兵庫、京都、大阪で誠実に丁寧に木の家をつくる芦田成人建築設計事務所
兵庫、京都、大阪で誠実に、丁寧に木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所

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兵庫県丹波市を拠点に誠実に、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所 芦田成人のブログです。

ガラスは透明でない

でも、スリガラスの話ではありません。 実はこれ、東大大学院の前准教授の著書に書かれている内容でして、少し興味深かったのでここに取り上げさせていただきました。

ガラス建築が何故、温室になってしまうのか?と言う話で

光には我々の目に見える可視光線と、我々の目には見えない遠赤外線などがあります。

そして熱の伝わり方には「伝導」「対流」「放射」の3通りがあって、この内、日射がガラスを通り抜けて室内を暖めるのは「放射」の働きで、

一方、暖まった物は「赤外線」を放出する事でエネルギーを失って冷めようとし、もしガラスがこの赤外線にとって透明なら赤外線はガラスを透過して逃げていくのでガラス建築の内部は直ぐに冷めるはずである、と言う事です。

著書では、実験が紹介されていて、暖かいお茶の入ったペットボトルをサーモカメラで撮影し、暖かいペットボトルから放出される遠赤外線を捉え、真っ赤に映っています。

所が、そのペットボトルの前に透明のガラスをかざしてペットボトルを撮影すると、何とさっき真っ赤に映っていたペットボトルが全く見えなくなり、温度分布の低い事を示す青に写っているのです。(映画、プレデターに追い詰められたシュワちゃんが泥沼に身を隠し泥を身にまとう事でプレデターのサーモアイには見えなくなるあの現象と同じ事がここでも起っています)

つまりガラスは日射のような「目に見える」可視光のエネルギーは取り入れる一方で内側から放射される「目に見えない」赤外線(熱)が出て行くのをシャットアウトしてしまう性質を持つと言うのです。

このために、ガラス建築の中には熱が溜まり温度がどんどん上昇する温室効果が発生すると言うのです。

なるほど、ガラスと言う素材一つにも様々な切り口があります。

私達は中から外の風景や景色の見え方、建物全体とのバランスをどう考えるかと言った事を率先して考えがちですが、別のアングルで物を見ると生理的な現象や物理的な現象も相関している事が分ります。

何よりも忘れてはならないのは、住むための建物なのか?働くため、集うため、鑑賞するための建物であるのか?よく考えてどこにウェイトを置くかの判断を下すと言う事だと思います。