駅前の家(リノベーション)

白い壁と木の床にテーブルと椅子が4脚置かれている。左手の壁際にはカウンターがあり、田の字型の収納が壁に吊られている

長細いLDKの右手に水回りを配置しています。奥の黒い扉は外へ出る勝手口です。

縫製工場の作業場として建築された建物、その建物の2階は人が休憩できるような簡素な設えを施し、売りに出されていました。
住まい手は、その建物を購入後、暫くそのままの状態で生活をされていました。
建物は重量鉄骨造ゆえに、前面道路をバスが通過するたびに揺れを感じます。(鉄骨造は、ある程度揺れることでエネルギーを分散する構造です)
それ故、今回のリノベーションでは壁面の断熱材の選定も配慮し、吹付タイプの物を選択しています。断熱材はケースバイケースで使い分ける必要があります。
プランニングは生活の主となるLDKや水回りを1階に配置し、プライベートスペースを2階に設けています。
採光の主となる窓は1階では元々、北面にしかなく直射光が届くことはありませんが安定した明るさを確保し、壁面や天井面を白で仕上げることで心地よさを確保しています。
1階と2階をつなぐ階段は180°向きを変更し、生活につながりを持たせることが出来ます。
2階の壁面と天井面は住まい手自らが塗装をしていただくことで記憶に残る工事となりました。


建築場所 兵庫県丹波市
敷地面積 102.12 ㎡ (30.89 坪)
建築面積  76.15 ㎡ (23.04 坪)
延床面積 141.03 ㎡ (42.66 坪)


施工 / 有限会社クレア
撮影 / 中村写真工房

 
木の床と壁にはエアコンが設置されている。右手には窓があり、その手前には田の字型の収納が黒い壁を間に挟んで壁に吊られている。部屋の中心には木のテーブルと椅子が4脚置かれていて、右手の壁面には手前から奥までカウンターが繋がっている。

壁際のカウンターは手前から奥まで繋げ収納量を確保しています。正面奥の木の壁の奥には帰って来て手荷物を仕舞うための収納を設けています。

1階のLDKは長細い空間で、窓の有る壁面に沿って長いカウンターを設えています。重量鉄骨造ゆえに室内に現れる柱の存在を消すことは出来ません。
出来ないなら、逆にその存在感を大きくし、黒く色付けしてインテリアのアクセントにしてしまおうと形作ったのが黒い壁面です。
正面、奥のテレビ台の背面壁はレッドシダーを貼って仕上げています。

キッチンカウンターは天板の奥行を深く確保し使い易さに配慮しています。カウンターに用いたのは節の無い杉板です。節の無い木で清潔感とすっきりした印象を与えています。
柱型を誇張し黒く色付け、その両側に飾り棚を窓高さに揃えて設けています。縦と横のつながりと色遣いによって空間に動きを与えています。

子供部屋のバルコニーへ出る窓は新規に設けた窓(写真正面)で、右手に写る腰窓は元あった窓の内側に1枚付け足したものです。
工事前と比較しても室内の様子が大きく変わり明るくなりました。

主寝室には東面と北面に大きめの腰窓がありましたので、いずれも内窓を付け加えています。
写真に写る陽射しは東面から入る朝陽です。


Before

住まい手がこの建物を購入される前は縫製工場だったと思われます。それをそのまま生活のための建物として数年間、住まれていました。
工事前、住まい手の実際の生活は主に2階で行われていましたが、1階の奥にあった風呂や洗面脱衣とはかけ離れた場所に存在していたため実際の生活動線はかなり悪かったと想像できます。

工事前は1階に水回り(洗面脱衣と浴室)があり、2階をメインの生活の場とされていました。しかし階段の向きも悪く、この階段の向きが生活を分断する形になっていました。


ワンポイント!

鉄骨ALC造のこの建物に木造の建物と同じように壁の断熱材を入れようと思うと

部屋が20cm以上も狭くなり、生活に影響が出ることを懸念しました。

木造は柱の奥行があるので、その奥行を利用した断熱施工が可能になりますが

こと鉄骨ALC造の建物で、どのようにすべきか?を考えました。

先にも書いていますが、鉄骨の建物は結構揺れます。

揺れて断熱材が落ちてしまっても困るので、使うなら吹付系の物になると判断しました。

そして、どの程度の厚みにするのか?ですが壁に石膏ボードを貼るためには

木材による下地が必要になり、その下地の厚みと吹き付ける断熱材の厚みを

揃えれば、それなりに遜色ない性能が得られるだろうと判断しました。

結局45㎜厚の下地木材を採用し、現場発泡硬質ウレタンフォームによる

断熱施工としています。

性能はALC版の厚みと断熱材の厚みを足したもので決まるため木造程の性能は

出せませんが、幸い南壁面は直ぐ目の前に隣家の建物が建つため日射による影響は

さほど大きくなりません。むしろ屋根面からの日射対策をしっかりしておくことで

快適に暮らして頂けるだろうと判断し、天井面への断熱をしっかり確保しています。

壁面の、うっすらとピンク色をしているのが現場発泡硬質ウレタンフォームです。
屋根レベルの鉄骨躯体には断熱していませんが天井面はそれよりも下がるため、高性能グラスウールを二重に重ねて施工しています。

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