祝日の家
2月11日、建国記念の日。
丹波では数日前の大雪が残るなか、宝塚は雨の一日でした。
2月8日に降った雪。その後の冷え込み。
そして、溶けきらない雪に追い打ちをかけるような雨。
外の環境が大きく揺れる数日間でした。
その祝日の午前中、
先月末に温熱測定のために設置させていただいた機器の回収に、宝塚の「坂道に建つ家」にお伺いました。
祝日であっても、ご家族の皆様はお仕事に出られている方もいらっしゃいます。
家の中には、祝日の少しゆるやかな空気と、働く日常の気配が同時に流れていました。
そんな中、お話は、自然と地域の話題へ。
宝塚の清荒神のこと。一昨年の工事中年始めの初現場定例打合せ後、私はこの現場から徒歩で清荒神をお詣りしたのですが、大層な距離もありましたし、参道の露店は誘惑もいっぱいでした。幸い三が日は外れていたため大きな混雑には巻き込まれませんでしたが、三が日は大層な人手とのことでした。
そして人手と言えば私の地元丹波市青垣町・高座神社でも今年は初詣に大層な人出になっていました。
と、「清荒神は当然のことながら、今年はどちらも本当に人が多かった」と笑い合う時間でした。
設計の話でも、性能の話でもなく、こうした何気ない会話ができること。
それは、この家がすでに“暮らしの器”になっている証のように感じました。
ふと、軒下に来るツバメの話にもなりました。
住まいは、自然や天候と切り離されて存在することはできません。
雪も、雨も、湿気も、冷え込みも、自然すべてを受け止めながら、暮らしを支える。
今回の温熱測定は、その“受け止め方”を確かめるための時間でもありました。
大雪のあと。
雨の日。
祝日でも仕事がある一日。
外の環境や家族のリズムが揺れても、室内の空気が穏やかであり続けるかどうか。
私たちが目指しているのは、数値の良さだけではありません。
季節が動いても、天候が揺れても、家族の暮らしが変化しても、家そのものが慌てないこと。
強さを誇示するのではなく、静かに受け止めること。
それが、私たちの設計の基準です。
測定結果は、後日あらためてご報告します。
けれど、この祝日の穏やかな時間そのものが、
すでに一つの答えのようにも感じました。
家は、特別な日のためではなく、
こうした何気ない一日を支えるためにある。
その積み重ねの先に、
本当の快適さがあると考えています。
築30数年の家をリノベした場合の室温
前回は築40数年の家でリノベーションも
何もしていない場合の室温測定の結果でした。
そして前々回は新築住宅で現在のZEH基準相当の
外皮性能を持つ家の室温測定の結果でした。
もし未だご覧になられていない方がいらっしゃいましたら、
以下のリンクからご覧ください。
新築の室温測定ケース、
築40数年の未工事の室温測定ケース
そして今回は築30数年の家を断熱も含む
リノベーションをした場合の室温測定ケースについて、
お話します。
以下の測定結果は2021年の2月中旬に
約1週間ほど連続してデータロガーにて測定した
結果になります。
そして2枚目が同期間中の最寄りの
観測地点におけるアメダスデータになります。
工事前の住まいのスペックとしては日本瓦葺き、
外壁はサイディングで壁面のみ
グラスウールが約40㎜程度の物が入っていましたが、
天井面と床面は無断熱でしたので、
前回の築40数年の家よりも気持ち
断熱がされている程度です。
今回の工事では1階の約2/3程度の範囲を
区切って断熱工事を含む工事をしています。
このデータを見る時に注目するポイントは
最低室温と室温が上がった後の室温が
下がるスピードつまり、下降線の勾配に
注目しています。
こちらのお住まいでは2021年の2月20日に
最低室温10.3℃となっています。
同日のアメダスデータでは最低気温が-3.1℃です。
この時期殆どの場合、最低気温は朝に記録することが
多く、室温も未だ住人が起きる前頃の時間に
最低室温を記録するケースが多いです。
そして、ここでも断熱工事を施した1階では、
暖房が必要か否かの目安となる10℃を
僅かに上回ることが出来ています。
つまり断熱工事による効果は
ある程度あったことを示せていると思っています。
因みに3番目に挙げたデータは
今回の工事対象外であった
同住まいの2階の部屋の測定結果です。
こちらのケースもやはり、
前回の築40数年の家と同じく
最低室温がかなり低く4.5℃となっています。
やはり外気温の影響をかなり受けている
ことになります。
では断熱材を一生懸命に入れれば
どの住まいでも、暖かくなって光熱費を
抑えた健康で快適な住まいになるか?
