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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

リノベーションについて その18

前回は、築20数年のお住まいのリノベーシ
ョンした部屋としていない部屋の温熱測定結
果を比較してみました。

建築年代から考えると20数年前のお住まい
では、厚みこそ薄い物でしたが天井及び壁に
はわずかに断熱材が入っていました。

では、もう少し築年数が古いお住まいではど
うか?と言うことで築40数年のお住まいの
温熱測定をしています。現段階で特に工事の
予定は無いため工事前後の比較はできません
が公開させていただきます。こちらのお住ま
いは内外ともに真壁造の土壁仕様で無断熱の
住宅です。

2023年2月15日から2月21日までの
7日間、2階の寝室を測定したもので、昼間
はほとんど在室していないため、リビングな
どのように暖房が常についている訳ではない
ため、より室温は低くなりがちだと思ってい
ただければ幸いです。

赤が室温、青が湿度で最低室温3.9℃、平
均室温8.9℃と、とても寒いのですが、後
半はやや室温も上がり気味で、外気温にひっ
ぱられて、やはり無断熱住宅だと、こんなも
のか、と言う気もします。

そして、こちらの表は同地域のアメダスデー
タで赤囲みの範囲が測定期間になります。測
定期間前半3日間は、最低気温がマイナスに
なる寒い日が続きましたが2月19日辺りは
平均気温が10℃を超える、この時期にして
は比較的暖かめの日があります。

このようなお住まいに、どのように断熱補強
をすべきか?難しい判断ですが、土壁の長所
を生かすなら室内は真壁のままで外壁側に断
熱措置を施した上で、内外真壁の短所である
雨対策を強化すべく屋外側は大壁として仕上
げるべきと考えます。

上の2枚の写真は先の温熱測定のデータの建
物ではありませんが、内外真壁のお寺の庫裏
の改修工事前後のものです。1枚目が工事前
で2枚目が工事後になります。2階部分は手
を入れていないため、変化はありませんが1
階部分は断熱改修も含めて水回りを増設して
います。隙間だらけの木製窓は取り替え、建
物の外側は焼き板を貼って大壁仕上げとして
います。

工事後、住職からうかがったお話では「工事
前と比べると全然あったかくて、こんなに変
わるんだったら、もっと早く工事をしておけ
ばよかった」とおしゃっておられました。断
熱改修を行うと殆どの方が「もっと早くやっ
ておけば・・・」とおっしゃいます。それほ
ど、寒さと言うのは年齢を重ねれば重ねるほ
ど身体に堪えるようになります。温度差によ
るヒートショックの可能性も高くなります。

全面改修は難しくても長時間滞在するLDK
+水回りだけの改修を考える方も増えていま
す。欲を出すなら寝室も改修出来れば快適な
睡眠時間をもたらせてくれることと思います。

限られた予算の中で何が出来るのかを皆さん
と一緒に考え、そしてこのようなデータの蓄
積から結果を分析し、常に最善の方法を求め
続け、提案出来ることが私どもの強みでもあ
ります。