個人競技、団体競技
夏も終盤に向かっていますが、
未だ暑さも厳しいですね。
先日まで高校野球が熱を帯びていた
と思っていたら世界陸上に
バスケットワールドカップと
スポーツの熱は未だ熱いです。
高校野球もそうですが団体競技は
ゲームの中に流れがあることを
感じました。
何を今更と思うかもしれませんが、
団体競技である野球と個人競技である
陸上、成績は別として一応、両方を
経験した身としては個人競技の場合、
ではどうやって流れを掴むのか?と、
ふと思ったのです。
遠い昔のことなので、
思い起こせませんが、
陸上の場合、短距離種目では
流れを掴む前に競技が
終わってしまいます。
となると、やはり練習の段階で
よほど鍛錬を積み、当日にベストの
コンディションに仕上げる必要がある
のではないか?と思った次第です。
そして、我々の仕事においても
不思議と流れがあるのか、
新築のご依頼が続く時は数年間、
新築ばかり、リノベーションが続く時も
又しかりで、不思議と交互に
ご依頼があることが稀です。
新築とリノベーションでは、
少し使うべき脳が違います。
新築の時はほぼ間違いなく、
思ったように工事が出来るのですが、
リノベーションの場合、
既存の躯体の状態によっては
思ったように工事が出来ない場合があり、
推測能力も必要になります。
勿論、出来るだけ事前の調査によって
現状把握に努めるのですが、
完全に把握することは難しく、
新築との勝手の違いに差を
感じさせられます。
その差を逆手にとって
生かすことも大事です。
設計は完全に個人でする仕事ですが、
設計だけでは単なる絵に過ぎません。
それを実現していただくためにはやはり、
造り手の協力が必要であり、
ある意味、団体競技のように
上手く連携していく必要があります。
流行?
コロナ時は、めっきり住宅見学会の広告も
減っていましたが、最近少しずつ復活しているようで
見学会の広告も良く見るようになりました。
所が、その広告の中で見かけなくなった言葉が
「パッシブデザイン」と言う言葉です。
当時は誰かれ構わず皆こぞって、
流行りのように使っていたのですが、
言葉の本当の意味を知って使うのが、
おこがましく思えたのか、
最近は殆ど見なくなりました。
パッシブデザインとは、直訳すると受け身な
デザインと言うことになりますが、
機械を使って住まいの環境を整えるのと
逆の意味で用いられていると理解しています。
と言う事は機械に負けることのない効果を
自然のエネルギーを利用して得られないと
いけないので、本当は凄く難しいのですが、
南向きに窓を設けて陽射しを取り入れることだけに
スポットを充てて「パッシブデザイン」と
命名していた会社が多かったように思います。
南向きの窓から陽射しを取り入れるのは
パッシブデザインの手法の一つに過ぎません。
又こうすればパッシブデザインだと言う
具体的な方法はないため誰でもが簡単に
使えていたように思いますが、
実は本気で取り組んでいる会社さんが
やっている内容を知ると、
腰が引けて簡単にこの言葉を
使えなくなったのかもしれません。
勉強すればするほど奥が深いのですが、
さて予算と効果の対比で、
どこまでやればいいのか際限が
見えないのも事実です。
家づくりは流行ではありませんが
ステップアップすることは必要かと思いますし、
先人の知恵に学ぶことも重要と思います。
答えのない中で、どこに
自分のポジションを見つけるか、
これは全ての会社の命題と言えそうですね。
現状
台風7号による被害は各地に爪痕を残していきました。
進路図では丹波市辺りも台風の中心が
通って行ったように見えましたが
幸い、私が住む辺りは雨こそ結構降りましたが
風は、そんなに吹かなかったように思っていました、
つい先日までは・・・。
週末に、ふと山に入る機会があり、
雨が降った後なので結構ぬかるみもあるだろうと
覚悟していましたが意外にそうでもなく
安心していたのですが、
とあるポイントで、
ありゃま木が倒れているではありませんか。
そして倒れた木が獣害対策のために
張り巡らしている柵をなぎ倒していたのです。
私が住む地域では農作物を山に居る鹿や猪を始めとする
野生生物から守るための対策を
熱心に取り組まれていて県内の先進地域の
一つとなっています。
山に入ったのは、年に数度回ってくる獣害柵の
点検当番のためでしたが、
これまでに経験したことがあるのは、
鹿が柵の上にダイブして、その重みで金網が
たわんでしまっている個所だったり、
柵の足元の地面を猪が掘り進んで
柵の下を通れるようにしていたりする事例でした。
今回は動物による仕業で無く
自然の脅威によるものでした。
こうなると簡単に柵を超えて田んぼや畑まで
