オマージュ?
古民家リノベーションの現場には殆どの箇所に建具が入りました。
メインとなるリビングダイニングの南面には内障子を設けています。
障子も様々なデザインがありますが、今回採用したのはより繊細な細い組子(くみこ)障子です。
組子とは女性の名前ではなく障子の桟と呼ばれる部分のことです。
このようにしたのは、この古民家には「差し鴨居(さしがもい)」と呼ばれるものが無く、存在感のある、ごつい丸太梁は空間の上の方に存在し上部を重く、下部を上品に軽やかに見せようとの思いからです。
差し鴨居とは、建具の上にある梁のことで梁に直接、建具を滑らせる溝を設け、昔は構造的にも意味のある材料でした。これがあることで力強さがより空間の下へ降りてきます。重心が下がるとでも言うべきでしょうか?
丁度、設計時に見学していた、東京国立博物館法隆寺宝物館や京都国立博物館平成知新館の印象も少し刷り込まれていたのかも知れません。
最近話題のパクリでは無く、オマージュとでも呼ぶべきかも知れませんが、このようなデザインは昔からあったもので、桟の細い太い、ピッチ、横桟を入れるか、どの位置に設けるかなどで全く違った印象に仕上がります。
この内障子は戸袋の中に隠れているので障子を開けた時には、存在が無くなります。
現場に入った内障子
存在感のある差し鴨居のある風景
京都国立博物館平成知新館
流石、重要文化財です。
古民家リノベーションの現場もメイン部分の大工工事が、ほぼ完了し左官工事に移っています。 こちらの梁の大きさ、長い丸桁にも関心しましたが、現場の帰りに寄った、重要文化財「永富家」
住まい手さんに教えて頂いてからずっと行ってみたかったのですが、ようやく時間が取れての訪問となりました。
築200年ほどとのこと。豪農の家で住まいの真ん中に仏壇が据えられ10以上の間を持つ建物でした。
元鹿嶋建設会長で国務大臣も務められた鹿嶋守之助さんの生家でもあるようです。鹿嶋家へ養子に入られたために鹿嶋姓となられたそうです。
「はぁ」と、ため息が出るほど、直径60cmもある紀州松が土間の吹抜け空間に存在感を示し、差鴨居も、その成60㎝以上。
後は静かにその佇まいを拝見するのみでした。
ちょっとした壁の奥行きを生かし、一輪挿しの花を飾ってあったり、各部屋に炉が切ってあったり、壁1枚、建具1枚を隔てたプライバシーの中で、どのような生活が営まれていたのか興味深いものです。
この建物の維持管理には、さぞかし手間とお金も掛かることでしょう。 現在の頭首さんは道を隔てた隣にこれまた立派な住まいを建てられ住んでおられるそうです。
そんな佇まいの一角に現在工事中の現場と、ほんのちょっとだけ雰囲気の似た場所を発見。
管理人さんに、今近くで、これこれこんな家を触らせて頂いているんですよなんて言う話をすると、「どこ?」って詳しい場所を聞かれましたが、実は今触らせて頂いているお住まいも築100年以上、歴史上の一族に所縁のある住まいと伺っています。
土間の上空に圧巻の直径60㎝の紀州松の梁が龍のように舞っています
こっそり2枚並べてみましたが、雰囲気の似た?工事中の現場と永富家の名前の無い部屋
どちらもアールの開口部の向こう側の右手には庭が広がっています。永富家の奥行きの浅い飾り棚と地袋。地袋の建具は縁の無い坊主貼りに建具の一部を凹ませた切り引手が使われています。坊主襖に切り引手、実はこれも共通事項であったりします。又アールの開口部の左側の壁面、床まで塗り仕上げとするのでは無く、杉板を張り意匠性を持たせています。と独り似てるなあと関心してしまったのでした。
決して、「どこが?」とは突っ込まないで下さい。(笑)
伝達手段
お盆前、暑い日々が続きますね。 さて古民家リノベーションの現場も一期工事分は大詰めを迎えています。
大工さんは何とか、お盆までに区切りを付けたいとのことです。
順次、内装、家具、建具なども続きます。
写真は、離れに繋がる出入り口です。上が丸くなっていますが、ここにもちゃんと建具が入ります。
では、どのように建具を入れるのか、その方法を大工さんに伝達する方法は種々あります。スケッチで伝える、口頭で伝えるなど様々ですがどれも詰めが甘いと、みっともないことになります。
私共では、更にその下にあるような図面を現場に渡します。これは、住まい手さんにお渡ししている図面とは違い、施工用の図面です。事務所によっては、施行者さんにこれらを描いて貰って、それをチェックするだけの所もあるようですが、私共では当方が描いて渡すようにしています。つまり、図面が拙ければ拙いなりの現場の出来になりますが経験を積んだ今では沢山のストックも出来ています。
