リノベーションについて その13
店舗兼住居の実例
今回の実例は、店舗兼住宅になります。店舗
兼住宅と書くとお住まいの片隅でお店をやっ
ているイメージをもたれるかもしれませんね。
しかし、今日ご紹介する建物は1棟の建物内
部でこそ、つながってはいるものの、お店と
お住まいが完全に分離した建物です。
遥か宮崎県から
ご依頼いただいたのは、丹波から遠く離れた
宮崎県高千穂町になります。以前、「リノベー
ションについて その9」で紹介した写真館さ
んの実例をホームページからご覧いただき、
こんなに素敵に生まれ変わるんだったらと、
はるばるお問い合わせいただきました。
写真館リノベーションならお任せ下さい
つまり、当方は写真館リノベーションを2棟
も経験させていただいていて結構なノウハウ
が蓄積されています。前回との大きな違いは、
お住まいを併用している点ですが、スタジオ
に北向きの大きな窓を確保して自然光での撮
影業務をしたいと言った点、世代交代してこ
れからは子世帯のご夫婦が主となってお店の
運営をしていきたい点などは共通しています。
初めての訪問
お問い合わせをいただき、私が初めて現地を
お伺いさせていただいたのが2017年8月
のことになります。この時は前年に熊本地震
が起こったばかりで熊本空港から途中の道路
も通行止めになっている所もあり、未だ地震
からの復興には程遠い時期でもありました。
高千穂は宮崎県の北部にあり、熊本、大分な
どにもほど近い場所ですが、丹波よりも雄大
な自然を感じる山の中にあります。熊本空港
からは、どんどん山の中に分け入って行くイ
メージですが、高千穂に入るとパカっと天蓋
が外れた感じで、標高も高いため天空に居る
感じがします。
ヒアリング
あらかじめヒアリングシートはお渡ししてい
たと思います。お話をお伺いさせていただき、
今どのような点にお困りなのか、あるいは、
お悩みなのかなど、そしてどのようなご希望
をお持ちで、どのような運営を目指されるの
かなどを聞かせていただきました。
お店をされる場合、お住まいとの違いはここ
にあって、目指す方向性や運営方法など、あ
る程度計画しておかないと設計の指針も定ま
りにくいため重要なのです。
調査
それらを一通りおうかがいした後は早速、建
物の現況調査となります。調査で何をするの
か?ですが、先ずは間取りを把握すること、
既に当時の図面がある場合は、その図面と照
らし合わせて現況との相違が無いか?を確認
します。同時に現況柱の位置が分かる部分は
チェックします。
内部把握が済めば次は外部の把握です。屋根、
外壁、基礎の状態などを確認し、早急に対応
が必要な個所が無いか、雨漏り、劣化、蟻害、
基礎のひび割れ具合、雨樋の状態などを確認
し、そして最後に躯体内部の調査で床下や天
井裏の確認になります。
調査の順番
実は調査の順番には訳があって、床下や天井
裏の調査をしようと思えば衣服が汚れます。
我々は、衣服が汚れるのを承知しているので
構わないのですが、汚れた服のまま室内の調
査をするとお客様のお住まいも汚してしまう
ため、衣服が汚れにくい順に調査をするのが
セオリーだと考えているのです。
床下や天井裏の調査は、相当の埃やゴミ、中
には生き物(くもの巣やゴキブリ、ネズミの
糞、ハチの巣など)もあるのでマスクや手袋
なしでするのは健康に害が及ぶこともあるた
め注意が必要です。
工事前写真(BEFORE)
(各段左から右へ順に、ご覧ください)
外観
エントランス
エントランス
撮影スタジオ
控室
控室
工事前
工事前もスタジオは2階にありました。エン
トランスは独立した形でしたが、お客さんが
来店した際に音が鳴って、その音を聞きお店
の人が奥の居住スペースから出てくる形でし
た。2階の階段へは割と急な階段を上がらな
いといけない状態で、年配の方や足の悪いお