下りてきて農作物を荒らすことが出来てしまうので、
放置していてはいけません。
至急、担当の方に連絡して対処していただきました。
昔はこの辺りには居ないとされていた
山ヒルも現れるようになり、
山に入ることに神経も遣うようになりました。
難しい選択
「Courtyard house in Tamba」の現場は
間もなく足場が外れます。
足場が外れると建物の全景が現れ、
いよいよあとちょっと、
と言った感じを受けます。
いつも難しい選択の一つになるのが
外壁の色選びです。
勿論、私が独断で選ぶわけではなく、
住まい手さん自らの思いだけで
決まっている訳ではありません。
先ず、建物に採用する色は、
どんな色であっても
似合うと言うことはありません。
一歩、間違えれば変なのって
言われかねない色だってあります。
以前、某漫画家が自邸を赤と白の
ボーダーにしていて
物議を醸したこともありますが、
まあ通常の感覚では選択しない
色使いかと思います。
建物に向く色と、そうで無い色を
具体的に挙げろと言われると難しいのですが、
傾向としてはアースカラーが向きやすい
と申し上げると良いのかもしれませんが、
アースカラーであれば間違いない
と言う訳でもありません。
それほど難しいんです。
結局、この中から選んでいただければ、
ほぼ外すことは無いと思う幾つかの
選択肢をこちらで用意させていただいて、
その中から住まい手さんに選択していただく
パターンが一番多くなります。
今回はメーカーのサンプルにあった
デフォルト設定の中から
選択していただいた色で、
いわゆるアースカラーの部類になりますが、
天候によって見え方も違ってくるように思います。
この系統の色は、これまでも
何件か採用させていただいたことはありますが、
一番難しい部類の色と言えます。
一歩間違えると幼稚園バス?
と言われてもおかしくないですが、
比較的落ち着いた色に思えるため、
今回はそれは無いと思います。
再度、足場が外れた後、
快晴の下でもう一度確認してみたいと思います。
住宅の室温と健康との関係
寒い家に住み続けるリスクは多々ありますが
WHO(世界保健機関)がエビデンスの
確実性は中程度としながらも以下のような
勧告を出しています。
冬季室温18℃以上(強く勧告)、
新築・改修時の断熱(条件付き勧告)、
夏季室内熱中症対策(条件付勧告)
又日本では温暖とされている県での
冬季死亡増加率が大きくワースト順に
栃木、茨城、山梨、愛媛、三重、鹿児島
となっている厚労省の統計調査が出ています。
これと総務省の断熱住宅普及率を比べると、
やはり断熱住宅の普及率の低い県と
先の冬季死亡増加率が多い県が
見事にリンクしています。
又断熱改修をする前と改修した後では
循環器系の疾患やアレルギー性の疾患などに
改善傾向が見られると言う調査結果も出ていて、
やはり暖かい家にはメリットが多く
気候的に寒い北海道や青森は
家自体が寒冷地対応になっているため、
先の冬季死亡増加率では順に47位と46位
になっています。
夜中に何度もトイレに行く方にも
暖かい家の恩恵があり断熱改修により
症状が改善される傾向が見られると言う
データも出ています。
このように住まいの室温と健康との関係は
密接で暖かい家ほど健康指標が向上する
データが揃えられ、益々暖かい家の需要が
求められるようになっています。
今日の内容は、国交省が出している、
こちら からデータを参考にさせていただいています。
お引渡し
「丁寧に暮らす家」(二期工事)
先日、お引渡しをさせていただきました。
1坪にも満たない洗面脱衣スペースに
洗濯、洗面、収納、物干し、換気乾燥など
多くの機能を必要とします。
滞在時間こそ短い部屋ですが一日の中で
朝起きて顔を洗う時、歯を磨く時、洗濯をする時、
洗濯物を干す時、夜お風呂に入る前、入った後に
必ず使う、非常に使用頻度の高い空間です。
以前も同じ場所にお風呂と洗面脱衣場が
同じ広さ、同じ天井高さで存在していました。
こちらの住まいでは一期工事時に
小上がりの入り口に大きなアーチを採用し、
それがアクセントデザインとして生きています。
そのテーマを引き継いで二期工事でも
洗面脱衣場の入り口にアーチを採用しています。
単純に出入り口をアーチにするだけでも
良かったのですが、折角この場所や浴室にも
断熱気密、気流留めを施して
これまで暑くて、寒くて滞在するのが苦痛だった場所を、
そのような体感から無縁の場所に生まれ変わらせるので、
もう少し長く滞在しても
居心地良く感じられるようにするには、
何かもう一工夫欲しいなあと考えました。
それには空間の操作、つまり空間の変化を
もたらすことが一番だと考えました。
そのために触れる部位はどこか?
