Narito Ashida Narito Ashida

寛容な気持ちで

先日、中庭のある家に御伺いしてきました。
車庫には車が止まっていなくて、2台ある車
は何れも敷地内ではあるけども、車庫の外に
あり、「あれ?」と思ったのですが私も車を
降りて家に近づいてみると納得でした。

何だか、分かりますか?

車庫の床には大きめの段ボール箱も置かれて
いました。車庫の中を見上げると梁には泥の
塊のような跡が3カ所ほどに、そうです、田
んぼに水が入りだすとツバメが巣を作るため
の場所を求めて飛び回るんです。

で、3カ所の内の1つが実際に巣として使わ
れていたようですが、既に巣立ったらしく、
ひな鳥は居ませんでした。

これまでにもオープンな車庫は何棟も設計さ
せていただいていますが、殆どの皆さんは寛
容な心で巣を作らせてあげています。

昔からツバメと人間の生活は身近な場所にあ
ったようで、ツバメが巣を作った家は栄える
と言う話さえ聞いたことがあります。

ツバメは人間の生活する近くに巣を作ること
で外敵から身を守ることが出来、又ツバメは
田んぼの害虫を食べてくれるので、昔は、
WIN WIN の関係が成り立っていたようです。

こうやって巣を作りに来るのは本物の木を使
っているからであって、工業製品で覆われた
家ではツバメさえ寄って来ません。

本物の証であることを実感していただき、寛
容な気持ちで対応されている住まい手さんの
優しさを毎回感じます。

木の家を選択される殆どの住まい手さんは、
皆さん心が広くて生活を楽しまれているよう
に感じます。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

CAD図面と手描き図面

当方では昨今、CADで図面を描くことが殆
どです。しかしプランを考え始める段階で
はいきなりCADを使う訳ではなく、手描き
の落書き程度から始まります。

正直、若い頃はコンペで仕事を獲っていた
こともあります。コンペと言うことは他に
競う相手がいる訳で、その見えない相手と
どうやって差をつけるのかと言うことを考
えていたこともあります。

勿論、プランが如何に住まい手の心に刺さ
るかが一番なのですが、木の家を好まれる
と言うことはやわらかさも好まれるのでは
ないか?と思い、手描きの平面図や手描き
のパース(建物を立体的に表現した図面)
で提案したこともあります。結果は割と好
評なことも多く、読みが当たったとも言え
ます。

さて、最近また手描き図面のプレゼンテー
ションと言うのもありなのかな?と言う考
えも湧き上がっています。別にコンペと言
う訳でもないのに何故、このような考えが
湧きおこるのかは不思議ですが、CADの便
利さには勝てない魅力がそうさせるのかも
しれませんね。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

引き取り手がない?

先日、解体の現場最終確認に訪れた際に現場
作業員の方から聞いた話ですが、表層改良さ
れた後の土の塊を処分したくても、引き取り
手が少ないとのことでした。

コンクリート基礎を解体した後の塊は再生コ
ンクリートとして使えるので引き取ってくれ
る所はあるのですが、普通の土を人工的に加
工してしまうため、役目が終わった後は再生
も出来ないからなんだそうです。

建築にはLCCM(ライフサイクルカーボンマ
イナス)と言う考え方があります。つくる時、
使う時、廃棄する時、全てのサイクルにおい
て出来るだけ省CO2に取り組み、再生可能エ
ネルギーなどを利用し、その収支をライフサ
イクルを通じマイナスにしようと言うもので
す。

所が現在の住宅建築においては、とにかくイ
ニシャルコストを低く抑えることが全てであ
るかのように、より安い選択肢を選びがちで
す。

先の改良後の土も、環境への負荷と言う側面
では、いずれ引き取り手も居なくなるか、あ
るいは不法投棄と言うことが常態化するかも
しれません。

そう考えると、事態は結構深刻なのではない
か?と思います。環境負荷の小さい方法が、
もう少し浸透すれば価格も抑え易くなり、結
果として皆が採用しやすい方法となります。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

