兵庫、京都、大阪|良い実が、良い土から育つように。暮らしを主役に、建築は健やかに支える。|芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

私が「100年後の心地よさ」を設計する理由

今日、3月30日は、あの情熱の画家、フィンセント・ファン・ゴッホの誕生日
と言うことを朝、車が教えてくれたアナウンスで知りました。
つい最近までゴッホに関する小説などを数冊読んでいたこともあり、ブログにしたためてみました。

ゴッホといえば、生前はたった1枚の絵しか売れなかったというエピソードが有名ですね。
対照的に、同時代の天才ピカソは、存命中にその類まれな商才を発揮し、巨万の富を築きました。

ビジネスの視点で見れば、ピカソこそが「成功者」であり、ゴッホは「不遇の人」と評価されがちです。
しかし、没後100年以上経った今もなお、私たちの心を揺さぶり続けているのは、どちらでしょうか。

ふと、建築の世界に身を置く一人の人間として考えさせられます。
「果たして、どちらの人生が幸せだったのだろうか」と

遺された価値を「伝える人」の存在

ゴッホの死後、彼の作品が世界中に広まったのは、弟テオの妻であるヨハンナの献身的な努力があったからだと言われています。
彼女がゴッホの書簡を整理し、展覧会を開き続けたからこそ、彼の純粋な情熱は「永遠の価値」として現代に届いています。

これ、実は「家づくり」にも通じるものがあるんです。

私たち建築設計者の仕事は、家が完成した瞬間がゴールではありません。
その家で営まれる日々の暮らしを、住まい手の方が慈しみ、大切に住み継いでくださる。
その「愛着」というリレーがあって初めて、建築は本当の意味で「価値ある場所」になっていくのだと感じます。

「ピカソの戦略」と「ゴッホの誠実」

もし家づくりをこの二人に例えるなら、ピカソ的な視点は「資産価値やトレンドを捉える賢さ」と言えるかもしれません。
もちろん、それはプロとして不可欠な要素です。

一方で、ゴッホ的な視点は「誰に言われずとも、己が信じる正解を追求する誠実さ」ではないでしょうか。

私が意識を傾けている「地元の木を使うこと」や「室温をあと2度上げて、健康寿命を4年延ばす設計」
これらは、一見すると地味で、派手な広告にはなりにくい部分です。
しかし、この「身体への優しさ」こそが、住む人の30年後、50年後の幸せを支えると確信しています。

世間の流行に合わせる「商売」としての建築ではなく、住む人の命の質を高めるための「探求」としての建築。

私は、たとえ目立たなくても、後者のような「静かな誠実さ」を大切にしたいのです。

建築は、静かに支える。

「どちらの人生が幸せだったか」という問いに正解はありません。
ただ、私にとっての「成功」は、私がこの世を去ったずっと後でも、丹波のこの場所で、ご家族が「この家は本当に温かいね」「この木の色がいいね」と、健康に、笑顔で暮らしてくださっていることです。

暮らしを主役に、建築は静かに支える。

ゴッホの誕生日に、そんな原点を改めて噛み締めています。
春の柔らかな光が差し込む家で、皆様が健やかな一日を過ごされますように。


今回のイラストはゴッホをイメージしてAIにプロンプトを与えて生成させた画像です。
2枚目は短かった幸せなひと時、弟テオやその奥さん、画家仲間のゴーギャンらに囲まれて過ごしている様子です。