床はバリアフリーを求められるため
フラットである必要がある。
壁は洗濯機や洗面台を置くため
既に最低限のスペースであり
整形を崩すことは難しい。
であるならば、天井はどうか?
洗面台や洗濯機置場の上のスペースは
手が届く訳ではない。
従って、この部分なら何かしら
変化をつけても大丈夫であろうとの判断で、
ここに変化をつけています。
Rで下がってきた天井と壁の接点を
少しずらして隙間を設け、
その隙間に照明を仕込んで間接照明にし、
この間接照明が部屋の主照明となっています。
単純にお風呂を入れ替えるだけなら、
工事期間は1カ月も掛からず出来るはずですが
折角、一旦スケルトンの状態にするなら
断熱、気密と言った基本性能も触れるチャンスです。
コストを抑えたいがために、そのチャンスを逃すのは
愚の骨頂です。
一般的に築20年以上ほど経つ家は
仮に断熱材が入っていても
かなり貧相な断熱かと思います。
ここをしっかりとケアしておくことで、
今後の生活、こと冬場のヒートショックに
対しても大きな効果があると思います。
家が寒いとお考えの方、40代後半以上の方は
やはりこういった部分がご自身の健康状態にも
大きく左右すると思います。
只、断熱材が入っていれば良い訳ではありません。
中途半端な断熱や気密対策では折角掛けた費用も
4割ほど無駄にします。
又、プロでも意外に見落としている個所もあります。
経験豊富な私どもこそ、改修のキーポイントを
熟知しています。
是非、芦田成人建築設計事務所の改修工事を通し
健康で快適な生活を経験してみませんか?
入れ子のような
「Courtyard house in Tamba」の現場では
造作工事が始まりました。
造作工事とは構造部分以外の内装工事を指し、
例えば天井工事や床工事、窓枠、建具枠工事など
割と幅広くの工事があります。
又、造作家具工事になると大工さんが造る
家具もあれば、家具屋さんが造る家具もあります。
大工さんが造る家具は基本的に現場で造るため
壁下地と一体化させたりすることも出来ます。
又、家具屋さんが造る家具はある程度、
精度が要求される工事が多いため
作業場などで専用の機械を用いて製作され、
現場では設置するだけと言ったケースが
多くなります。
こちらの現場では2階の主寝室に
収納が造作されましたが、
この段階を見ると入れ子構造のようにも
見えなくもありません。
入れ子とは空間の中に、
もう一つ空間が存在するようなことを
指しますが、これは収納の上がロフトの
ようになっていて、
その上にも床のような空間が出来る事が、
そのように見えるのかもしれませんね。
引けない
「丁寧に暮らす家」の二期工事がかなり進みました。
今週10日には引き渡しになります。
お風呂と洗面の工事ですが
寒い時期に入る前に済ませませんか?
とのことで夏の暑い時期の工事となりました。
その間、洗面化粧台や洗濯機もここでは
使えないため、仮の場所で
ご使用いただかないといけないことが
寒い時期を前倒しした理由でもあります。
計画段階で天井にRを用い、
それを木で実現させようとしていたのですが、
果たしてその方法は?を模索しました。
結果としては一番、木にも負担が
少ない方法となりました。
木は曲げていません。
細幅の木を天井下地の形状に沿わせて貼っています。
天井の高い位置で洗面化粧台や洗濯機が
並ぶ上の空間は、手を伸ばしても
簡単に届く場所ではありませんので、
別に真っすぐに天井を貼る必要もありません。
であるなら空間を柔らかく見せる効果としての
Rにしても良いのでは?との発想です。
そしてRによって少し下がってきた壁との
隙間に間接照明を仕込んで部屋全体を明るく照らします。
結果として、この間接照明は正解であったと言えそうです。
尚、写真の向きのアングルは部屋の大きさの加減でこれ以上後ろに下がれない(引けない)ため私のスマホカメラでは上半分を写すのが精一杯でした。
針葉樹の家具 その2
さて、前回針葉樹が家具に用いられることが
少ないとお伝えしましたが、
かなり厳密に言うと、椅子に用いられることが
少ないと言えば伝わりやすいのかもしれません。
何故でしょうか?
