紙と布と言う選択
下駄箱の面材は和紙張りとしています
これまで下駄箱の天板や面材として、無垢材やシナ・ラワン合板を使った事例をご紹介してきました。
いわば「木をどう使うか」というお話です。
今回は少し視点を変えて、木以外の素材について触れてみたいと思います。
下駄箱の扉というと、「木でつくるもの」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
もちろんそれも一つの正解ですが、実は扉に求められる性能は、木でなくても十分に満たすことができます。
例えば、和紙。
紙と聞くと少し頼りない印象があるかもしれませんが、和紙は繊維が絡み合っていて、しっかりとした強度があります。
それでいて、光をやわらかく受け止める質感や、時間とともに少しずつ変化していく風合いは、木とはまた違った魅力です。
そして、紙はもともと木からつくられています。
そう考えると、木と和紙の組み合わせは、まったく別の素材というよりも、どこかつながりのある関係とも言えます。
下駄箱の面材をファブリックで仕上げた例、繊維独特の微妙な色の出方が美しい
もうひとつ、ファブリック(布)を使うという選択もあります。
布は触れたときにやわらかく、冷たさを感じにくい素材です。
毎日使う下駄箱だからこそ、こうしたちょっとした感触の違いが心地よさにつながります。
また、色や織り方によって表情を変えられるのも、布ならではの特徴です。
空間に少しだけやさしい雰囲気を加えてくれます。
木と紙、木と布。
一見すると違う素材ですが、どちらも自然から生まれたものです。
そのため、組み合わせたときにもどこか無理がなく、自然に空間になじんでいきます。
木の家だからといって、すべてを木で揃える必要はありません。
むしろ、こうした異なる素材を少し取り入れることで、木の良さがより引き立つこともあります。
素材選びは「何を使うか」だけでなく、「どう組み合わせるか」。
下駄箱のような身近な部分にも、その工夫を少し取り入れてみると、暮らしの中で感じる心地よさが変わってくるかもしれません。