坂道に建つ家

厳密に言うと「坂道脇の敷地に建つ家」です
が長いので「坂道に建つ家」にさせていただ
きます。

先日は従前の建物の解体工事も終盤に近付い
たとのことで、現地確認におうかがいしまし
た。この辺りは山を切り開いて造成されたこ
とが良く分かる土地で、盛り土敷地か切り土
敷地かで外構の造成に掛かる費用も大きく変
わります。

勿論、盛り土敷地の方が外構工事に費用が掛
かる訳ですが、このお住まいが建つ敷地は盛
り土敷地になります。

隣接するどの敷地ともレベル差があって計画
自体も家に入るまでに階段を何段か登ってア
クセスすることになります。

本格着工は、もう少し先になります。まずは
確認申請を通さなければ・・・。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

測量の日

今日、6月3日は測量の日、なんだそうです。
現在の測量法が昭和24年6月3日に公布され
たことが始まりなんだそうですが、所で現
在の測量法ってどんな方法なのでしょう?
と思ったのですが、この場合の「法」は方
法の「法」ではなく、おそらく法律の「法」
なのでしょうね。

日本語の難しさが、ここにあると思います。
一つの文字で意味が複数存在する、こんな
ややこしい言語を海外の方がマスターしよ
うと思えば、それこそ年月が係るに違いあ
りません。

さて、話を「測量方法」に戻します。我々
の業界で、測量と言えば敷地の測量が一番、
親しみのある方法になります。

残念ながら、精密な測量を出来る機械を所
有している訳ではありませんので、当方で
出来る測量と言えば平板測量と呼ぶ非常に
ローテクな方法です。いわゆる巻き尺で方
向性を睨みながら測るため、測る人の技量
次第で結果がバラバラになります。

田舎のゆとりある敷地であれば、この方法
でも十分な場合も多いのですが、都会の建
蔽率や容積率、目一杯に建てなければいけ
ない場合は、きちんとした光波測量などの
機械を使って測量していただくに限ります。

さて、今日の写真はタイトルとは全く異な
りますが先日、歩いていた時に撮ったもの
です。水鏡に映る山々は、どれだけ遠くに
あろうとも距離に関係なく、その姿が田ん
ぼに写り込みます。

あれだけ距離が離れているのに何故?ご存
知の方は是非、教えていただけますでしょ
うか?

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

ジャケ買い

その昔、私が高校生の頃は未だLPレコード
で音楽を聴くことは、ごく普通でした。
しかしその後CDの登場でLPレコード自体が
廃れ、アーティストのアルバムはCDに写り、
同時にLPレコードのジャケットに描かれて
いた芸術的な表現もコンパクト化され、ジ
ャケ買いと言う言葉も廃れたように思いま
す。

本好きの私は、何を買う訳でもなく時間さ
えあれば書店をウロウロしているのですが、
最近の新刊小説の表紙が実に賑やかで芸術
的な表現がされていて、思わず手に取って
中身をパラパラとめくってみたくなります。

多分、その戦略にはまっているんだろうな
あと思いながら、わざと戦略にハマりに行
っているんだと言い聞かせ、書店のお勧め
とか本屋大賞受賞とかも併せて端から端ま
で全部買いたい衝動に駆られながら、ぐっ
と我慢して1冊に絞るのです。

しかし、それも読み終えると又次にと言う
感じで本棚には蓄積が増えていくのです。

数週間、本屋さんの中で生活出来たならば
と言う妄想を抱き、次にジャケ買いする本
は何になるのだろう?と構想を練っていま
す。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

360°

調査用の力強い味方を購入しました。360°
カメラです。

購入前に色々調べてみたものの調べたい内容
は、中々見つからず購入に踏み切れずにいた
所、何と短期間に価格がびっくりするほど上
昇してしまい、購入意欲を奪われてしまい暫
く見送っていました。

