住宅の室温と健康との関係
寒い家に住み続けるリスクは多々ありますが
WHO(世界保健機関)がエビデンスの
確実性は中程度としながらも以下のような
勧告を出しています。
冬季室温18℃以上(強く勧告)、
新築・改修時の断熱(条件付き勧告)、
夏季室内熱中症対策(条件付勧告)
又日本では温暖とされている県での
冬季死亡増加率が大きくワースト順に
栃木、茨城、山梨、愛媛、三重、鹿児島
となっている厚労省の統計調査が出ています。
これと総務省の断熱住宅普及率を比べると、
やはり断熱住宅の普及率の低い県と
先の冬季死亡増加率が多い県が
見事にリンクしています。
又断熱改修をする前と改修した後では
循環器系の疾患やアレルギー性の疾患などに
改善傾向が見られると言う調査結果も出ていて、
やはり暖かい家にはメリットが多く
気候的に寒い北海道や青森は
家自体が寒冷地対応になっているため、
先の冬季死亡増加率では順に47位と46位
になっています。
夜中に何度もトイレに行く方にも
暖かい家の恩恵があり断熱改修により
症状が改善される傾向が見られると言う
データも出ています。
このように住まいの室温と健康との関係は
密接で暖かい家ほど健康指標が向上する
データが揃えられ、益々暖かい家の需要が
求められるようになっています。
今日の内容は、国交省が出している、
こちら からデータを参考にさせていただいています。
お引渡し
「丁寧に暮らす家」(二期工事)
先日、お引渡しをさせていただきました。
1坪にも満たない洗面脱衣スペースに
洗濯、洗面、収納、物干し、換気乾燥など
多くの機能を必要とします。
滞在時間こそ短い部屋ですが一日の中で
朝起きて顔を洗う時、歯を磨く時、洗濯をする時、
洗濯物を干す時、夜お風呂に入る前、入った後に
必ず使う、非常に使用頻度の高い空間です。
以前も同じ場所にお風呂と洗面脱衣場が
同じ広さ、同じ天井高さで存在していました。
こちらの住まいでは一期工事時に
小上がりの入り口に大きなアーチを採用し、
それがアクセントデザインとして生きています。
そのテーマを引き継いで二期工事でも
洗面脱衣場の入り口にアーチを採用しています。
単純に出入り口をアーチにするだけでも
良かったのですが、折角この場所や浴室にも
断熱気密、気流留めを施して
これまで暑くて、寒くて滞在するのが苦痛だった場所を、
そのような体感から無縁の場所に生まれ変わらせるので、
もう少し長く滞在しても
居心地良く感じられるようにするには、
何かもう一工夫欲しいなあと考えました。
それには空間の操作、つまり空間の変化を
もたらすことが一番だと考えました。
そのために触れる部位はどこか?
床はバリアフリーを求められるため
フラットである必要がある。
壁は洗濯機や洗面台を置くため
既に最低限のスペースであり
整形を崩すことは難しい。
であるならば、天井はどうか?
洗面台や洗濯機置場の上のスペースは
手が届く訳ではない。
従って、この部分なら何かしら
変化をつけても大丈夫であろうとの判断で、
ここに変化をつけています。
Rで下がってきた天井と壁の接点を
少しずらして隙間を設け、
その隙間に照明を仕込んで間接照明にし、
この間接照明が部屋の主照明となっています。
単純にお風呂を入れ替えるだけなら、
工事期間は1カ月も掛からず出来るはずですが
折角、一旦スケルトンの状態にするなら
断熱、気密と言った基本性能も触れるチャンスです。
コストを抑えたいがために、そのチャンスを逃すのは
愚の骨頂です。
一般的に築20年以上ほど経つ家は
仮に断熱材が入っていても
かなり貧相な断熱かと思います。
ここをしっかりとケアしておくことで、
今後の生活、こと冬場のヒートショックに
対しても大きな効果があると思います。
家が寒いとお考えの方、40代後半以上の方は
やはりこういった部分がご自身の健康状態にも
大きく左右すると思います。
只、断熱材が入っていれば良い訳ではありません。
中途半端な断熱や気密対策では折角掛けた費用も
4割ほど無駄にします。
又、プロでも意外に見落としている個所もあります。
経験豊富な私どもこそ、改修のキーポイントを
熟知しています。
是非、芦田成人建築設計事務所の改修工事を通し
健康で快適な生活を経験してみませんか?
