相互関税を考える
アメリカのトランプ大統領により相互関税が
発動されました。これは海外から入る安い輸
入品に高い関税をかけることで自国製品を守
ろうとする行動との認識ですが、先日書いた
ウッドショックの時に起こったことから、今
後を勝手に想像してみようと思います。
先日の記事ではウッドショック時には善良な
山側の対応により割を食う事は無かったと書
いたのですが、これは供給されにくくなった
ことは無いと言う意味での割を食わなかった
と言う意味でして、実は価格に関してはウッ
ドショック以前よりも高い価格になってしま
いました。
つまり、安い輸入木材が入らなくなったこと
で国産木材の需要が高まり、国産木材の価格
が上がったのです。
但し、山側の事情からすると、それまでの国
産木材の価格が安すぎて、山で木を切って出
してきて製材して出荷して終わりで、次の世
代に繋ぐために再び木を植えて育てる費用さ
え賄えなかったそうです。
話が逸れましたが、需要が高まれば当然のよ
うに値段が上がります。トランプ大統領の政
策では、自国の製品の需要を高めようとして
いるのだと思いますが、需要と供給のバラン
スで自国製品の需要が高まれば、自ずと値上
がりにつながり、低所得層の方々にとって決
して望まない結果になると思います。
即ち、自分で自分の首を絞める愚かな行為で
あると思います。その結果は数か月後には明
らかになるのではないでしょうか?
ウッドショック以来
先日、日経新聞のネットニュースに輸入木材
の在庫がウッドショック以来の量になってい
るとの記事をみました。着工戸数の減少を見
据え輸入商社が在庫量を調整していることが
原因だそうです。
ウッドショックの時、普段国産木材を活用し
た家づくりをしている我々としては対岸の火
事か?と思っていたのですが輸入木材が無い
のなら国産木材を使えと言ことで、国産材の
奪い合いが始まり割を食いそうになりました
が、善良な山側の対応によって奪い合いに巻
き込まれずに済みました。
日本には切り旬を迎えた或いは切り旬を過ぎ
た多くの木材が眠っています。切り旬とは、
木を植えておよそ50年もすると二酸化炭素
を吸って酸素をつくり出す能力が衰えてきま
す。そのような木々は積極的に切って次のス
テージに活用してあげることが自然の循環と
なります。
山の木を切ることは自然破壊だと言う方が時
々おられますが、それは違法伐採された海外
の木のことではないでしょうか?
しかし現在の日本の山の木々は、殆どがチッ
プ化されてバイオマスなどの燃やすための燃
料となることが多いそうです。他に活用でき
る方法は無いのでしょうか?
建築用材として活用することは最も体積(ボ
リューム)を稼げるので理想なのです。資源
の少ない日本で、木は自給できる数少ない素
材の一つですが、今の政策のままではお米も
同じ道をたどりそうな不安を覚えるのは私だ
けでしょうか?
あなたのご希望通りです?
あなたのご希望通りに設計しました、どうで
すか、素晴らしいでしょう。
まるでドラマのセリフのようなこの言葉、果
たしてそうでしょうか?私は絶対に素晴らし
いとは思いません。
何故なら、住まい手さんは初めての家づくり、
多く経験されている方でも2~3回目の家づく
りかと思います。
間取りだけでどこまで想像できていますか?