一体、この価格の急な上昇の理由は何だった
のでしょうか?かと言って現在でも価格は上
がったままです。

しかし先日ふと、お薦めに出て来たのが今回、
購入した物になります。値段も急な値上がり
前と同じくらいで、もしかして中古品?と思
いましたが新品でした。

特に動画を撮りたい訳ではなく、建物調査の
際の記録用に使用する予定です。別売りの棒
を買えば屋根の上も撮影できるようです。

唯一の弱点が、暗所撮影のようで、フラッシ
ュ機能はありません。従って天井裏や床下な
どの暗所は、投光器などで照明を灯し、撮影
をすることになりそうなので、投光器の購入
も必要になりそうです。

360°カメラの長所は1回の撮影で、360°を漏
れなく記録できるため、あそこどうなってた
かな?と言う撮り逃しを防げることです。

今まで、調査用の道具で一番のヒットだった
のはレーザー距離計ですが、果たしてそれを
上回る道具になるのか、これからが楽しみで
す。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

吹抜もほどほどに

以前、リノベーションのご要望に「吹抜けを
つくりたい」と言うご要望がありました。

どの程度の規模の吹抜かを確認したところ、
相当大きな吹抜けをイメージされているよう
でした。しかし私は、そのご要望に沿うよう
な提案はしませんでした。それは何故だと思
いますか?

実は、吹抜も力の伝達経路になっているんで
す。力って何の力かと言うと地震などの大き
な力が作用する場合のことを指します。

建物に作用する力は上から下に流し、最後に
はその力をスムーズに地面に流すと言うのが
理想なんです。その経路の中には床も含まれ
ます。

地震には「耐力壁を」などと言う言葉を聞い
たことをある方もいらっしゃると思います。
壁は注目されるけども、床への注目は薄いの
が実情です。吹抜けをつくると言うことは、
これまで力の伝達経路の一部であった床を無
くしてしまうことになるので、そこにかかる
力はどこへも行きようがなくなると構造体の
弱い部分を狙って力が作用し、建物を壊して
しまい兼ねません。

なので、大きな吹抜けへのリクエストは説明
をさせていただいた上で小さな吹抜けで提案
をさせていただいたのですが、どうもご不満
のようでした。

結局、この仕事は成立しませんでしたが、全
てのリクエストに素直にお答えするかと言う
と、プロから見てダメなことは駄目と言える
のが本当のプロだと思っているので、止めて
おいた方が良いことは、はっきりとお伝えし
ています。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

剛床

構造体が最も綺麗に美しく見えるのが棟上げ
くらいまでの一瞬のタイミングなのですが、
その瞬間に立ち会った時には毎回、「このま
まがいいなあ」と思ったりします。

しかし、そのままでは雨が漏ったり、色々不
都合が生じるため、そうもいかないのが現状
です。

今回の写真も、そんな瞬間かもしれません。

碁盤の目のように綺麗に正方形が出来上がっ
ています。当事務所では1階の天井には梁が
現れる仕様なので構造=意匠と言う概念で構
造計画を立てています。この後、2階の床を
固めるてに厚板構造合板を張っていきます。
いわゆる剛床(ごうしょう)と呼ぶ仕様です。

他にも屋根野地板が貼られる直前の垂木の間
から射し込む陽射しに照らされた室内の様子
を見ると、「ここで時が止まって欲しい」と
ありもしないことを思ったりします。

我々にしか味わえない、どうでもいいフェチ
ズムなのかもしれませんね。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

直下率

「直下率」と言う言葉が注目されるようにな
ったのは2016年に起きた熊本地震でのこと
とだと記憶しています。

直下率が低い建物は、繰り返し地震に弱いと
言われるようになったのですが、さて「直下
率」とは何か?と言うと、1つは、平面図上
で見た時に上下の階で柱の位置が、どの程度
の割合で同じ位置に存在するかと言うこと。

そしてもう1つは、同じく平面図上で見た時
に上下の階で、耐力壁の位置が、どの程度同
じ位置にあるかと言うことを指します。勿論、
出来るだけ多くの柱や耐力壁が上下階で同じ
位置にある方が好ましいのですが、100%一
致させるなんてことは至難の業だと思います。

