兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

振動実験

本日も御訪問有難う御座います。

先日、三木市のEディフェンスで行われた公開振動実験に見事当選しましたので行ってみました。所が場所は、道路標識も無くホームページにある地図もすごく大雑把なもので少し分かり辛い所です。ここは県が造った(仮称)三木震災記念公園の中にある施設で、周囲には、無駄遣ではないかと兵庫県知事が責め立てられていた立派な陸上競技場等まで併設されています。建物自体はすごく大きなスケールで圧倒されるばかりでしたが、音響計画はてんで駄目、館内に流れる説明放送は拡散し残響音と次に発せられた言葉がお互い干渉しあって何を喋っているのか、見学者には全く理解できずで、残念ながら聞き取れませんでした。

又、実験後の説明も何も無くて実験が終了しました、の一言で帰宅の途へ、もう少し詳しい説明が欲しかったのですが、頂いた資料から、考えをまとめるよりなさそうです。まあ無料なので仕方が無いといえばそれまでですが・・・。

で肝心な建物は築30年のほぼ同じような間取りを持つ明石市に建っていた建物を移築し、片方には耐震補強を、もう片方には何もせず振動台に再現し並べ建てています。

建物の仕様としては壁、木ずりモルタルに屋根は瓦葺屋根、内部壁は土壁下地にジュラク仕上げと言うこの年代の建物にはよくある仕様です。

振動実験1

 

手前(右手)グレーの建物が耐震補強がされていない建物、奥(左手)アイボリーの建物が耐震補強を施された建物です。最初の地震波の入力は上下動(上写真緑矢印)のように感じました、次に南北方向(上写真赤矢印)の水平波で揺らして次第に鷹取波と呼ばれJR鷹取駅で観測された震度7レベルまで上げ、わずか数秒~数十秒で下の写真のように補強が施されていない方は倒壊してしまいました。

振動実験2

加振直前と加振中の撮影は禁止されていましたので揺れている途中の画はありませんが見事補強されていない建物は1階部分が倒壊し姿がなくなってしまっています。実際に倒壊する正にその瞬間を映像ではなく実際に、目の当たりにした(倒壊後の建物は震災後に沢山見ました)のはこれが初めてでしたから少しの衝撃と、何とも言えぬ絶望感を感じ帰りの途に付きましたが、実際に、あの家の1階で寝ていたらと思うとゾッとしますが、下に資料を載せました。

振動実験資料

間取りを見るとこのように2階部分が姿を残し、倒壊した理由が一目瞭然です。いわゆる頭でっかちの住まいなのです。

1階の外周部分の壁は南北方向(上写真の赤矢印に平行な方向)は窓、ドア、ばかりで殆ど耐力要素となる壁が存在しないばかりか、住まいの間仕切りとなる壁の部分も建具ばかりのがらんどう状態でありながら2階は比較的多くの壁が存在する状態で、2階は地震に耐えたけども1階が耐え切れずに遭えなくこのような状態にと、大まかにはこのような感じですが、細部の検証は防災科学技術研究所の結果を期待するとして。

 

さて間取りを考える上で1階に個室を配して2階にリビングなどを設けるいわゆる逆転型の間取りが最近増えていると思いますが、この間取りの個室の間仕切り壁を利用して耐力を備えさせる事で、このような倒壊に対し効果を持たせる事が出来ると言うのもメリットの一つとして考えられると言う事も場合によっては少し考えてみるといいかもしれませんね。勿論2階にリビングを持っていくメリットは他にも沢山ありますけども・・・。