ポツンと
碌山美術館を後にして、次に目指すは高橋節郎
記念美術館です。美術館巡りになっていますが、
実際長野県は美術館が多いんです。
自転車を借りる時に安全で車通りの少ないコー
スを地図付きで教えていただいたのですが、簡
略化された地図であったため、少しコースを外
れ行き止まりになってしまいました。あれっ、
どうしよう?と思ったのですが教えていただい
たのとは違って、事前に調べていたコースで向
かうことにしました。
車通りが多かったのですが、雀踊りの棟飾りを
持つ建物がたくさんあることが分かり、コース
を外れたことが私にとってはラッキーでした。
一般住宅を始め、ワサビ商品を売っている店舗、
公民館など比較的新しい建物であっても雀踊り
の棟飾りがついていて、こちらの方面にはまだ
まだ、このような建物が残っているんだと思い
ました。只、いずれの建物も屋根の大きさが相
当大きなものばかりで、これくらいの規模が無
いと、雀踊りの棟飾りは映えないんだろうなあ
と思います。
こちらは、ワサビの加工品を販売されているら
しい店舗です。
こちらは地域の公民館です。雀踊りの棟飾りの
下には懸魚(げぎょ)と呼ぶこれも装飾的な意
味合いの強い木材が取り付けられていました。
当初は懸魚も、おそらく棟木の木口を雨からを
守る意味で設けられたものでは無いか?と思い
ます。
未だ他にも幾つかの雀踊りを持つ建物があった
のですが一般住宅のようでしたので、割愛させ
ていただきます。
そんな雀踊りの建物を幾つも発見しながら田園
風景の続く道を進むと、風景に似つかわしくな
い近代的な建物がポツンと現れます。北アルプ
スの山々と対峙するように建つのが高橋節郎記
念美術館です。何故、こんな田園風景の中に建
っているのかな?と思ったのですが、ここは高
橋節郎さんの生家があった場所だそうで、納得
しました。外からでも分かる立派な紅葉に美術
館の中を期待させられながら乗ってきた自転車
を停めます。
こちらが高橋節郎さんの作品の一つですが、
丁度この日から殆どの作品の撮影が解禁さ
れたそうです。高橋さんは鎗金(そうきん)
という技法を駆使して黒と金を基調にし、
漆工芸の技法を用いつつ現代的な漆の世界
を開拓されたそうで、幼い頃に慣れ親しん
だ故郷、安曇野の自然、星空、山々、四季、
古墳などを表現されているんだそうです。
この作品では、立派な角を持つ牛に目が行
きますが数か所にある朱色の丸も漆のよう
で、他の作品にもポイントで同じような描
き方がされていて、逆にそこに目が留まる
場面もありました。
渡り廊下からの切り取られた紅葉も絵になり
ますが、屋上が解放されていて、この日、屋
上では大橋文明展が開催されていました。屋
上の手すりの上に並べられた粘土作品のが大
橋さんの作品のようですが、あんなスペース
に載せられて落ちてしまうのではないか?と
不安もよぎりました。
美術館を出ると一旦、中庭に出て向かう先は
高橋節郎さんの生家です。生家は保存再生さ
れていて靴を脱げば家の中も自由に見て回る
ことが出来ます。それにしても綺麗に手入れ
された庭の木々の紅葉は今が見頃で、室内か
らの眺めも絶景です。本当に良いシーズンに
来ることが出来ました。
広い土間から板の間を経ると畳敷きの四つ間
です。土間の片隅にある小さな板の間の小上
がりは何なんだろう?と思いましたが、牛か
馬を飼っていた場所なのだろうか?と推測し
ますが、さてどうなのでしょうね?
生家を出て再び中庭を通り、再度美術館に戻
る順路となっていて、そこでは高橋節郎さん
の作品と漆芸技法を体験できる場所が用意さ
れていましたが時間の関係で、そこはスルー
させていただきました。
外から見ていたガラス張りの美術館の外観を
建物の中から見た景色で何故ガラス張りなの
かを確認出来ました。北アルプスの山々を綺
麗に眺めることが出来ます。田園で拓けた場
所なので遠くまで見渡すことが出来ます。