週末の現場
週末、「集う家」の刻み作業が始まったとの事で見学に伺いました。
こちらは全て手刻みで作業が進められています。但し、全て手刻みと言うと誤解があるかも知れませんので、厳密に申し上げますと、手動の機械がある程度まで仕事はしてくれますが、残りの仕上げの部分をノミを使って人の手で完成させると言うのが正解です。
手刻みの場合、最大のメリットは、木の特性を活かした継ぎ手や仕口が選択できると言う事でしょうか。
プレカットの場合はその工場の設備投資の加減によって要求する仕口や継ぎ手と言った加工を出来る出来ないの差があります。

で、上写真は手刻みの醍醐味、「台持ち継ぎ」と言う継ぎ手です。
写真の材料の反対側(赤い線の部分)がこの写真の材料を受け、上と下からボルト(緑色の線の部分)で締め付けて、しっかり固定しようと言う仕事で、柱の芯の上で継げると言う特徴があります。

そして、こちらがその軸組み模型。
若い、新入り大工さん作。仕事の合間合間で1ヶ月程度掛かったようです。
見事、上棟しております。
ご要望により一部に差し鴨居を採用しているので普段の設計よりも若干、階の高さは高めです。
差し鴨居とは、梁の様な大きな断面を持つ鴨居のことで、構造的な意味合いが強く荷重の負担、力の伝達も担い、建具の溝だけの役目をする鴨居とは区別するために、このような名前が付いているものと思います。
さらに、「2世帯3動線のリフォーム」では1期工事部分の学習教室の工事もほぼ完了。木製建具が入るのを待つのみとなりました。

生徒さんと住まい手の生活動線を区別するために新たに生徒用入り口を設け、下駄箱を新設しています。内部の床材はこれまでの物をそのまま利用。
壁と天井をやり替え、ライティングレールの照明器具(レールに沿って器具を動かす事が出来る物)を採用し、生徒さん達の座る位置に合わせて照明器具を移動させたり、器具を追加して増やす事も出来るようにしています。
さて、こちらの1期工事は一旦これにて終了。
引き続き2期工事と行きたい所ですが、施工側の都合により2期工事開始が今月末と少し間があきますが、いよいよ居住スペースの工事へと移っていきます。
準備も大変だ。
行儀良く
今日は、あかい工房さんの作業場へお邪魔した。
過去、既に数棟のお住まいでお仕事をして頂いた、工務店さんです。
こちらでは、現在横架材と言う梁や土台の番付け作業中
今回の横架材は信州長野県産のカラマツ、アカマツ
いつもの杉とは又違った香りがします。
木の話しはひとまず横へ置いておいて、今回は作業場で見つけた行儀良くおさまっている感じが何とも言えない、大工道具を1枚

墨壷に、行儀良くおさまっている墨指し
何か受け入れられている感じが行儀良い!
(墨壷;綿に墨を湿らせておく部分と糸が巻かれている部分からなる物で、糸に墨を付けて木材の上で糸をパンとはじくと、木材に加工の際の目印となる線が引かれる物)
(墨指し;引き割った竹の先端を平たくし、更に細かく刷毛のように加工し墨をつけ材料に線を引くための道具、一方御尻の方は丸くして細かくノミを入れ材料に字や印等を入れる際に使う。鉛筆のようなものだが、切ったりのみを入れたりする際には鉛筆よりも遥かに墨でかいた線の方が見やすい)
そんな、あかい工房さんでは、来る6月6日(土)、7日(日)に自社所有の建物で茅葺体験会を開催されます。
ご興味のある片は、直接、赤井さんまでお問合せ下さい。
木で木を組む
さて、以前ブログのブランク期間に考えた事と称し、数点の項目を論ってみたのですが
その一つ
「木で木を組む」と言う事で少しお話を
今や木造住宅のプレカット率は非常に高く、手刻みの仕事などした事無いと言う大工さんも多いようです。
プレカットとは柱や梁などの構造材と言う材料を事前に工場で機械によって刻んでしまおうと言うもの。
プレカットが良い悪いの話しをするつもりはありませんが、機械で刻むと言う事はその情報を全てコンピューターに入力した上で作業が進められますので
実際、設計者によっては、構造体の組み方は、どうせプレカットで図面を描いてくれるんだからと言う事で、そこまでの検討もされない方もいらっしゃるのだとか・・・。
でも、それじゃあ本当の木造はいつまでたっても理解できないまま。
自分の目指す空間が本当に組み上げられるのか、どこかに問題はないか?金物が見えて不自然ではないのか?などなど
伏図、軸組み図まで描いて初めてそれらの諸問題がクリアになる。
ぼんやりと平面図だけで考えていてもわからない事は多い。
今回ここにエントリーした内容は「木で木を組む」の内のほんの一部、もっともっと沢山の思いや情報を図面に込めて、現場の大工さんに事細かに伝える。
そのようにして、私たちの目指す木の家が出来上がっていきます。
同時進行
梅が満開のように見えますが、よく見ると既に最盛期は過ぎたようで
よーく見ると、とても綺麗な状態とは言えません。

さーて、ブログの方も暫し更新が滞っていましたが、現在設計中3案件が同時進行中でして、朝昼夜で考えている案件が全く異なり頭の中は少しパニックですが、寝る時間を削り、人海戦術で何とか乗り越えようと頑張っております。
おまけにプチプロジェクトもどうやら現実になりそうで、気兼ねなく人に来てもらえる事務所となりそうな、そんな感じです。
現在、お待たせしています皆様にはそんな訳でご迷惑をお掛けしますが、花粉症と戦いながら奮闘します。
● 集う家
● キッチンが出迎る家
● 2世代3動線のリフォーム
キッチン考
今年に入り新築2案件の設計中です。
どちらにも言えるのはキッチン周りに特徴があると言う事。
と言っても超豪華なキッチンを採用する訳ではなく、プラン上の特徴です。
一つはキッチンがお出迎えするパターン、もう一つはキッチン天板とテーブル天板を同じ高さで揃えたいと言う物。
後者のタイプはオープンスタイルに多く見られます。
一般的にテーブル高さは70cm前後、キッチン天板高さは80~90cm(使われる方の身長や調理用具に左右されます)が使い良いとされます。これらを面一(同じ高さ)に納めるには床の高さで調整すると言うのが一つの方法。
床に段差が出来るので、バリアフリーと言う概念とはかけ離れますが空間的にすきっと、まとまる。キッチン側と座る側で目線が近づき、コミュニケーションが取りやすくなる。などのメリットもあります。
逆に、キッチン周りのごちゃごちゃは隠したいけど、孤独なのは嫌と言う方もいらっしゃいます。
そのような理由から、オープンスタイルから巡り巡って対面にと言った決着を見る事もしばしば。
今年のテーマの一つとしてこの辺りの事を掘り下げて行きたいと思います。
「キッチン考」シリーズ その1 完