これを描く事で納まりが全て頭の中に残る訳です。ですので、現場との電話での遣り取りも、より楽になりますし、大工さんは仕事に集中出来、我々は仕上がりの細部までを想像することが出来ます。
さて、少々堅苦しい内容となりましたがメインのスペースも白黒はっきりメリハリがつくようになっています。
黒い所は、元の構造材、無垢の木の所は新規に設けた材と言うのが基本ルールとしています。白い漆喰の天井や壁に呼応し、それぞれが引き立てあう住まいとなることでしょう。今回の工事は古民家再生とは違い、古民家リノベーションです。現代の生活に見合った新しい空間をつくり直すことがテーマです。ですので、外観以外は過去の雰囲気を踏襲している訳ではありません、全く新たな空間が出来上がります。
工程管理
新国立競技場のプロジェクトが白紙見直しとなりましたね。私共の所にも、反対署名をお願いしますと言う嘆願書が回ってきていた所ですが、これで反対署名する必要は無くなったのでしょうか? 同件での、先日のA藤さんの説明を聞いて思ったのは、デザイン(この場合のデザインとは表層的な装飾を指しています。世間一般の認識も、この部分を指すのかも知れませんが、本来のデザインとはそうではありません。)だけが出来る建築家は、今後ますます必要なくなると思いました。
即ち、それ以外に、クライアントのこと、構造のこと、コストのこと、環境のこと、など様々な要因を一つの形態にまとめ上げる力量が必要とされる、そんな時代がもう来ています。
さて、大きな話に触れてしまいましたが、現実に戻って
新築の現場、内部では塗装工事が延々と行われているので、「引渡しの日を聞いていますか?」 と職人さんに聞いてみた所、何も聞かされていないとのことです。
同様に、他の職種の方が現場に入って来られるのですが、前にされているべき仕事が済んでいないので、自分たちの仕事も出来ないと、帰って行かれます。
何故、こんなことが起こっているのか?
元受工務店さんから「足場が外れたから、行ってください」とだけ聞かされて来たんだとのこと、
そりゃ、当然こうなるわな~。
そこの交通整理を、元受さんがされていないことが理由です。工程管理も工務店さんの重要な仕事です。
無事に27日の引渡しが出来るのか?
一方、リノベーションの現場では順調に工事も進み、空間が最終形に近付きつつあります。
高い天井には漆喰が塗られ、梁も古色にお化粧直しされ、白黒の対比がくっきりしています。
思いもかけず
新築と違いリノベーションの現場では当初の予定通りに物事が進まないこと、多々あります。 その度に臨機応変な対応が求められる訳ですが、こちらの現場でもそのようなケースが発生しています。
しかし、そうのようなアクシデントが思いもかけず、良い方向に向かうことがあります。
その一つが、次の写真です。
これは、元は住いの内部であった場所、要素を差し引いていくと、このスペースは屋外でもいいなあと思いました。
構造上、正面の柱を抜く事が出来なったために、このスペースの用途が決まりました。
写真の右手には畑が広がります。奥に伸びたこのスペースにはスノコの床板を敷いて、外縁になる予定です。
外縁に腰掛けて、畑を眺める。長閑なスペースが思いも掛けず出来ました。
プレゼン時から変わっていないのは、外縁の右手土間部分、ここがお坊さんに通って貰う通路になると言うことです。
即ち、写真の手前には御仏壇のある部屋があります。
次の写真は、前回「びっくりサイズ」のタイトルで紹介させて頂いた戸当りです。
養生してあるために木の様子は分かりませんが、外寸で約30cmある私の靴を置いてみました。
それよりも大きいサイズであることが分かりますよね。ご自宅の玄関戸の枠とお比べ頂くと、如何にごっついかがお分かり頂けるのでは無いでしょうか?
びっくりサイズ
古民家リノベーションの現場には続々と材料が運び込まれて来ます。 今日、運ばれて来たのはカウンター天板?
では無く、玄関戸の戸当り枠です。写真では材料が寝ていますが、現場では立てて壁に直交向きに使います。
写真の赤で記した幅が40cmほどの桧の1枚板です。建具枠なので当然、節の少ない上小等級です。
通常、この半分もあれば「ごっつい」とされる建具枠が何故、こんなにもごっついのか?
