兵庫、京都、大阪で誠実に丁寧に木の家をつくる芦田成人建築設計事務所
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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

住まいづくり通信 6/17号

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基礎幅は15cm以上欲しい。

 

今日言いたい事はずばりこの一言です。

住まいの基礎の仕様には布基礎、ベタ基礎などがありますが、垂直に立ち上がっている部分、つまり土台が載る事になる部分の幅の事を指しています。
 

基礎は鉄筋とコンクリートで構成されます。これは只単につくられている訳ではなく、梁の役割を果たす物です。鉄筋で引張力に、コンクリートで圧縮力に抵抗すると言う風にそれぞれに役割分担があります。
 

鉄筋と言うのは鉄ですので、風雨にさらされると当然、酸化し錆びて強度もなくなり、やがてボロボロになりますが、それをアルカリ性であるコンクリートで包み込む事で酸化の進行を妨げるわけですが、ほんの少しだけ包み込めば良いと言うわけではなくやはりある程度の厚みをもって包み込んであげないと意味がありません、その包み込む厚みの事をコンクリートの「かぶり」といいます。(人間の皮膚や筋肉に守られている骨をイメージして頂くと理解して頂けると思います。)この「かぶり」は最低でも4cm確保する必要があります。
 

コンクリートも酸性雨や大気中の炭酸ガス、施工の際の材料の不具合などによりアルカリ性から徐々に中性化します、そうなると中にある鉄筋が劣化腐食し強度低下、基礎の損傷を招きます、そう言った意味でも「かぶり」は大切なのです。
 

又、基礎の中にある鉄筋は現場で鉄筋工さん達が組上げていくわけですが、コンクリートの付着が良いなどの理由から一般的には異形鉄筋と言う節のついた鉄筋を用います。これらの直径を示すのにD10やD13と言った呼称で呼ぶのですが、Dは異形鉄筋である事を示しその後の数字は呼び径と言い、鉄筋のおおよその直径を示します。公称ではD10が9.35mm、D13が12.70mmと非常に中途半端で表現しにくいので数字を丸めて表現していると思ってください。
 

これらは適当に折り曲げられている訳ではなく、きちっと、どの数値の範囲で折り曲げなさいと言うのが使う鉄筋の種類や径によって決められています。図は当事務所の標準仕様としている基礎頭部の配筋要領の略図です。主筋はD13、縦筋はD10を使って図のようにフックを作るように折り曲げ主筋(D13)に引っ掛かるように納めます。この時折り曲げ内法直径はD10×3倍すなわち3センチ以上としています。
 

これらの事をまとめてみると図のようになりますが
 

コンクリートのかぶり(両側)+鉄筋の径(両側)+折り曲げ内法直径+施工誤差によるゆとり=4cm×2+1cm×2+3cm+α = 15cm
 

と言うのが最低ラインと思います。予算にゆとりがあって基礎をしっかりつくりたいのならもう少し基礎幅を確保して貰っても良いかもしれません。
 

補足:異形鉄筋D10の節の部分の最大外形寸法は実際1cm以上ありますが図では1cmとしていますのでその差は+α に含んでいると考えて下さい。)
 

このような理由で、いくら予算がないからと言っても、12cm幅の基礎はご勘弁と言う訳です。
 

こんなフックをつけなくても、既製品の鉄筋で網になったものがあると言われた事がありますが、それはスポット溶接と言って点で鉄筋を引っ付けているだけの物で、大きな外力が加わり(地震など)外れてしまえば意味がありません、出来れば使用は差し控えたいです。