その土地の環境をどこまで把握できています
か?3次元で生活を想像できていますか?お
そらく、それらを想像できる方はほんの一握
りのはず、我々は数々の経験を通し、それら
を想像する訓練を積んでいますが、それでも
100%完全に想像できることは難しいです。
住まい手さんの希望通りに設計して、それが
デメリットの方が多くなることは容易に想像
できるのに、それに対して何もアドバイスせ
ずに希望通りにすることは決して素晴らしい
とは思えないのです。
プロとしての意見は持っておかないとスタン
スもブレブレになります。
あなたの家なのだから、間取りは、あなたが
考えて下さいと言う、そんな無責任な住宅会
社が存在すると言うことを聞いた時には信じ
がたい思いでしたが、法令や構造のことも何
も理解出来ていない方に対して、それは余り
にも無謀で無責任です。
耳障りの良い言葉に騙されてはいけませんし、
逆に我々のアドバイスに鬱陶しさを感じられ
る方がいらっしゃるかもしれないですが、そ
れは良い家になって欲しいがためのことであ
り、その言葉には全て根拠や裏付けがあって
のことです。
私は、決してイエスマンではありませんが、
そんな家づくりを楽しみたい方と一緒に日夜
設計業務に励んでおります。
光の取り込み方法
本日「坂道に建つ家」の定例でした。これま
で2階部屋の床は出来ていますが、廊下には
床が無かったのです。
理由は写真の通りです。法的に敷地ほぼ目一
杯、建蔽率ギリギリのボリュームでインナー
ガレージに玄関ホールの下屋、そのわずかな
スペースの間に作ったアプローチと中庭、そ
こからの陽射しだけではリビングへの光量が
やや不足すると思い、吹き抜けを介した上か
らの陽射しを取り込む計画です。
吹き抜けは出来れば奥行1間程度は欲しかっ
たのですが、純粋な吹き抜けの奥行は半間し
か確保できませんでした。そこで廊下をスノ
コとすることで、スノコの隙間から光を下に
落し、奥行1間相当の吹き抜けに相当するス
ペースとしています。
スノコは事務所にあった端材を実寸サイズに
加工しモックアップを作成し、断面寸法と隙
間のシミュレーションを繰り返しました。そ
れがようやく現実の物となったのですが、幾
らシミュレーションを繰り返しても現場でな
いと光の動きやサイズ感までは掴めません。
養生シートこそ敷かれていましたが、何とな
く雰囲気は掴めました。多分、光の落ち方や
歩行感は大丈夫のように思いますが、さてテ
スリが付いた時に最終確認をしてみたいと思
います。
最後の写真の養生シートを敷いている部分が
全てスノコ床となります。
逃げる
建築用語に「逃げる」と言う言葉があります。
一般的には悪事を働くなどして逃げると言う
場合のようにネガティブイメージに使われる
ことが多いと思います。
建築用語で「逃げる」とは、段取り上、仕事
を先行する職人さんが自身の仕事を終えて次
の職人さんが仕事を出来るように現場を空け
渡すことを指して「逃げる」と表現するので
すが、とある方のSNSを拝見していると「大
工が逃げた現場では・・・」と始まっていた
ため、一瞬どきっとしました。
よく読んでみると先に説明しましたように、
大工さんは自身の仕事を終えて、次の職人さ
んが仕事に入れるように現場を明け渡したと
言った内容だったのですが、実は私自身、本
当に大工さんが現場に来なくなった経験があ
りまして次の大工さんに来てもらうために現
場が1.5カ月も止まった経験が、随分と以前に
あります。
もしかして、この方も同じ目に遭ったのか?
と想像したのです。大工さんが来なくなった
原因は、ここでは申し上げられませんが、そ
の時の苦い経験は次の別の機会で生かすこと
が出来たので、災い転じて福となす、にする
ことが出来ました。
建築用語って難しい言葉が多いため、一般の
方に伝えるためには翻訳作業が必要になりま
す。専門用語で説明を続けると、お客様がぽ
かんと口を開けてしまうことがあるため、出
来るだけ気を付けるようにしているのですが、
それでも我々は、その専門用語が一般用語と
思い込んでいる節もあるため、分からない場
合は積極的に、その言葉の意味を説明して下
さいとお伝えいただくと良いと思います。
家と庭
庭には少しでも良いので木を植えましょう、
そうすることで生活に潤いも生まれ四季を感
じられるようになります。
雑草引きが手間なので庭に木は要りませんと
言う方が時々いらっしゃるのですが、何も無
ければ殺風景で人が暮らしている感じも生ま
れません。
家と庭と書いて初めて家庭ですから、人が住
む家にはやはり庭や木は必要であると思いま
す。
写真は庭の植栽工事が完成した後と植栽工事
前の物ですが、これをご覧いただくと、どっ
ちが良いか一目瞭然であると思います。
葉が風でさらさらと揺れる模様や、葉が擦れ
合う音、影の映り込み、冬になると葉を落と
し季節や時間を感じることができたり住人に
とってメリットは雑草引き以上にあります。
木が植わると季節の鳥や虫たちもやってきて、
鳴き声に癒されたり、実のなる木であれば果
実の恩恵に恵まれます。人は自然とともに生
きていることを忘れてはいけませんね。
いノ一番
「いノ一番に〇〇する」と言う言葉、最近使
う事も少なくなりましたが、「他のことはさて
おいて、先ず最初に〇〇する」と言う意味合
いで良いのでしょうか?
