「見せる」だけではなく使い易さから考えた洗面台

ベッセルタイプの洗面台。

洗面化粧台の選択肢は既製品だけではなく造作する洗面台もあります。
今回のシリースでは、そのような造作した洗面スペースも合わせて紹介しています。
毎日使う場所だからこそ、「どんな見た目にするか」だけでなく、「どう使うか」「どう維持するか」が大切だと感じています。

今回ご紹介するのは、新築住宅の洗面脱衣スペースです。

写真の洗面器は、いわゆる“ベッセルタイプ”と呼ばれるもので
カウンターの上に洗面器を載せる形式で、ホテルライクな雰囲気をつくりやすいのが特徴です。

このタイプの良いところは、まずカウンター面を広く使えること。
洗顔用品やドライヤーを置いたり、ちょっとした家事に使ったりと、実際の暮らしの中で意外と便利です。

また、洗面器とは別にカウンター材を選べるため、空間全体の雰囲気に合わせた素材選びができるのも魅力です。
今回はメンテナンス性を考えて、木の質感と相性の良い、やわらかな色合いのメラミン素材でまとめています。

一方で、ベッセルタイプには注意点もあります。

洗面器とカウンターの取り合い部分は、どうしても汚れが溜まりやすくなります。
特に洗面器の周囲に余裕が無いと掃除がしづらく、水垢が残りやすいことも。

そのため今回は、洗面器まわりに適度な余白を確保しながら、水が跳ねやすい範囲の壁面にはタイルを施工しています。
見た目のアクセントでもありますが、実際にはメンテナンス性を考えて採用した部分でもあります。

また、この洗面脱衣室は建物の北側に位置しています。

一般的には「北側=暗い」という印象を持たれがちですが、北側の光は一日を通して明るさの変化が比較的少なく、実はとても安定した光です。
今回は高窓を設けることで、その安定した自然光を取り込みながら、道路側からの視線も遮る計画としました。

明るさを確保しながら、プライバシーも守る。
窓の高さひとつでも、空間の快適性はかなり変わってきます。

さらに、三面鏡の内部は収納になっており、日用品をしっかり納められる容量を確保しています。
洗面空間は生活感が出やすい場所ですが、「隠せる収納」があるだけで空間の印象はかなり整います。

洗面台は単体で考えるのではなく、

・どこに配置するか
・どんな光を取り込むか
・掃除しやすいか
・収納は十分か
・素材がどう経年変化していくか

そういった積み重ねの中で、使いやすい空間になっていくのだと思います。

毎日必ず使う場所だからこそ、少し丁寧に考える価値のあるスペースです。

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