設計思想詳細
家族が根を張るための「土壌」をつくる
良い実が、良い土から育つように
住まいも、見た目や間取りの前に、「暮らしを支える土台(環境)」があります
芦田成人建築設計事務所が整えたいのは、家族が毎日吸う空気、暑さ寒さに左右されない熱、
触れて安心できる木、命を守る震(耐震)、そして暮らしを前に進める編集(運用)
この5つを「土壌」と呼び、設計の判断基準にしています
土壌をつくる5つの要素
土壌は、5つの要素でできています
(以下はすべて、単体ではなく相互に影響します
だから芦田は「総合して整える」設計をします)
1. 空気:身体をいたわる
よくある誤解
「換気設備を入れれば空気は良くなる」「高気密=苦しい空気」
→ どちらも“部分”です。空気は、換気だけでは決まりません
芦田の判断(何を見るか)
湿気が滞留しやすい場所(浴室・脱衣・収納・北側)
におい/こもり感が出る動線(玄関〜LDK〜寝室)
素材が空気に与える影響(仕上げ・接着剤・塗料など)
換気が「回っている」設計か(風量だけでなく、流れと配置)
具体的にやること(例)
湿気の“逃げ道”をつくる(空気の通り道、こもりやすい箱の扱い)
素材の選定を、意匠ではなく“空気”の観点で行う
設備は目的に合わせて「過不足なく」選ぶ(過剰にしない)
住まい手に起きる変化(体感)
玄関に入った瞬間の重さが減る
朝起きたときの、だるさ・喉の違和感が減る
洗濯や室内干しの不快が減る(乾き・におい)
確認のしかた(必要に応じて)
数値だけで決めません。けれど、数値がないと誤魔化せます。
必要に応じて、温湿度・換気状態などを確認し、住んでからのフィードバックに活かします
2. 熱:日本の暑さ寒さに、
理屈で勝つ
よくある誤解
「断熱材を厚くすれば全部解決する」「窓は大きいほど気持ちいい」
→断熱は大事ですが、日射・放射・温度ムラを扱わないと体感は整いません
芦田の判断(何を見るか)
夏:日射を「入れない」設計(特に西日)
冬:日射を「取る」設計(取れる面・時間を読む)
放射(壁・床・窓)による体感の差
家の中の温度ムラが出るポイント(廊下・脱衣・寝室)
具体的にやること(例)
窓は“景色”だけでなく“熱”も決める要素になる(位置・大きさ・ガラス)
冷える場所を作らない(冷えの溜まり場の解消)
夏に暑い日射から守れて、冬に暖かな日射を取り入れる外皮と日射の設計
住まい手に起きる変化(体感)
冬の廊下が怖くなくなる
足元の冷え、顔だけ暑い、みたいなムラが減る
エアコンを“効かせる”より“乱さない”暮らしになる
確認のしかた(必要に応じて)
温湿度の推移や室内のムラを確認し、設計の仮説を検証します
「性能のための数字」ではなく、「暮らしを楽にするための根拠」として扱います
3. 木:国産材を“思想”として使う
よくある誤解
「木=見た目が温かい」「木=手入れが大変」
→木は“雰囲気”だけの素材ではありません。扱い方で、寿命も快適性も変わります
芦田の判断(何を見るか)
どの木を、どこに、どう使うか(触れる場所/骨格/経年)
風土に合う素材の組み合わせ(湿気・温度差の中での安定性)
手入れが“暮らしに乗る”仕上げか(過剰にしない)
具体的にやること(例)
国産材を、家の肝に使う(構造・触感・経年が効く場所)
材の性質に合わせた寸法・納まり(反りや割れを前提に整える)
仕上げは「続けられる」選択にする
住まい手に起きる変化(体感)
触れたときの安心感が増える
空間が“静かに落ち着く”方向へ寄る
経年が劣化ではなく、馴染みとして現れる
4. 震:耐震は「安心」ではなく
「命を守る装置」
よくある誤解
「新築なら大丈夫」「耐震等級を上げれば安心」
→重要なのは、家族の暮らしに合った“守り方”と、根拠の説明です
芦田の判断(何を見るか)
建物形状と力の流れ(弱点がどこに出るか)
劣化と改修の見通し(長く守り続ける設計か)
既存住宅なら、現状把握と改善の優先順位
具体的にやること(例)
バランスの良い構造計画(無理のない開口計画)
改修であれば「効果の大きい順」に整える
必要な根拠を、住まい手の言葉で説明する
安心の根拠は許容応力計算で担保する
住まい手に起きる変化(体感)
不安が“情報”に変わる(何が弱点で、どう補うかが分かる)
将来の手入れや改修の道筋が見える
5. 編集:暮らしを主役にする
(間取りより運用)
よくある誤解
「便利な間取り=良い家」「収納を増やせば片付く」
→暮らしは、動線と運用で決まります。間取りは手段です
芦田の判断(何を見るか)
家事・片付け・移動で“疲れる瞬間”はどこか
家族の時間割(朝・帰宅・夜・休日)で詰まる場所はどこか
物の居場所が“自然に決まる”仕組みになっているか
具体的にやること(例)
「暮らしの詰まり」をほどく(渋滞ポイントの解消)
収納は量より、位置とルール(続く仕組み)
生活の変化に耐える余白をつくる(固定しすぎない)
住まい手に起きる変化(体感)
家の中で“急がなくていい”時間が増える
家事の疲れが減る
片付けが根性ではなく、仕組みになる