と申しますと、玄関戸は壁の外に付く片引き戸、外壁を挟んで内側には製作物の網戸が戸袋の中に納まる仕様です。
これらを全て受け止め、且つ重い建具の戸当りになると言う事で、材料屋さんの判断もあり、必然的にごっつい1枚物となった訳です。
ベールを脱ぐ日が楽しみです。
梅雨の合間に
今週も、又週末が巡ってきました。 ブログの更新も滞ってしまいましたが2つの現場は進行中です。
新築の現場は先週で大工工事がひと段落、引き続きと言いたい所ですが、数日現場が空いていました。足場も未だ外れていません。
遅れに遅れた現場ですので、何としてでも7月中には引渡しまで済ませるように元受け工務店さんには頑張ってもらわないといけません。
住まい手さんからは「オープンハウスを開いてもいいよ」とのありがたい、お言葉を頂いていますが、スケジュールが読めない状況の中、告知も難しい状態です。7月のスケジュールがタイトなためオープンハウスの日を頂けるとしても日曜日1日だけ、数組限定の予約制で検討中ですが、正式な事が決まりましたらまた告知させて頂きます。もし、ご希望の方がいらっしゃいましたら、先にお申し出頂いても構いませんので宜しくお願い致します。7月の第3週目の日曜日辺りがおおよその候補になるかと思います。
一方、古民家のリノベーション工事も大詰めに差し掛かりつつあります。大工工事は残り1ヶ月ほどの予定とのこと、二期工事では蔵や納屋の工事も予定されています。
梅雨の最中で蒸し暑さが増して来ました。梅雨が明ければ蝉の鳴き声も加わり、余計に暑さを感じる季節に突入することでしょう。
今週は、どちらの現場も梅雨の中休みでの定例となりました。
虫たちが勢いづく季節ですね~、当事務所にも先ほど今シーズン初の夜のお客様が舞い込んで来られました。
やや小さなお客様ですので、捕まえずに傍観しておきます。
移りゆく季節と共に
今週も2つの現場+短期現場が動いています。新築の現場は大工工事も残す所僅か1~2週間ほどとなりました。
これまでは上り下りが大変だった2階へのアクセスも階段が掛かり、楽になりました。
大工工事がほぼ終わることを「大工が逃げる」と言います。
「逃げる」と言っても決して悪いことをした訳ではありません。他の職種に現場を明け渡す、バトンタッチすると言った意味合いですね。
ですので、あと1~2週間ほどで大工さんが逃げて内装工事に掛かることになります。
途中、途方に暮れかけていた所を本当に助けて頂き、ここまで漕ぎつけることが出来ました。
未だ若い方ですので、今後も又お世話になることもあると思います。
ここまでの御仕事に感謝し、完成まであと一息、頑張って参ります。

古民家の現場も内部造作工事が始まっていますが、外部では玄関周りの庇も良い雰囲気に仕上がっています。
柱や梁の新旧の材料を上手くまとめて頂きました。
住まいの顔となる部分、庭との関係を、どうつくるか?又一つ、課題が出来ました。

そして、短期決戦のロフト増床工事が先日から始まりました。竣工後7年目。
当時からはご家族も一人増え、お子様も大きくなられ、私との会話も、ちょっと照れ臭そうに「うん」から「はい」へ
と言うことは私自身もそれだけ年をとったと言う事実を受け止めないといけませんね。自分だけが、いつまでも変わっていないつもり、なんてのは厚かましいにも程があると言うものです。(笑)
そんな工事も明日には完了の予定。個室を思う存分満喫して下さい!


開口部が繋がりをもたらす
今週も順調に進む2つの現場。 梅雨入りしたとはいえ、天候にも恵まれ気持ちよく打合せをさせて頂きました。
今週は「窓」をキーワードに2つの現場のリポートです。
先ず、新築の現場では大工造作工事も大掛かりな部分は、かなり減り次回には階段も掛けられている事でしょう。この住まいには明るさにメリハリがあります。
長時間過ごす部屋は明るく、外との繋がりを感じられるような窓の配置と大きさを、一方寝室などは窓の大きさを調整しているために、そんなに明るくありません。
明るくする必要が無いと言えばいいのでしょう、寝室は寝る事が主な目的ですので、誤解を恐れずに言えば窓は大きくする必要はありませんね。
又古民家の現場では明るさを補う意味で設けた高窓、庭に繋がる大きな窓、ほっと一息外に繋がる窓など、目的、用途、大きさ、様々な窓を設けました。
こちらも、家の全てが明るい訳ではありません。家のどこに居ても明るいと言うのはよほど小さな家、奥行きの浅い家でないと実現できるものではありません。
でも明るい所と、ほの暗い所、低い所と高い所、それぞれが存在して初めて、その恩恵を感じる事が出来る訳ですので、必ずしも全てが明るい、天井が高い必要はないと思います。
要はメリハリが重要と言う事です。
写真は、新築の現場。大きな開口部からは高台の景色を独り占め出来ます。
そして、こちらは古民家の現場。吹抜けに設けた高窓からは、直射光こそ入らないものの、ぼんやりとした反射光が導かれます。
当初は、この景色を望める計画ではありませんでしたが、構造体を触っていく過程で丁度良いスペースが偶然にも生まれたために、ほっと一息つく場からの眺めとして、家の西側の風景を取り込むことにしました。

