一般的に柱の直下率は50%以上が目安と言
われていますが、さて私も、熊本地震までは、
直下率を意識したことはありませんでしたが、
しかし独立当初から構造材を現わす家づくり
をしているため、いつも構造と意匠は一体で
検討しています。

従って自ずと直下率は高い家になっています。
下部に柱の無い梁の上に柱を載せると構造的
に梁の構造負担が大きくなり、梁成も大きく
する必要があります。

この写真であれば比較的上下階の柱位置が一
致していることを認識していただきやすいと
思います。プラン的にも総二階部分の柱位置
を揃えやすかったです。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

カフェ板

最近YoutubeのDIYで家具を作る動画を見
ていて出て来たのが、この「カフェ板」と
言う名前です。

聞いたこと無いなあと思っていたのですが、
あっちの動画にも、こっちの動画にも登場
するので、そんなに有名なの?と思ったほ
どですが、先日ホームセンターに寄った際
に、置いてありました。そこには中国木材
と書いてありました。

中国木材ってドライビームと呼ぶ米松の構
造材で有名な会社なんですが、ついに国産
材の杉を使って、そのような商品を販売す
るとは、なるほどです。でも国産材が普及
するなら良いことだと思います。

カフェ板の形状は特許庁の意匠登録されて
いるそうで、グッドデザイン賞も受賞され
ているようです。

カフェ板の厚みは3cmほどで、その断面は
V字型になっているだけで、特段凄いとは
思わなかったのですが、これまで見てきた
実板の形状とは確実に違いました。

でも、これが人気があるんですね。複数枚
を引っ付ける場合、本実の方が安定感があ
ると思いますが、常識と思っていたことが、
少し目線を変えることで新しい商品が生ま
れる。いい勉強をさせていただきました。

Read More
Narito Ashida Narito Ashida

大黒柱はなぜ太い?

お若い方には「大黒柱」と言ってもご存知ない
方がいらっしゃるかもしれません。もしかした
ら鬼滅の刃の新しいキャラクター?って答えら
れてしまうと、思わず笑ってしまうかもしれま
せん。

今の住宅には大黒柱が無い場合も多いので、知
らないのも当然になる日が近いかも。大黒柱と
は、家の中心付近にあって、他の柱よりも一回
りか二回り、或いはそれ以上に太い柱のことを
指します。

では、なぜ大黒柱は太いのでしょうか?家の中
心にあって、この柱が建物をしっかり支えてい
るんだと言う意味合いで象徴的に太い材料を使
っていると言うのも一説ですが、他にも理由が
あると考えています。

家の中心にあると言うことは、柱のあちらや、
こちらから梁を受けることになります。或いは
梁が柱に刺さってくることになります。すると
柱と梁が交差する部分には何らかの加工が施さ
れます。

このように柱と梁が交差する部位のことを仕口
(しぐち)と呼びます。特に大黒柱は家の中心
にあって、2階まで延びていることが多いため
柱の方に大きな仕口が施されることになります。

次の写真が柱仕口のモックアップですが、実際
に組まれていた物をその部分のみ切り取ってい
ただいてきました。

写真の赤いラインを入れた部分で柱を切断した、
その断面が下の図になります。仮に、柱が12cm
角の材料の場合、何も加工が施されていなけれ
ば、その断面積は144㎠です。所が同じ太さの
材料に4方向から梁が刺さってくる場合、その
部分の断面積は71.04㎠になります。(図右上)

見ただけでも、ちょっと心許ない形に見えませ
んか?そして、柱の太さが15cm角になった場
合に四方から梁が刺さってくると残りの断面積
は152.04㎠になり、左上の図の場合よりも断
面積は大きくなります。更に柱が太くなり18
cm角になった時に四方から梁が刺さってくる
と、残りの断面積が251.04㎠となります。

勘の良い方は、既にお気付きと思いますが、木
の断面積と強度はある程度比例します。従って、
建物の中心にある大黒柱は構造的に太くしなけ
ればならなかったと言う理由もあるのだと思い
ます。

Read More