを採用し、窓は
二重窓としています。

インナーガレージ(AFTER)

インナーガレージ(AFTER)

(BEFORE)

(BEFORE)

元あったスペース
上4枚の写真は同じスペースの工事前後のも
のです。作業場に車を乗り入れて車に荷物を
積み込めるようなつくりであったことが推察
されました。(写真3~4枚目)これら写真
の端に斜めの壁が写っていますが、ここが階
段になっていて2階に上がるようになってい
ました。

作業場であればこれで良かったのですが、こ
と住居となるとこの動線では生活が分断され
てしまうため、今回は階段の向きを180°振
り替えています。

インナーガレージ
2枚目の写真の黒い壁に設けられた戸を開ける
と生活スペースになります。このスペースをそ
のままインナーガレージにしたのは、雨や雪が
降っても濡れることなく乗り降りできるように
することと、例え、ここを生活スペースに取り
込んだとしても面積的に部屋が余ってしまうこ
とが勿体ないと思ったためです。尚、インナー
ガレージは断熱区画外としたので断熱施工はし
ていません。

LDK(AFTER)

LDK(AFTER)

作業場(BEFORE)

作業場(BEFORE)

2つの提案
こちらの4枚は1階の作業場だったスペース
の工事前後のものです。作業場の時は間口が
広く見えます。工事後は建物の奥行に沿って
キッチンの隣に水回り(浴室、洗面脱衣、ト
イレ)を並列させたために奥行きの深い空間
になりました。提案時には、こちらのパター
ンと建物の一番奥に水回りをまとめてLDK
の間口を確保する提案の2つの案を用意しま
したが、建物の奥からゴミを出したりするた
めの勝手口(1枚目写真の奥にある黒い扉)
があるる方が良いとのことで、こちらの案に
まとまりました。

2階寝室(AFTER)

2階和室(BEFORE)

2階寝室(AFTER)

2階食卓(BEFORE)

2階寝室
次の4枚は1枚目と2枚目が同じアングルの
工事前後、3枚目と4枚目が同じアングルの
工事前後になります。1枚目の正面の窓はサ
イズや仕様などを新しい物に取り替えました
が、それ以外は窓の位置や大きさは替えてい
ません。それぞれ2階の寝室ですが雰囲気と
ともに部屋の明るさも変わったと思います。

インナーガレージ部は天井にも断熱施工しています

1階キッチン周り断熱施工の様子

2階寝室壁断熱

建物種別による断熱の考え方
これら3枚の写真は断熱施工の様子を写した
ものです。薄いピンク色に見えるのが現場発
泡ウレタンを吹付たものです。天井には高性
能グラスウール断熱材を敷いて壁面と断熱層
を連続させています。木造ではない建物の断
熱施工をどのように捉えるのか、答えは一つ
ではありませんが、ここでも又一つ気付きを
得たように思います。

Narito Ashida