兵庫、京都、大阪|良い実が、良い土から育つように。暮らしを主役に、建築は健やかに支える。|芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

子供部屋は広さより距離感を大事にする

家づくりの打合せをしていると、よく話題に上がるのが「子供部屋の広さ」です。

「将来のことを考えて、少し広めにしておいた方が良いでしょうか?」
そんなご相談をいただくことは少なくありません。

もちろん、広い部屋が悪いわけではありません。
ただ、実際の暮らしを見ていると、子供部屋は必ずしも広くなくても十分成立すると感じています。

小さいうちは、子供部屋よりリビング

あくまでも一般論ですが、しかしベネッセなどの調査結果もあります。
それは、年齢が低いうちは、子供部屋で勉強するよりも、
リビングで勉強する方が学習習慣を作りやすいと言われています。

リビング学習が有利と言われるのには、いくつか理由があります。

・保護者の目が届く
・勉強を始める時間を決めやすい
・だらだら先延ばしにしにくい
・困った時にすぐ声を掛けられる

つまり、学習環境として重要なのは、
**「広い個室」よりも「家族の気配がある場所」**だったりします。

成長すると、個室が役に立つ

もちろん、年齢が上がると状況は変わります。

思春期になると、
集中するための場所や、自分の時間を過ごす場所として
個室が有効になることも多いです。
ある研究結果では学年が上がるほど親は子供に、より大きな自立性を与え自立支援が高いほど標準テスト・評定・宿題完了度が高いとの報告もあるようです。

ただし、ここで一つ注意があります。

個室をあまりに快適に作り過ぎると、
子供はその部屋に閉じこもりがちになります。
スマホ、ゲーム、漫画など自己管理能力の弱い子には集中空間ではなく誘惑空間になりやすい環境が整うと成績も低くなるそうです。勿論、成績だけが人をつくる指標ではありません。

そのような空間になると、家族と過ごす時間は自然と減っていきます。

個室が有利なのは静かで誘惑が少なく自分でペースを作れる場合だそうです。

子供部屋は、
家族の距離を調整するための空間でもあります。

空間は、平面だけでなく立体で考える

子供部屋を計画するとき、
つい「床面積」だけで考えてしまいがちです。

しかし空間は、立体的に使うことができます。

例えば

・ロフトベッド
・収納付きのベッド
・天井高さを活かした収納
・上下段の使い分け

こうした工夫をすることで、
コンパクトな部屋でも十分に機能します。

実際、私が設計した住宅でも
設計当初は3人兄弟だったご家庭に、後からもう1人家族が増えたケースがあります。

その時も増築することなく、
空間の立体活用によって暮らしが成立しています。

子供は、大人が思っている以上に
与えられた環境に順応する力を持っています。

子供部屋は「将来の空き部屋」になる可能性もある

もう一つ、家づくりで大切な視点があります。

それは、
家族が家で過ごす時間は、意外と長くないということです。

子供はいずれ巣立ちます。

そうすると、
広く作った子供部屋が
そのまま使われない空間として残ることも珍しくありません。

コンパクトにすることは、暮らしの合理性でもある

最近は、物価高騰の影響もあり、
建築費が以前より大きく上がっています。

「出来るだけ広くしたい」という気持ちは
もちろんよく分かります。

ただ、子供部屋を少しコンパクトにまとめるだけでも
建築コストを抑えることができます。

その分、

・断熱性能を高める
・窓の質を上げる
・リビングを少し豊かにする

そんな使い方をする方が、
家全体の満足度は高くなることも多いのです。

子供部屋は「余白」でいい

子供部屋は、
最初から完成された空間である必要はありません。

むしろ

少し余白があるくらいがちょうどいい。

成長に合わせて
使い方が変わり、
家具が変わり、
時間の過ごし方が変わる。

そんな変化を受け止める場所として、
子供部屋は存在しているのかもしれません。

広さよりも、
家族の距離感をどう作るか。

子供部屋の計画は、
そんな視点から考えてみると、
少し違った答えが見えてくるかもしれません。