兵庫、京都、大阪|良い実が、良い土から育つように。暮らしを主役に、建築は健やかに支える。|芦田成人建築設計事務所

Blog

兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

解釈の余白

Chat GPT が描いた成果物

Geminiが描いた成果物

Geminiが描いた成果物

先日、ちょっとした実験をしてみました。

同じ写真を使って、同じ言葉で、
AIに「劇画調のイラスト」を描いてもらう。

お願いした相手は2つ。
ChatGPTとGeminiです。

条件はまったく同じです。

ですが、出来上がった絵は――
思っていた以上に違うものでした。

ひとつは、どこかやわらかく、少し優しい表情。
もうひとつは、輪郭がはっきりしていて、少しいかつい印象。

「同じことを頼んだのに、どうしてこうなるんだろう?」

最初は単純に不思議でしたが、
眺めているうちに、なんだか既視感のある感覚だなと思いました。

人でも、同じことが起きている

例えば、こんなことはないでしょうか。

同じ料理のレシピを見て作ったのに、
人によって少し味が違う。

同じ家具を置いているのに、
部屋の雰囲気がまったく違う。

同じ言葉を聞いても、
受け取り方が人それぞれ違う。

よく考えてみると、
「同じ条件なのに違う結果になる」ことは、
暮らしの中にたくさんあります。

“その人なりの解釈”が入るから違う

AIの絵も同じでした。

「劇画調」とひとことで言っても、
どこまで強くするのか、どこを強調するのかは決まっていません。

だから、それぞれのAIが
“それらしい”と思う形に整えていく。

少しやわらかくするのか、
少し迫力を出すのか。

その違いが、そのまま絵の違いになっていました。

暮らしも、実は同じつくり方をしている

この感覚、住まいづくりにもとてもよく似ています。

「明るい家がいい」
「落ち着く空間がいい」

こういった言葉はよく出てきますが、
実はとても幅のある表現です。

光をたくさん入れて明るくする人もいれば、
素材や色味で明るさを感じさせる人もいる。

静かな空間で落ち着きをつくる人もいれば、
好きなものに囲まれることで落ち着く人もいる。

同じ言葉でも、
その人なりのイメージが少しずつ違っているんですね。

“ぴったりくる感じ”はどこから来るのか

住まいに入ったときに感じる、
なんとなく「いいな」と思う空気。

あれは、性能や広さだけではなくて、
こうした“解釈の積み重ね”から生まれている気がします。

どこまで明るくするのか。
どこを少し抑えるのか。
何を強調して、何を引き算するのか。

そうした細かな選択が重なって、
その家ならではの空気になります。

正解を探すというより、すり合わせていく

今回のAIの絵には、
どちらが正しいという答えはありませんでした。

やわらかい表情も良いし、
いかつい表情も良い。

ただ、「どちらが好きか」は人によって違う。

住まいづくりも、きっと同じです。

正解を見つけるというよりも、
「どんな感じが心地いいのか」を少しずつすり合わせていく。

小さな実験でしたが、
改めてそんなことを考えるきっかけになりました。

同じ条件でも、出来上がりはひとつではない。

だからこそ、
自分にとってしっくりくるものを、丁寧に選んでいく。

そんな積み重ねが、
暮らしを形づくっていくのだと思います。


設計事務所との家づくりという選択

こうして考えてみると、
住まいづくりは「正解を当てる作業」ではなく、
自分たちにとっての“ちょうどいい解釈”を見つけていく過程なのだと思います。

そしてその過程には、
必ず“人”が関わってきます。

同じ要望でも、
受け取る側によって、考え方や組み立て方は少しずつ違う。

だからこそ設計事務所との家づくりは、
出来上がる形だけでなく、
その途中の対話そのものに意味があります。

言葉をそのまま形にしないということ

「明るい家がいい」
「落ち着く場所にしたい」

そういった言葉を、
そのまま単純に形にするのではなく、

・なぜ明るさが欲しいのか
・どんなときに落ち着くと感じるのか

そうした背景まで一緒に考えていく。

少し遠回りのようでいて、
実はそのほうが、結果としてしっくりくる形に近づきます。

違いがあるからこそ、見えてくるもの

今回のAIの実験のように、
同じ条件でも違う答えが出てくるからこそ、

「自分はどちらが好きなのか」
「どんな雰囲気が心地いいのか」

そういった感覚が、少しずつ輪郭を持ってきます。

設計の打合せも、
まさにそんな時間の積み重ねです。

一緒につくるということ

家づくりは、完成した建物だけでなく、
そこに至るまでのプロセスも含めての体験だと思います。

話しながら、迷いながら、
少しずつ方向を見つけていく。

その積み重ねが、
「なんとなくいい」ではなく、
「これがいい」と思える住まいにつながっていく。

同じから始まって、違いが生まれる。

その違いを面白がりながら、
自分たちにとってのかたちを見つけていく。

そんな家づくりも、
悪くないのではないでしょうか。


もう少し具体的に考えてみたい方へ

ここまで読んでいただいて、
「自分たちの場合だとどうなるんだろう」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

住まいづくりは、条件が似ていても、
最終的なかたちは本当に人それぞれです。

もし、ぼんやりとしたイメージの段階でも、
「こんな感じが好きかもしれない」という感覚があれば、
それは十分に家づくりの出発点になります。

これまでの事例について

実際の設計事例でも、
最初から明確な答えがあったわけではなく、

・会話の中で少しずつ輪郭が見えてきたもの
・選択肢を並べながら方向性を探っていったもの

そういったプロセスを経て、かたちになっています。

もしよろしければ、
過去の事例もいくつかご覧いただくと、
その違いの面白さを感じていただけるかもしれません。

気軽なご相談について

具体的な計画がまだ先の場合でも、
「こういう考え方ってどうなんだろう?」といった段階から、
お話しすることは可能です。

はっきりとした要望がなくても大丈夫ですので、
少し気になることがあれば、気軽にお声がけください。

住まいづくりは、
最初から答えを持っている必要はありません。

むしろ、対話の中で少しずつ見えてくるものの方が、
あとから振り返ったときにしっくりくることが多いように思います。

今回の小さな実験のように、
同じところから始まっても、出来上がりはひとつではない。

だからこそ、
その過程も含めて楽しめると、
家づくりはより豊かなものになるのではないでしょうか。

Narito Ashida