入れ子のような
「Courtyard house in Tamba」の現場では
造作工事が始まりました。
造作工事とは構造部分以外の内装工事を指し、
例えば天井工事や床工事、窓枠、建具枠工事など
割と幅広くの工事があります。
又、造作家具工事になると大工さんが造る
家具もあれば、家具屋さんが造る家具もあります。
大工さんが造る家具は基本的に現場で造るため
壁下地と一体化させたりすることも出来ます。
又、家具屋さんが造る家具はある程度、
精度が要求される工事が多いため
作業場などで専用の機械を用いて製作され、
現場では設置するだけと言ったケースが
多くなります。
こちらの現場では2階の主寝室に
収納が造作されましたが、
この段階を見ると入れ子構造のようにも
見えなくもありません。
入れ子とは空間の中に、
もう一つ空間が存在するようなことを
指しますが、これは収納の上がロフトの
ようになっていて、
その上にも床のような空間が出来る事が、
そのように見えるのかもしれませんね。
引けない
「丁寧に暮らす家」の二期工事がかなり進みました。
今週10日には引き渡しになります。
お風呂と洗面の工事ですが
寒い時期に入る前に済ませませんか?
とのことで夏の暑い時期の工事となりました。
その間、洗面化粧台や洗濯機もここでは
使えないため、仮の場所で
ご使用いただかないといけないことが
寒い時期を前倒しした理由でもあります。
計画段階で天井にRを用い、
それを木で実現させようとしていたのですが、
果たしてその方法は?を模索しました。
結果としては一番、木にも負担が
少ない方法となりました。
木は曲げていません。
細幅の木を天井下地の形状に沿わせて貼っています。
天井の高い位置で洗面化粧台や洗濯機が
並ぶ上の空間は、手を伸ばしても
簡単に届く場所ではありませんので、
別に真っすぐに天井を貼る必要もありません。
であるなら空間を柔らかく見せる効果としての
Rにしても良いのでは?との発想です。
そしてRによって少し下がってきた壁との
隙間に間接照明を仕込んで部屋全体を明るく照らします。
結果として、この間接照明は正解であったと言えそうです。
尚、写真の向きのアングルは部屋の大きさの加減でこれ以上後ろに下がれない(引けない)ため私のスマホカメラでは上半分を写すのが精一杯でした。
針葉樹の家具 その2
さて、前回針葉樹が家具に用いられることが
少ないとお伝えしましたが、
かなり厳密に言うと、椅子に用いられることが
少ないと言えば伝わりやすいのかもしれません。
何故でしょうか?
その前に「針葉樹」と「広葉樹」の違いを
説明しておくべきですね。
既にご存知の方も多いと思いますが、
針葉樹とは書いて字の如く葉の形が針のように
細長い形をしていて杉や桧が、
その代表的な樹種になります。
比較的早く成長し樹齢50年ほどもすれば
家などの構造材として利用できるほどに育ちます。
それに対して「広葉樹」は葉の形が大きく
樹木の生長にもかなり時間を要します。
この成長の違いが利用適正に影響するのですが、
その話は後ほどさせていただきます。
椅子に用いる木材は幾つかのパーツに分かれていて、
それを組み合わせることで出来上がります。
材と材を組み合わせる部分を仕口(しぐち)と
言いますが、先ず問題となるのが仕口の強度です。
仕口に強度が無ければ家具として成立しません。
針葉樹の場合、材料の断面が
ある程度大きく確保されていないと
仕口の強度を発揮し難い特性があります。
しかし、椅子のパーツでは仕口断面が
とても小さくなるため、
そのデザインによっては仕口強度を発揮出来ずに
椅子としての用を成さないことも考えられることが
採用し難いのだと思います。
木材の重さを現わす用語に「比重」
と言う言葉があります。
比重とは書いて字の如く、重さを比べたものですが、
何と比べているかと言うと「水」です。
同じ容積の水を1とした場合に、
その木材がどの程度の重さを持つかで表すのですが、
針葉樹の桧で0.41程度、広葉樹のナラで0.67、
ウォルナットで0.62程度と、
針葉樹に比べて広葉樹の比重は少し大きく、
重さがあることがこの数値からも分かります。
実際に樹種のサンプルを手に持った時も、
桧だけが他のサンプルに比べて明らかに軽かったのです。
先ほど針葉樹と広葉樹の成長速度の
違いについて述べましたが、
この成長速度の違いが比重にも現れます。
早く成長すると言う事は、それだけ中身が密でない
と言うことになります。
同じ針葉樹であっても南国で成長する杉と
寒い地域で成長する杉を比較すると
年輪と年輪の間隔に差があります。
南で育つ杉は比較的早くに成長するため
年輪と年輪の間隔が大きい傾向があり、
寒い地域で成長する杉はその逆で
年輪と年輪の間隔が密でぎゅっと詰まった
木材が多い傾向にあります。
広葉樹ならば、このぎゅっと詰まった感が
更に密であり木の硬さにも関係します。
従って硬い広葉樹の方がより精密な仕事を
要求される家具、特にデザイン的に凝った椅子には
向いているとされます。
勿論、針葉樹にも針葉樹が適した用い方があります。
要するに適材適所と言うことですね。
車庫
前回の続きで「針葉樹の家具」の話に
しようと思いましたが、
先に更新したい内容もあるので
次回こそ「針葉樹の家具」のお話に
させていただきます。
そして、今回は車庫のお話。
一般的に車庫と言うと既製品の
アルミカーポートで済ませてしまうことが
多いと思いますが、
折角、家を注文建築で建てたのなら、
そこは車庫にも気を遣うべきで
取って付けたようなアルミカーポートに
すべきではないと思います。
要は家とのバランスですね。
既製品のカーポートは、
お手軽で良いのでしょうけども、
それを付けたばかりにバランスを
崩してしまい目を覆いたくなるケースを
何度も目にしたことがあります。
多分、造り手側が、どれにしましょう?