と言うと実はそれだけではないんです。
そのあたりの詳しい内容については
次回以降で又お伝えして参ります。
築40年の家の室温は?
前回の「室温10℃」では、
新築住宅の室温測定のお話でした。
今回は別物件で既存住宅でリフォームも
何もされていない築40年程度の家の
測定結果に基づいて話を展開します。
まず、こちらの住まいは築40年ほどの
土壁、瓦葺き、シングルガラス窓、
勿論屋根も壁も床も無断熱です。
関西では地方に行けば、
どこにでもあるタイプの住まいです。
先月2月の測定結果です。
暖かくなる前にと思い測定を行いました。
こちらは先月2月15日から2月21日までの
6日間測定しました。
測定期間中、2月17日の朝に室温が3.9℃となり、
とても寒い室内であることが分かります。
又、二番目に挙げたのは気象庁のアメダスデータで、
同日の2月17日の最低気温が-3.7℃を記録しています。
つまり、無断熱の家では外気の影響をまともに
受けてしまい、布団から出たとたんに「寒ぅ~」
となるため、中々布団から抜け出せない、
抜け出すためには気合で乗り切るのか、
暖房で部屋を暖めるなどしてからでないと、
まともに動き出せないと言う事態になります。
平均室温も8.9℃と、一日中寒いために
何かしらの暖房機器が必要になる訳です。
ここで一つ誤解を招かないように説明を加えます。
先ほどこちらの住まいのスペックとして
土壁であることを紹介しましたが、
土壁であるから寒いと言うことではありません。
断熱されていないことが原因となって寒いのであり、
土壁であっても、その特性を生かすような使い方をし、
きちんと断熱されていれば、
決して寒い家にはならないと思います。
このような寒い家では、お風呂に入る時や
トイレに入る時でさえ、ヒートショックに
気を付けて頂く必要が生じます。
次回は、そう言った心配を解消した、
又別のお住まいの測定結果を元に
話を進めてみようと思います。
ご期待ください。
室温10℃
ここ数日は平年以上の暖かい日が続いたので、
朝起きて暖房を付けずに過ごすことが出来た方も
いらっしゃると思います。
朝、寒くて暖房を付けないと過ごせない、過ごし難い。
その目安となるのが10℃を切るか否かだと言われます。
勿論、個人差があるため一概ではありません。
もうすぐそんな季節が近づいていると思うと、
少しウキウキしますね。
私どもで設計させていただく住まいの仕様では
冬季であっても、概ねこの10℃を切ることがなく、
冬でも寒さに凍えずに朝起きることが出来ることと
思います。
ここに挙げるグラフは建物完成後の冬季に
室内にデータロガーと呼ぶ温湿度を
測定する機械を設置させていただき、
数日間いつも通りに生活していただいた結果です。
日常通りの生活ですので、人が起きている時は
当然暖房機器も稼働していますし、
就寝時には暖房機器は稼働していません。
人が起きている在宅時には、その暖房機器の
影響で当然室温も上がり、留守でであったり、
就寝時にはその室温もそれなりに
低下していきます。
いわゆる家の保温性のようなことが
これグラフから読み取れます。
測定は2016年1月8日から同15日の1週間行いました。
赤いグラフが室温の変化です。
こちらのお住まいは現在の基準で言う所の
ZEH相当に近い程度の外皮性能を有します。
当時は低炭素住宅の認定を得ました。
暖房としてはエアコン1台でLDKと吹抜けの
比較的大きな空間を担っています。
最も室温が低かったのが1月14日で12.4℃です。
二番目の表は気象庁のアメダスにある当時の
外気温データで1月14日の朝に-3.3℃の最低気温を
記録しています。
温度差で比較すると室外と室内で15.7℃も
あることになります。
室温が12.4℃あれば、少し肌寒いと感じても
上に薄い衣類を1枚羽織れば、
十分快適に過ごせるとは思いますが、
このお住まいで2016年の測定ですので、
そこからさらに開口部周りの仕様を
見直した現在では、
もう少し快適に過ごしていただけるように
なっていると思います。
室温10℃の壁は、そんなに高い壁ではない
と思います。
現在ではもう少し上のレベルを目標に
置き室温測定の結果を楽しみにしています。