玄関に入った瞬間の、あの感じ
大きな屋根に守られて 玄関ホール
陽だまりで繋ぎました 玄関ホール
回って抜けて多動線の家 玄関ホール
玄関に入った瞬間、
「なんだか落ち着くな」と感じる家があります。
広いとか、新しいとか、そういう分かりやすい理由ではなくて、もっと感覚的なもの。
今回の写真の住まいも、そんな空気を持っています。
その理由のひとつが、下駄箱の天板に使った無垢の木です。
数枚の板を剥ぎ合わせて、大きな天板として仕上げています。
よく見ると、木目も色も少しずつ違っていて、均一ではありません。
でも、その“ばらつき”があるからこそ、
光が当たったときの表情に深みが出て、空間にやわらかさが生まれます。
玄関は、外から帰ってきて最初に触れる場所。
鍵や荷物を置いたり、ふと手をついたり。
そんな日常の何気ない動作の中で、
自然と木の質感に触れることになります。
最近は、こういった天板にも集成材を使うことが増えています。
寸法が安定していて、扱いやすい、とても合理的な素材です。
ただ、こうして無垢の木を使ってみると、
少しだけ“時間の流れ方”が違うように感じることがあります。
使っていくうちに少し色が変わったり、
小さな傷がついたり。
でもそれも含めて、暮らしに馴染んでいく。
玄関という場所に、そうした変化を受け止める余白があると、
家に帰る時間が、少しだけ豊かになる気がします。
無垢が良い、集成材が悪い、という話ではありません。
ただ、どこにどんな素材を使うかで、
暮らしの感じ方は変わるのだと思います。
玄関の一枚の板が、
その家の印象を静かに決めているのかもしれません。