客様には少し不便でした。2階のスタジオは
北向きに面した窓はあるものの、それを生か
して撮影するには窓の面積が不足しているた
め、人工照明を用いた撮影が行われていまし
た。
工事後(AFTER)
(各段左から右へ順に、ご覧ください)
外観
エントランス周り外観
エントランス
受付カウンター
完成後
完成写真が撮れてないため、一部クライアン
ト様のお写真をお借りしているものもありま
す。工事中に私が撮った写真と混ぜて掲載し
ています。従って実際の外観、特に地面の舗
装はもっときれいに仕上がっています。
1階は1台分の駐車スペースと写真館へのお
客様をお迎えするエントランスとなっていま
す。住居スペースへは駐車スペースの奥に専
用の玄関を設けています。外観はお客様がお
店に入りやすいように、レッドシダー(米杉)
による木の装いで、やわらかさを表現してい
ます。
かわいい
工事完成前にこの外観を見た女子高生からは
「かわいい、これ何の店?」と会話しながら、
丁度お店の前に居た私の後方を過ぎ去って言
ったのを聞きました。以前は来客があった時
に音で知らせていましたが、工事後はガラス
張りでスタッフルームとエントランスがつな
がり、すぐにお客様の来店が分かるようにな
りました。
工事後(AFTER)
(各段左から右へ順に、ご覧ください)
2階スタジオ
2階スタジオ
2階スタジオ
控室(メークコーナー)
2階スタジオ
これらすべての写真も私が工事中に撮ったも
ので、特に1枚目のガラス面には未だ養生の
ためのビニールが掛けられたままですが、人
工照明による撮影は出来るようになったため
にお店は、一部仮オープンされていました。
その他の部分も未だ片付けやセッティングが
完全ではありませんが大目に見ていただけま
したら幸いでございます。
2階にあるスタジオへは緩やかに上りやすく
なった階段を利用して上がっていただきます。
スタジオの4面どこをバックにしても撮影が
可能なように設計しています。工事により撤
去することが出来なかった柱も撮影のための
背景となります。1面は緩やかなカーブを描
く壁になっていて微妙な変化はスタジオに面
白みを加えます。
カーブする壁
緩やかなのカーブの表裏。緩やかなカーブの
通路の奥には控室を設けています。カーブの
どちらが表で、どちらが裏と言うわけではあ
りませんが、微妙なカーブは先が見通しにく
いため、奥行きを期待させるとともに少しの
不安も覚えます。従って、そこに導かれる人
の行動は緩やかでありながら、優しさをもっ
て接するようになります。その優しさが撮影
した写真の表情にもあらわれ、記録と記憶に
も残ります。
広く使いやすく
こちらも私が撮影した工事中の写真ですが、
お店のプレオープンに向けて準備中でした。
トイレはいち早く完成し使える状態でした。
広くて綺麗に、小さなお子様から年配の方
まで、皆が心地よく使えるスペースを目指
しています。
プレオープンに向けて
こちらも私が撮影した写真です。既に工事と
しては完成していたのですが、お店のプレオ
ープンに向けて色々慌ただしくされている途
中に撮ったものですから今行けば綺麗にされ
ていることでしょう。但し、この段階では店
の奥にある住居スペースは絶賛工事中でした。
住居部分
こちらが、その住居部分の工事中の様子です。
この頃、私の体調不良により、丹波での検査
などの予定があったため、お店の最後までと
住居部分の残りの部分を確認出来ずに現場を
後にせざるを得なかったのが悔やまれるので
すが、又機会を見つけてお伺いさせていただ
こうと思っています。
構造補強
今回の工事では1階の車庫の間口を広げる工
事を行いました。以前は車を入れるとドアを
開けて乗り降りする行為がし難かったためで
すが、今回は少しだけ間口を広げて車を入れ
て人が通れるスペースを確保しています。そ