と言ってカタログを持参してしまっていることが、
既製品カーポートが多い原因と考えますが、
造り手側も手軽さばかりを重んじるのではなく、
全体のバランスを見て、
どう造るかを考えるべきかと思います。
そして、もう一つ大きなハードルは
コストでしょうか?
造る方が、幾分かコストアップにはなりますが、
ものすごくアップになる訳ではありませんので、
造り手側が、もう少し仕様などを
工夫してコストを抑えつつバランスを
崩さない物を提案すれば、
もう少し普及すると思います。
写真の車庫は母屋とは構造的に
別棟でアプローチを兼ねているため、
コストを抑えた仕様ではありませんが、
建物とのバランスを考えた配置と形状にしています。
針葉樹の家具
終末、住まい手さんと一緒に家具のお店に
同行させていただきました。
お伺いしたのは以前から何度も
御世話になっているARIAさんです。
今回は椅子の樹種と座面の生地選びですが、
インターネットで見るのと実物にどの程度、
違いがあるのか分からないため、
サンプルをご用意いただき見比べてきました。
今回、驚いたのがサンプルの樹種の中に
「ヒノキ」(右下)が入っていたことです。
椅子のデザインからして硬い広葉樹でないと
無理な加工になることが予想されるため、
まさかでした。
勿論、ヒノキの椅子は、
これまでにも見たことがありますが、
殆どが直線的なデザインで、
余りRを用いたデザインは見たことが
ありません。
この制作会社の技術によってヒノキでも、
そんなデザインが叶うのか?は
確認し忘れましたが、
業界でも相当技術力が高いことで
知られる会社さんですので、
可能なのかもしれませんね。
今回選択されたのは「ヒノキ」では
ありませんが・・・。
何故、針葉樹が余り家具に
用いられないのかは、次の機会にお話しします。
耐震への関心
昨今、「耐震」と言う言葉は随分、
市民権を得たように思います。
これまでは大きな震災被害が起こった直後に
一時的に世間の関心が向き、
又忘れ去られたように関心が薄れていくの
繰り返しだったように思いますが、
昨今では新築住宅では耐震等級がいくら
と言った謳い文句があったり、
或いはクアイアントさんご自身から
耐震等級3を確保したいなどの
言葉も飛び出るほどになったと思います。
しかし既存住宅はどうか?と言うと、
まだまだ関心が希薄なように思います。
特に年配の方は、後何年住めるか分からないので、
どうでもいいと言う言葉もあるようです。
しかし、南海トラフを中心とする
大地震がいつ起こってもおかしくない
周期に入っていることもあり、
中古住宅こそ対策が必要なんですが、
コストも掛かるし、
そこまで手が回らない方も多いと思います。
兵庫県では耐震改修工事に補助金を付けて
耐震改修を促進させたい思いもあるようです。
もし私が耐震改修促進セミナーの講師として
呼ばれたならば、どのような話をすれば、
皆さんの心に話が届くかなあと考えてみたのですが、
先ずは最も手軽にできる地震被害を
軽減できる方法をお伝えすると思います。
それは何かというと寝室のタンスなどの
大きな家具を固定して家具の下敷き
とならないようにすることをお勧めします。
「なんだ、そんなこともうやってるよ」
と言う方は良く出来ましたとお伝えしたい所ですが、
固定の方法に気を付けて頂きたいのです。
ツッパリ棒などではなく、
転倒防止用のチェーンなどで、
構造体に固定することを強くお勧めします。
ツッパリ棒は軽度の地震には効くかもしれませんが、
基本的に家具の上部と天井の間で
突っ張っているだけなので、
大きな地震が来て天井が落ちてしまうと
突っ張ることが出来なくなります。
住宅の天井って薄い材料なので
意外に簡単に壊れますし、
突き抜けますので、
よりセーフティーなのは
柱や梁などの構造体です。
家具が転倒してその下敷きにさえならなければ、
家が倒壊していなければ、自由に動けます。
仮に被害を受けた家や隣家から
火が出てしまうと
家具に下敷きになったままでは
家から脱出することさえ出来兼ねるため、
やはり寝室の大きな家具の
固定は重要と言えます。
只、これで話が終わってしまっては
耐震の話にならずに防災の話に
なってしまいますね。
