「住まい」と「食」の共通点

今年から家庭菜園を始めました。

初めての挑戦なので、水やりの加減、虫や暑さへの対応など、分からないことばかりです。

それでも毎日のようにトマトやキュウリ、ナスなどの夏野菜を収穫できるようになり、土に触れる時間がとても楽しみになっています。

建築設計をしている私は、これまで「住まいと健康」の関係についてお客様にお話しする機会が多くありました。

断熱性能が高い家は、夏も冬も快適に過ごせるだけではありません。

ヒートショックのリスクを減らしたり、睡眠の質を高めたり、健康寿命にも良い影響を与えることが分かっています。

しかし、家庭菜園を始めてから思うようになりました。

健康との関係で言えば、「食」は住まい以上に根本的な存在ではないだろうか。

昨年の米不足をきっかけに、日本の食について以前より関心を持つようになりました。

日本の食料自給率は決して高くありません。一方で、まだ食べられる食品が大量に廃棄されているという現実があります。

「足りない」と言いながら「捨てている」

この矛盾には、何とも複雑な気持ちになります。

家庭菜園を始めると、野菜が一つ育つまでにどれだけ手間が掛かるのかを身をもって知ることになります。

毎日様子を見て、水をやり、草を抜き、虫と戦い、ようやく収穫できる。

だからこそ、収穫した野菜を無駄にしようとは思いません。

スーパーでは当たり前に並んでいる野菜も、本当は多くの時間と労力を経て私たちの食卓へ届いていることを改めて実感します。

これは建築にもよく似ています。

一棟の住宅も、設計者だけで完成するものではありません。

大工さん、左官職人さん、電気屋さん、設備屋さんなど、多くの職人さんの技術と努力が積み重なって、一つの住まいになります。

完成した家だけを見るのではなく、その背景にある「つくられる過程」を知ることで、その価値は何倍にも感じられます。

食も住まいも同じです。

完成したものだけを見るのではなく、「どのようにつくられたのか」を知ることが、本当の豊かさにつながるのではないでしょうか。

家庭菜園は野菜を育てる趣味であると同時に、食の安全や食料自給率、食品ロスについて考えるきっかけを与えてくれました。

そして、健康とは薬や運動だけでつくられるものではなく、

「何を食べるか」「どんな家で暮らすか」という毎日の積み重ねによって育まれるものだということも改めて感じています。

これからも家庭菜園を続けながら、野菜だけではなく、食の成り立ちや日本の農業についても少しずつ学んでいきたいと思います。

住まいを設計する建築者として、これからは「住まい」と「食」の両方の視点から、健康な暮らしについて考え、発信していければと思っています。

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