広い洗面脱衣スペースは清潔感でまとめる
アンダーカウンター型の洗面化粧台
オーバーカウンター型、ベッセル型と来て最後はアンダーカウンター型の洗面台の紹介です。
アンダーカウンター型はカウンターの底にボールが取りつく形式で継ぎ目が無く一体感のあるように見えるのが特徴です。
ボールの縁の盛り上がりが無いためカウンターの上に落ちた水もすんなりとボールに戻すことができるためメンテナンス性に優れています。
一方で取り付け上の制約がありカウンターの縁からの空き寸法を一定程度設ける必要があるため、小さなカウンターには向きません。
写真は北東面に設けた高窓です。広めの洗面脱衣スペースで、人が2人同時に洗面台を使えるようにして欲しいと言うリクエストでした。
朝のこのスペースは毎日、身支度を整えるために混雑します。洗面、歯磨き、お化粧、髪の毛のセットなど忙しいご家庭では一人に独占されてしまうと困るスペースでもあり、
少し広めに確保しています。
収納部分は引き出しを増やせば、未だ未だ増量出来ますが、各ご家庭のスタイルで引出しでなく既製品のバスケット等で対応される場合もあります。
今回はカウンター下に物を入れたり椅子を入れたり出来るように大きく空けています。
そして毎回悩ましいのが洗濯機の排水口をどこに設けるか?と言う問題です。
洗濯機パンを使えば、パン自体に排水口が設けられているので大きな問題はありませんが、パンに埃が溜まって汚くなったり、パンも割と面積が必要になるため当事務所では余り洗濯機パンを設けることをしていません。と言うことで床に排水口を設けるのですが、排水口の大きさも結構あります、又大引きなど床下の構造体との干渉も避けないといけないなど考えることは結構あります。
洗濯機を浮かせるブロックがあり、そのような物を使えば排水口の位置を洗濯機の下に設けることも出来ます。
但し、異常があった時に洗濯機を動かしたりしないといけないこともあり、極力洗濯機の真下の排水口を避けたい
そうすると場所に困ることも多いのです。
今回は洗面脱衣スペースが広めでしたが、排水口を設けたい位置の真下には大引きが居たため、既製品では無く造り付けのカウンターの良さを生かしました。
写真の洗面カウンターの脚の下の方に穴が見えますが、この穴に排水ホースを通し洗面カウンターの下に排水するようにしています。
寒かったあのスペースが長居できる場に
リノベーションしたお住まいの洗面脱衣スペース
写真は、リノベーションしたお住まいの洗面脱衣スペースです。
洗面台を計画する際、意外と見落とされがちですが、使い勝手や清掃性に大きく影響するのが「ボールの種類」です。
大きく分けると、洗面ボールは主に3つのタイプに分類されます。
・ベッセル型(置き型)
・アンダーカウンター型(天板下付け)
・オーバーカウンター型(今回採用)
今回の洗面台は「オーバーカウンタータイプ」です。
カウンターに開けた穴に上からボールを落とし込み、縁で引っかけるように納める構造です。
この形式のメリットは、カウンターとボールの取り合いがシンプルで、隙間に汚れが溜まりにくい点。
また、比較的自由に深さを確保できるため、水ハネの軽減にも寄与します。
一方で、ボールの縁がわずかにカウンターより立ち上がるため、その部分に石鹸カスや汚れが残りやすいという側面もあります。
見た目とメンテナンス性のバランスをどう取るか、このあたりが設計時の判断ポイントになります。
この空間で特徴的なのは、洗面台単体ではなく「空間全体の構成」です。
天井には木刷り板(塗り壁下地に使う板)を張り、端部にゆるやかなRをつけています。
このRの終端は壁にぴったりと付けず、あえてスリットを設け、そこに間接照明を仕込んでいます。
このディテールにはいくつか理由があります。
ひとつは、安全性。
人が手を伸ばして触れる高さではないため、R形状でもメンテナンスや使用上の問題が出にくい位置に限定しています。
もうひとつは、空間のスケール感の操作。
コンパクトになりがちな洗面脱衣室に、やわらかな変化と奥行きを与えるための仕掛けです。
直線だけで構成された空間に比べ、わずかな曲面が入ることで、視覚的な圧迫感が軽減されます。
また、黒い物干しバーを設けているのも、この空間の特徴です。
夜間に室内干しをされるとのことでしたが、
冬場でも朝にはしっかり乾いているそうです。
これは単に設備の問題ではなく、
・施した断熱対策
・空間のボリューム
・素材(木の調湿性)
・空気の流れ
といった複合的な要素が効いています。
設計としては「干せる場所をつくる」だけでなく、
「乾く環境を整える」ことまで踏み込めるかが重要です。
足元にはコルクタイルを採用しています。
水に強く、適度な弾力があるため、
素足で立ったときの冷たさや硬さを感じにくい素材です。
当事務所では水回りの足元にはコルクタイルの採用率が高く、好評です。
洗面脱衣室はどうしても機能優先になりがちですが、
こうした足触りの快適さが、日々の小さなストレスを確実に減らしてくれます。
洗面台は単体のプロダクトとして選ぶこともできますが、
本来は「空間の中でどう機能するか」を含めて設計するものです。
ボールの種類、天板との関係、光の入り方、素材の選び方。
それらが重なったときに、はじめて“使いやすさ”と“居心地”が両立します。
今回のように、ひとつひとつは小さな工夫でも、
積み重ねることで空間の質は大きく変わっていきます。