兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

リノベーションについて その8

ハプニング
リノベーションでは時として予期していなか
った良い意味でのハプニングもあったりしま
す。

下地無し窓
写真は、設計段階では触る予定のなかった壁
ですが、窓をつけて欲しいとのリクエストに
より、急遽、既存土壁に開けた開口です。見
た瞬間に、笑ってしまいました。

まるで額縁を通して眺める絵画のような風景
が、広がっていたのです。向こう側に広がる
のはお寺の境内です。思わず窓を設けずに、
このままでも良いのでは?と思ったほどです。

お茶室などの数寄屋建築では下地窓という手
法があります。壁の下地となる竹小舞が開口
の中に現わされたあの窓ですが、さしずめ下
地無し窓とでも呼ぶべき状態です。

壁の中から、こんにちは
上の写真に写る井戸のポンプ、その後ろに竹
を編んだような衝立が立っています。これは
壊した土壁の中にあった竹小舞をそのまま利
用したものです。

幾つか出てきたため他の箇所でも、塀に利用
したりなどしました。雨に当たるといずれ風
化はしますが、すべて廃棄してしまうよりも
昔の面影を残すと言う意味で面白いのでは無
いか?と思います。

民家博物館
そして上の写真、民家博物館のような展示に
見えるかもしれませんが、実は屋根替え工事
で撤去された茅葺屋根の一部です。扠首組
(さすぐみ)構造と呼ぶ屋根の部分だけが載
せてあるだけの構造なので形を保ったまま解
体出来たのだと思います。

経験値が上がる
新築では、中々起こることの少ない、このよ
うな珍しいハプニングとでも呼ぶべき出来事
は、これも又一つの経験として培われていく
ものと思っております。