その前に「針葉樹」と「広葉樹」の違いを
説明しておくべきですね。
既にご存知の方も多いと思いますが、
針葉樹とは書いて字の如く葉の形が針のように
細長い形をしていて杉や桧が、
その代表的な樹種になります。
比較的早く成長し樹齢50年ほどもすれば
家などの構造材として利用できるほどに育ちます。
それに対して「広葉樹」は葉の形が大きく
樹木の生長にもかなり時間を要します。
この成長の違いが利用適正に影響するのですが、
その話は後ほどさせていただきます。
椅子に用いる木材は幾つかのパーツに分かれていて、
それを組み合わせることで出来上がります。
材と材を組み合わせる部分を仕口(しぐち)と
言いますが、先ず問題となるのが仕口の強度です。
仕口に強度が無ければ家具として成立しません。
針葉樹の場合、材料の断面が
ある程度大きく確保されていないと
仕口の強度を発揮し難い特性があります。
しかし、椅子のパーツでは仕口断面が
とても小さくなるため、
そのデザインによっては仕口強度を発揮出来ずに
椅子としての用を成さないことも考えられることが
採用し難いのだと思います。
木材の重さを現わす用語に「比重」
と言う言葉があります。
比重とは書いて字の如く、重さを比べたものですが、
何と比べているかと言うと「水」です。
同じ容積の水を1とした場合に、
その木材がどの程度の重さを持つかで表すのですが、
針葉樹の桧で0.41程度、広葉樹のナラで0.67、
ウォルナットで0.62程度と、
針葉樹に比べて広葉樹の比重は少し大きく、
重さがあることがこの数値からも分かります。
実際に樹種のサンプルを手に持った時も、
桧だけが他のサンプルに比べて明らかに軽かったのです。
先ほど針葉樹と広葉樹の成長速度の
違いについて述べましたが、
この成長速度の違いが比重にも現れます。
早く成長すると言う事は、それだけ中身が密でない
と言うことになります。
同じ針葉樹であっても南国で成長する杉と
寒い地域で成長する杉を比較すると
年輪と年輪の間隔に差があります。
南で育つ杉は比較的早くに成長するため
年輪と年輪の間隔が大きい傾向があり、
寒い地域で成長する杉はその逆で
年輪と年輪の間隔が密でぎゅっと詰まった
木材が多い傾向にあります。
広葉樹ならば、このぎゅっと詰まった感が
更に密であり木の硬さにも関係します。
従って硬い広葉樹の方がより精密な仕事を
要求される家具、特にデザイン的に凝った椅子には
向いているとされます。
勿論、針葉樹にも針葉樹が適した用い方があります。
要するに適材適所と言うことですね。
車庫
前回の続きで「針葉樹の家具」の話に
しようと思いましたが、
先に更新したい内容もあるので
次回こそ「針葉樹の家具」のお話に
させていただきます。
そして、今回は車庫のお話。
一般的に車庫と言うと既製品の
アルミカーポートで済ませてしまうことが
多いと思いますが、
折角、家を注文建築で建てたのなら、
そこは車庫にも気を遣うべきで
取って付けたようなアルミカーポートに
すべきではないと思います。
要は家とのバランスですね。
既製品のカーポートは、
お手軽で良いのでしょうけども、
それを付けたばかりにバランスを
崩してしまい目を覆いたくなるケースを
何度も目にしたことがあります。
多分、造り手側が、どれにしましょう?
と言ってカタログを持参してしまっていることが、
既製品カーポートが多い原因と考えますが、
造り手側も手軽さばかりを重んじるのではなく、
全体のバランスを見て、
どう造るかを考えるべきかと思います。
そして、もう一つ大きなハードルは
コストでしょうか?
造る方が、幾分かコストアップにはなりますが、
ものすごくアップになる訳ではありませんので、
造り手側が、もう少し仕様などを
工夫してコストを抑えつつバランスを
崩さない物を提案すれば、
もう少し普及すると思います。
写真の車庫は母屋とは構造的に
別棟でアプローチを兼ねているため、
コストを抑えた仕様ではありませんが、
建物とのバランスを考えた配置と形状にしています。