従って、その後に本当の耐震に
関する話につなげると思いますが、
長くなるので今回はここまでとさせていただきます。
窓
「Courtyard house in Tamba」の現場では
職人さんが一人加わり
離れの車庫工事が始まりました。
長らく一人体制で動かれていたのですが、
ようやくこの現場にも
加勢していただけることになったとのこと。
何せ、こちらの現場は
とにかく大工仕事が多いので大変なのです。
その大変さの原因をつくったのは私ですが・・・(汗
さて、こちらのお住まいには
南面に大きな窓を設えているのですが、
と同時に日射対策として庇も備えています。
横へ引く窓、押し出して開く窓、開かない窓、
窓にも様々な仕様があり、
それぞれに役割も違います。
横へ引く窓は「片引き窓」と呼び
引いた分だけ大きな開口となり外と繋がります。
開くことによって人の出入りも可能となり
空気も出入りします。
押し出して開く窓は「横滑り出し窓」と呼び、
腰窓や2階の窓として使用することが多い窓です。
ストッパーが付いているため
開く角度に制約を受けますが、
それが防犯の役割も兼ねています。
但し、ストッパーを解除すれば
地面に水平な角度まで開くことが出来るため、
窓の外側の掃除をすることが出来るようになります。
木を曲げる?
丁寧に暮らす家の二期工事、
先週の出入り口部分に続き、
次は天井の仕上げ工事に入っています。
天井にもアールをつけています。
部屋を四角く造っても天井の隅の部分は
空間として使われることはありませんし、
特に洗面化粧台や洗濯機などを置くと、
その奥行で人の手が触れる訳でもないため、
天井の片側を丸くしています。
最初から、天井には木を使いたいなあ
と思っていたのですが、
木を曲げて丸くするのは手間が掛かるので
木を曲げることなく丸い天井にするには
どうするかと言うと
結局、細幅の木を少し間を空けながら貼る
(底目貼りと言います)ことで
木を曲げることなく丸い天井が出来ます。
大工さんは一本ずつ隙間の幅に気を
付けながら仕事を進めておられました。
多分、今頃、天井も完成していると思います。
次、現場に行くのが楽しみです。
テーマ
丁寧に暮らす家の二期工事の現場は、
どんどん進んでいます。
内装工事は日に日に仕上がりに
近づいています。
待ち遠しいのはお風呂の工事です。
メーカー責任施工のシステムバスになるため、
納品施工は発注して直ぐには来てくれません。
月末が、その予定ですが先行して、
風呂周りの断熱施工も進めていただいています。
洗面所の出入り口に採用したアーチ型は
一期工事からのテーマを引き継いだ統一デザインです。
大きなアーチ、小さなアーチを含めると
計5カ所も存在することになります。
これまでの設計でアーチを採用することは
少なかったのですが、こちらの住まいでは、
小上がりに採用したことがキーデザインとなり、
しつこくなり過ぎず、アクセントとして
生かせるように、あちらこちらに
アーチを散りばめています。
アーチの仕事はその径が小さければ小さいほど、
職人さんにとっては
ハードルの高い仕事になると思いますが、
今回も綺麗にまとめていただけそうです。
照明器具
当事務所の竣工写真に写る照明器具の
殆どは設計の段階で、当事務所で
選択させていただいています。
選択のポイントは空間の仕上がりを想像し、
そこに合った物を選ぶこと。
そしてメリハリを付けること。
明るさのメリハリも、そうですし、
価格面でのメリハリもつけます。
明るさが必要な場所には必要な光量を、
逆にそうでない場所にはぼんやりとした
間接照明でも良い訳です。
中でもよく登場するのが
写真のトルボーと呼ぶ器具です。
ルイスポールセン社が扱う器具で
ランプシェード(笠)の部分が
スリガラスで作られているため、
中で灯った電球の光がシェードを
通してぼんやりと明かりを拡散させるために、
ダイニングテーブル周りなら、
これ1灯で十分だと思います。
逆にシェードの部分が金属製の器具は
光が照明器具の真下を主に照らすため、
物によっては明るさ不足を
感じるかもしれません。
従って、初めて使う器具の場合は
実物の光の出方を確認して採用の
有無を確認するようにしています。