「一丁目一番地」と言う言葉と同義或いは類
義であると解釈しているのですが、さてこの
言葉、建築用語から来ていると思うのですが
如何でしょう?
木造建築では材料の行き先(住所)を示すた
めに材料に番付を付けます。木が見えない建
築では、どんな木がどこに使われようが、関
係ないのですが木が見える建築では、見える
部分は綺麗な木目や色味、節の有無などによ
って建築の出来栄えが随分と違って見えます。
当事務所でも、この作業番付打ちをするので
すが、その時の写真に「いノ一番」が写って
いました。四角い建物では縦方向と横方向に
番付が打たれ、その交点がその材料の番付と
なります。
縦方向の最初に来るのが「い(通り)」横方
向の最初が「一(通り)」従って、その交点
は「いノ一番」と言うことになり建物の角
になります。即ち先ず最初に来る材料と言
うことになります。
写真は杉材の柱への番付打ちが終わった状態
です。一番右にあるのが「いノ一番」の材料
と言うことになります。
納まり
建築には様々な場所に納まりが存在しています。
納まりの集合体と言っても過言ではありません。
納まりと言うくらいなので、きっちりと材料と
材料が組み上がったり、あるいはあえてずらし
ていたり様々な納まりがあると思います。思い
ますと書くのは他の方の納まりが分かっている
訳ではないためなのですが、私の場合、ずらす
納まりをすることはありません、今の所は・・
・。
一般的に窓枠は四方に木の枠或いは樹脂の枠が
回されると思いますが、当方ではケースバイケ
ースで枠の納め方を使い分けています。又住宅
内部に用いる木製建具も既製品の建具を採用す
ることはありませんので、それらの枠もケース
バイケースで納まりが異なります。
鍵の掛かる戸なのか、そうで無い戸なのか、ア
ウトセットと言って壁の外に飛び出した戸なの
かで納まりが変わることがあります。とは言え、
建具1枚ごとに全て違う納まりになってしまっ
ては手間も掛かるし、間違えの元になり兼ねま
せんので、ある程度ルール化して、このケース
はこの納まりと言った具合に決めています。
写真は鍵の掛からない戸の枠の納まりです。
鴨居は通常通り、建具が滑る溝だけが掘って
あるのですが、戸が壁に当たる部分は戸当た
りの棒ののような物が壁に取り付いているだ
けです。
この部分は建具の幅よりも狭いため、戸を閉
めると戸が直接壁に当たっているように見え
るのですが、実は戸当たりの棒に当たってい
るため、壁が傷むことはありません。
一般的な納まりと比べると、見ることが少な
いと思いますが、経験の中で生み出した納ま
りの一つでもあります。
気持ちの良い場所を探す
障害物も何もない野中の一軒家であれば、そ
こに建つ家には問題なく日が降り注ぎ家の中
には気持ちの良い場所が沢山生まれることと
思います。
しかし、街中の建て込んだ敷地では、そうも
いきません。お隣の建物が陽射しを遮り上手
に計画を立てないとあなたの家は一日中、お
隣の建物の影のままと言ったことも珍しくあ
りません。
日射取得の説明で図のような絵をご覧になっ
たことがある方も多くいらっしゃると思いま
すが、建て込んだ街中では、こんな絵は正に
絵に描いた餅になり兼ねません。だって、お
隣の建物が日射を邪魔する訳ですから・・・。
そこで、建て込んだ敷地の中でも気持ちの良
い場所を探すために、日影図と言う物を検討
することでより、その敷地のポテンシャルを
引出し快適な住まいづくりをすることが出来
ます。
例えば、緑で囲った土地に家を建てる場合を
検討するとします。南と南東には2階建ての
建物が建っているとするなら、緑の敷地は、
それらの建物の影の影響を大きく受けます。
特にありがたい陽射しが欲しい冬は太陽の高
度も低くなるため建物の影も伸びます。そこ
で緑の敷地の中で冬でも日が差し、一番気持
ちの良さそうな場所はどこか?を探してみる