のために基礎の打ち直しと土台の新設、補強
梁を半間ごとに設け2階床の補強を兼ねてい
ます。
高千穂に寄った際には
今回の更新では完成後の写真を多く掲載でき
ませんでしたが、高千穂は観光地でもありま
す。高千穂に唯一、自然光スタジオを持つ写
真館、工藤写真館様にお立ち寄りいただき、
記念の写真でも如何でしょうか?撮影はしな
いよと言う方は、外観だけでも皆様の目でご
確認いただけます。詳しくは こちら から
工藤写真館様のウェブサイトをご覧ください。
リノベーションについて その9
実例紹介
今回は、BEFOREとAFTERを見比べ
ながらリノベーションの実例を説明
させていただきます。
店舗の実例
こちらの建物は住宅ではなく店舗として利用
されています。1枚目が工事後(AFTER)、
2枚目が工事前(BEFORE)です。写真館の
建物で撮影のためのスタジオがお店の2階に
あります。
住宅では北面に大きな窓を設けることは稀で
すが、写真館では光量の変化の少ない北面の
窓から光によって撮影すると人工照明とは違
った自然な仕上がりになるのでとても重宝さ
れます。元々2階のスタジオの窓だけ触るつ
もりだったそうですが、世代交代に備え、お
店の雰囲気を一変させることになりました。
建物の顔となる2階の大きな窓がシンボリッ
クで、それらを取りまとめる黒い外壁に木部
の格子、1階のショーケース部分の位置も殆
ど変えずにまとめています。
同じアングルでも
上の2枚は、ほぼ同じアングルの工事前後で
す。先に載っているのが工事後(AFTER)で
後者が工事前(BEFORE)です。ほぼ同じ位
置からの撮影ですが奥行きが違って見えるの
は、実は工事前には壁の奥に現像室があった
のですが、写真もデジタル処理の時代になっ
たため、現像室を無くし、テーブルを置いて
いるスペースで2階のスタジオで撮った写真
の確認をお客様と一緒に出来るようになって
います。又今では、このスペースを生かして
定期的にイベントも開かれているようです。
自然光スタジオ
そして、こちらの写真は2階スタジオの工事
前後になります。先に載せているのが工事後
(AFTER)のスタジオの様子で、実際に撮影
が行われている所を撮っていただきました。
窓枠が床から少し上がっているのは、そこに
腰を掛けることが出来るようにするためで、
座るために窓枠の奥行も少し深めにしていま
す。白い衝立は反射板で、その奥には人工照
明を点して撮るスタジオも併設しています。
エントランス
この2枚はアングルが全く違いますがエント
ランスと受付カウンターを中心に映した工事
前後のものです。出入り口や受付カウンター
の位置は全く変わっていません。前者の壁が
木の板になっている部分はギャラリーとして
使うため自由に写真を飾れるように素材を木
としています。その壁の流れのまま受付カウ
ンターも同じ素材で仕上げています。
プランの余白に生まれる魅力的なスペース
こちらの写真は、工事後のものです。出入り
口の隣に奥行きの深いスペースが出来ていま
す。元々、ショーケースのあった部分を拡張
しショーケースとしての機能と少し腰を掛け
て佇むことが出来るスペースになりました。
リノベーションにおいては、このようにプラ
ン上、余白のスペースが生まれることがあり、
そう言ったスペースが実は心地よい雰囲気を
生み出してくれることもあります。
写真だけでは分からないことだらけ
とまあダイジェスト的に紹介させていただい
たのですが、こちらの建物はフルリノベーシ
ョンしていますので、まだまだ他にも以前と
は変わっている部分ばかりです。今回は住宅
とは違った建物でしたが、写真で見るのと、
実物を見るのとでは思っていたイメージが全
く異なると思いますので、もし気になる建物
の見学会があるのなら、ぜひ足をお運びいた
だくことをお勧めします。