リノベーションについて その5
前回は、壁を抜いて部屋のあっちとこっちを
一つなぎにしたい場合、建物全体の把握が重
要になると申し上げました。
1階だけを触るだけなのに
それは2階建ての建物の1階だけを触る場合
でも同じことです。1階だけ触るのに、どう
して2階が関係あるの?と思われるかもしれ
ませんが、力の流れは上から下に流れる訳で
すから、1階が構造的に脆弱ならば2階の力
を十分に受けることが難しいかもしれません。
柱を抜くことの意味を考える
仮に1階の柱を抜かなければならなくなった
場合、2階との関係が把握できていなければ、
柱を抜くことで建物の崩壊につながるかもし
れません。そんな恐ろしいことが起きないよ
うに事前の調査がかなり重要です。
床下調査
もっとも、事前調査で確認できる範囲は限ら
れていて、例えば床下は床下収納や畳の部屋
があれば畳を上げて覗き込む或いは、本格的
な調査になれば床下に潜り込んでする調査も
あります。
天井裏調査
他に天井裏を確認することも出来ます。天井
点検口や古い造りの家ならば押入れの天井の
端の方を押し上げると、板が動くこともしば
しばあります。そうやって天井裏を覗き込む
か、本格的な調査をする場合は天井裏にも上
がり込むこともあります。
天井裏調査
写真は、天井裏の調査に上がった時の写真で
す。こちらのお住まいでは天井裏物置用の可
動梯子がついていたため、比較的天井裏への
アタックは容易でしたが、2階建ての建物の
全体のリノベーションでしたので、抜きたい
柱、抜きたいけど抜くと建物が崩壊するため
抜けない柱がありました。またオレンジ色に
映っているのは鉄骨の補強です。長い距離(
スパン)を木の梁だけで飛ばそうと思うと限
界があるため、鉄骨の梁が採用されたのだと
思いますが、昔はよく、こう言った方法が採
用されていたようです。
2枚目の写真の奥の方まで行きたかったので
すが、足場がなく薄い天井板を踏み抜いても
いけないので、これ以上先には進みませんで
した。
階間(かいま)は難しい
このように、床下や天井裏などは事前の調査
である程度把握できるのですが、一番問題な
のが1階と2階の間の天井裏(階間)です。
本当は、ここが一番重要な部分なので事前に
把握しておきたい部分です。
本格的に工事を行うことが約束されるなら、
一部天井を剝がすなどして確認することもあ
りますが、本格工事開始はまだ数か月先なの
に、天井が惨めな状態で数か月我慢しなけれ
ばならないのも気が休まらないという方もい
らっしゃるので、難しいところではあります。
仮住まいが出来れば
仮に、早めに他の建物で仮住まい出来るなら、
思い切ってそう言った部分も解体して事前の
調査を行うこともでき、設計の予想と、実際
の工事の乖離を埋めることが可能になります。