と、赤で囲った辺りが日当たりが良く、心地
良さそうであることが分かります。
敷地全体が日当たりが良ければ、そんな心配
はしなくてもいいのですが敷地の一部しか日
当たりが良くない場合は、一番日当たりのい
い場所を日中長く過ごすことになる部屋を割
り当てます。
殆どの場合はリビングダイニングが優先的に、
そのような場所を確保することになると思い
ます。
時々、ポータルサイトなどで間取りを添削し
て下さいと言った質問を見る事がありますが、
そこには隣地の情報が何もなく自敷地のみの
情報で添削をと言った内容が殆どです。
住まいの設計は周囲の環境に影響を受けるこ
とも多く、周りの環境も読み込んで初めて良
い家が出来上がります。ですので、我々は計
画の際に、その場所に立って環境を読み込む
ことから計画を始めます。
通気層と通気口
建物の耐久性が求められるようになり、通気
工法が採用されるようになりました。通気工
法とは壁内や天井裏或いは屋根上の断熱材よ
りも屋外側に空気が流れる層を設ける工法で、
室内から排出される水分が通気層に流れる空
気で乾燥させたり、或いは万が一、何らかの
原因で外壁から侵入した雨水が通気層でスト
ップし、それ以上部屋内側に行かないように
したりする役割を持ちます。
従って通気層に貼ってあるシートは透湿防水
シートと呼ぶ物で字の如く屋内からの湿度を
屋外に透過させるけども屋外から入った水分
は内部に浸透させないと言う特殊な条件をク
リアするシートになります。
通気と言うことは空気の出入口が存在して初
めて機能する訳ですが、空気の出入口イコー
ル水の出入り口にもなり得るため簡単ではあ
りません。
写真は屋根裏面への通気口ですが虫が入らな
いように、水が入り難いように場所や網目の
細かさを決めています。
唯一、心配なのは妻面の軒裏部分で、台風な
どによって雨が下から吹きあがる場合に、こ
こから少し水が入る可能性が残されます。し
かし入る水の量は僅かだと思いますので、通
気層に流れる空気が乾かせてくれると言う算
段です。
小上り
坂道に建つ家の工事もいよいよ大詰めに入って
参ります。内部では小上りとなる部分の床下地
組が出来ました。
小上りの高さをどの高さに設定するのかは毎回
悩みどころですが、今回は階段の割付に揃える
べきか椅子の座面程度にすべきかで迷いました。
階段の蹴上(1段の高さ)高さが低ければ前述
の2つの寸法が丁度同じくらいに揃うこともあ
るのですが、今回の蹴上寸法は少し高めになっ
ているため微妙に違いがありました。
結局、今回は少し低めの椅子の座面高さ程度に
小上りの高さを設定しています。理由は、小上
りに隣接してダイニングスペースがあり、テー
ブルも収まるため、小上りが椅子のような役割
を兼ねることを目的としています。
仮に階段の二段目と小上がりの高さを揃えた場
合は、少し座面高さの高い椅子と同じくらいに
なるのですが、そうすると他に色々と納まりが
良くない部分が発生するため、低めの設定にし
ています。
たった数センチの差ですが、座り心地にも差が
生まれます。私は身長176cmですが椅子の座面
高さは低めの方が落ち着く感じがします。出来
れば椅子の座面は40cm未満の物を選びたいと
思っているのですが、北欧家具などは相対的に
座面高さが高めの物が多いため、お勧めさせて
頂くのが多いのは国内産のメーカーになります。
座面が低いと言うことは、それに合わせてテー
ブルも少し低めにする方が心地よさに直結しま
す。
家の中では立っている時間よりも、椅子に座っ
たり、布団で寝たりする時間の方が長いのでは
ないかと思いますが如何でしょうか?であるな
ら、やはり座るための場所や家具って重要です
よね。お店で椅子を選択する場合は少し長い時
間試し座りさせていただくと、自分に合うかど
うかが分かって良いと思います。