住まいづくり通信 7/28号
前回の続きになる訳ですが、住まいの値段の根拠を出来るだけ分かり易くするために、設計側の仕事として図面を描く以外に基礎のコンクリートの容量や壁、床や天井、屋根などの面積などの数量を拾い出す作業を行う事になる訳ですが、この作業の一環として木拾いと言う作業をする事になります。
木拾いとは建物の骨組み(柱や梁など)に用いる木を伏せ図や軸組み図と言った図面を基に使う木の樹種、寸法、長さ、等級、数量などを割り出し図面に表にする作業や鴨居や敷居、窓枠などに使う同じく木の種類や寸法、長さ、数量などを割り出す作業の事ですが、意外とこの作業どこの設計事務所でもやっているものでは無いらしいと言うのを最近知りました。
これら伏せ図等を描く事は単に木の数量を拾い出す為にあるのではなく、建物の強度を左右する大事な仕事であったり、木の値段の調整もある程度ここで出来たりするといったいわば木の住まいには無くてはならない作業と考えています。
では、今回は木の家の強度(主に耐震、耐風性能)について触れてみます。
木の家は柱や梁といった材料で壁や屋根、床と言った四角い枠を構成する訳ですが、四角い枠だけですとある力によって四角い枠が平行四辺形に変形するのは分かりますよね。そこで筋交いと言った斜めの材料をその四角い枠の中に入れたり、若しくは構造用合板と言った板を四角い枠の外側や中に入れてその変形に抵抗させようと言うのが大きな狙いです。
そして時々質問を受けるのがこの筋交いと構造用合板では、どちらが強いんだ?と言う内容なのですが、私はいつも、それよりも、もっと大事な事があると答えています。それは
木造の強度を左右するのは接合部なのです。
これは近畿大学の村上教授から徹底的に教え込まれた事であり、今や常識となっていることなのですが接合部とは材料を繋いだり組み合わせたりする部分の事で、この部分をしっかり考えておかなければ、木の家はどんな工法であれ弱い建物になってしまいます。
それと伏せ図との関係は次回触れますが、今日一番言いたかったのは、木の家の弱点は接合部にあると言う事です。