リノベーションについて その17
断熱工事の効果
このシリーズの「その3」の時に断熱の話を
少しさせていただきましたが、今回はその効
果についてお話をさせていただきます。
今年の4月から新しく建つ住宅については省
エネ住宅の義務化により、全て一定の省エネ
性能を有することを求められるようになりま
した。
既存住宅は法の外か?
では既存住宅はと言うと法の網からは外れ、
取り残されています。但し、国の制度によっ
て内窓を入れたり、高断熱化工事や高効率機
器の導入に対して補助金が与えられています。
暑い寒いは身体に堪える
個々では住まいの暑い寒いを何とかしたいと
言う要望も多く、昨今夏の異常な暑さは特に
年配の方の身体にも堪えます。そして結露も、
何とかしたい現象の一つでしょう。
実測データより
次のグラフは2階建て住宅の1階のみを断熱
工事も含めたリノベーションをしたお住まい
の温熱測定結果です。1枚目が工事をした後
の1階の測定結果で2枚目は同お住まいの工
事をしていない2階の測定結果です。どちら
も測定期間は同じです。
1枚目は赤と青の線が交錯していますが2枚
目はそれらの線が交錯していません。これは
エラーでは無く、新しく購入した測定機器と
以前に購入していた測定機器による表示方法
の違いです。
1枚目は縦軸がグラフの両端に目盛りを設け
てあり左の縦軸が室温を右の縦軸が湿度を現
わしています。一方2枚目は縦軸は左端にし
か無く室温も湿度も同じになっているため線
の交錯の有無が生まれます。
どちらも赤が室温で青が湿度を現わしていま
す。何れも2021年2月14日から同2月
23日まで測定していて、工事をした後の1
階は平均室温が16.2℃、一方工事をして
いない2階は平均室温12.2℃で、その差
が4℃もあります。
但し、滞在時間が長くなる1階は平均室温も
高くなりがちなため、どう比較すべきかが難
しい所ですが、最低室温を比べてみると工事
をした1階は10.3℃、工事をしていない
2階では4.5℃と倍以上もの違いが生まれ
ています。
最低室温の差に注目
最低室温とは要するに保温力の違いです。夜
寝る前に暖房をオフにしてから朝起きて暖房
をオンにする直前までに室温がどれほど下が
るのか、10℃以上あれば布団から出て上着
を羽織れば、そんなに寒さを我慢せずに、す
ぐにでも行動できる温度です。私の場合は。
一方4.5℃になると、先ず布団から出るの
に勇気を振り絞る必要があり、布団から出た
としても直ぐに上着を着込まないと、寒すぎ
て行動さえ起こせません。それほどの差が今
回の工事でついたのです。逆を言えば差が付
いたことで、やっぱり2階も断熱工事をした
いと言う要望が生まれてもおかしくありませ
ん。
WHOでは
WHO(世界保健機関)では、2018年に、
住まいと健康に関するガイドラインにおいて
冬季の室内温度は18℃以上が好ましいと勧
告しています。これは、冬の室温が18℃以上
であれば、呼吸器系疾患や心血管疾患のリス
クが低減できると確認されたからです。また、
高齢者や子どもの場合は、さらに暖かい環境
が必要であることも述べています。
室温18℃への挑戦
先述の当方の測定結果によると、室温18℃
までには少し及んでいません。これは部分間
歇暖房と言う日本の暖房方法が影響している
と考えています。
部分間歇暖房とは人が居住する部屋で起きて
いる時間のみ暖房を運転することを指すので
すが、24時間連続冷暖房システムを採用し
ていないお住まいでは、殆どが部分間歇暖房
になると思います。人が居ない部屋と人が寝
ている時には暖房がオフになるため室温は下
がるしかありません。しかし平均でなら18
℃は目指せる可能性はあるので、もう少し改
良すべき点や住まい方の工夫で達成できるラ
インかと思っております。
特別ページもご覧下さい
因みに、既出のグラフのお住まいのインタビ
ューを含めた特別ページも作っています。
宜しければ、こちら もご覧下さい。
→ リノベーション特別ページ