Narito Ashida Narito Ashida

光の取り込み方法

本日「坂道に建つ家」の定例でした。これま
で2階部屋の床は出来ていますが、廊下には
床が無かったのです。

理由は写真の通りです。法的に敷地ほぼ目一
杯、建蔽率ギリギリのボリュームでインナー
ガレージに玄関ホールの下屋、そのわずかな
スペースの間に作ったアプローチと中庭、そ
こからの陽射しだけではリビングへの光量が
やや不足すると思い、吹き抜けを介した上か
らの陽射しを取り込む計画です。

吹き抜けは出来れば奥行1間程度は欲しかっ
たのですが、純粋な吹き抜けの奥行は半間し
か確保できませんでした。そこで廊下をスノ
コとすることで、スノコの隙間から光を下に
落し、奥行1間相当の吹き抜けに相当するス
ペースとしています。

スノコは事務所にあった端材を実寸サイズに
加工しモックアップを作成し、断面寸法と隙
間のシミュレーションを繰り返しました。そ
れがようやく現実の物となったのですが、幾
らシミュレーションを繰り返しても現場でな
いと光の動きやサイズ感までは掴めません。

養生シートこそ敷かれていましたが、何とな
く雰囲気は掴めました。多分、光の落ち方や
歩行感は大丈夫のように思いますが、さてテ
スリが付いた時に最終確認をしてみたいと思
います。

最後の写真の養生シートを敷いている部分が
全てスノコ床となります。

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逃げる

建築用語に「逃げる」と言う言葉があります。
一般的には悪事を働くなどして逃げると言う
場合のようにネガティブイメージに使われる
ことが多いと思います。

建築用語で「逃げる」とは、段取り上、仕事
を先行する職人さんが自身の仕事を終えて次
の職人さんが仕事を出来るように現場を空け
渡すことを指して「逃げる」と表現するので
すが、とある方のSNSを拝見していると「大
工が逃げた現場では・・・」と始まっていた
ため、一瞬どきっとしました。

よく読んでみると先に説明しましたように、
大工さんは自身の仕事を終えて、次の職人さ
んが仕事に入れるように現場を明け渡したと
言った内容だったのですが、実は私自身、本
当に大工さんが現場に来なくなった経験があ
りまして次の大工さんに来てもらうために現
場が1.5カ月も止まった経験が、随分と以前に
あります。

もしかして、この方も同じ目に遭ったのか?
と想像したのです。大工さんが来なくなった
原因は、ここでは申し上げられませんが、そ
の時の苦い経験は次の別の機会で生かすこと
が出来たので、災い転じて福となす、にする
ことが出来ました。

建築用語って難しい言葉が多いため、一般の
方に伝えるためには翻訳作業が必要になりま
す。専門用語で説明を続けると、お客様がぽ
かんと口を開けてしまうことがあるため、出
来るだけ気を付けるようにしているのですが、
それでも我々は、その専門用語が一般用語と
思い込んでいる節もあるため、分からない場
合は積極的に、その言葉の意味を説明して下
さいとお伝えいただくと良いと思います。

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家と庭

庭には少しでも良いので木を植えましょう、
そうすることで生活に潤いも生まれ四季を感
じられるようになります。

雑草引きが手間なので庭に木は要りませんと
言う方が時々いらっしゃるのですが、何も無
ければ殺風景で人が暮らしている感じも生ま
れません。

家と庭と書いて初めて家庭ですから、人が住
む家にはやはり庭や木は必要であると思いま
す。

写真は庭の植栽工事が完成した後と植栽工事
前の物ですが、これをご覧いただくと、どっ
ちが良いか一目瞭然であると思います。

葉が風でさらさらと揺れる模様や、葉が擦れ
合う音、影の映り込み、冬になると葉を落と
し季節や時間を感じることができたり住人に
とってメリットは雑草引き以上にあります。

木が植わると季節の鳥や虫たちもやってきて、
鳴き声に癒されたり、実のなる木であれば果
実の恩恵に恵まれます。人は自然とともに生
きていることを忘れてはいけませんね。

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いノ一番

「いノ一番に〇〇する」と言う言葉、最近使
う事も少なくなりましたが、「他のことはさて
おいて、先ず最初に〇〇する」と言う意味合
いで良いのでしょうか?

「一丁目一番地」と言う言葉と同義或いは類
義であると解釈しているのですが、さてこの
言葉、建築用語から来ていると思うのですが
如何でしょう?

木造建築では材料の行き先(住所)を示すた
めに材料に番付を付けます。木が見えない建
築では、どんな木がどこに使われようが、関
係ないのですが木が見える建築では、見える
部分は綺麗な木目や色味、節の有無などによ
って建築の出来栄えが随分と違って見えます。

当事務所でも、この作業番付打ちをするので
すが、その時の写真に「いノ一番」が写って
いました。四角い建物では縦方向と横方向に
番付が打たれ、その交点がその材料の番付と
なります。

縦方向の最初に来るのが「い(通り)」横方
向の最初が「一(通り)」従って、その交点
は「いノ一番」と言うことになり建物の角
になります。即ち先ず最初に来る材料と言
うことになります。

写真は杉材の柱への番付打ちが終わった状態
です。一番右にあるのが「いノ一番」の材料
と言うことになります。

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納まり

建築には様々な場所に納まりが存在しています。
納まりの集合体と言っても過言ではありません。

納まりと言うくらいなので、きっちりと材料と
材料が組み上がったり、あるいはあえてずらし
ていたり様々な納まりがあると思います。思い
ますと書くのは他の方の納まりが分かっている
訳ではないためなのですが、私の場合、ずらす
納まりをすることはありません、今の所は・・
・。

一般的に窓枠は四方に木の枠或いは樹脂の枠が
回されると思いますが、当方ではケースバイケ
ースで枠の納め方を使い分けています。又住宅
内部に用いる木製建具も既製品の建具を採用す
ることはありませんので、それらの枠もケース
バイケースで納まりが異なります。

鍵の掛かる戸なのか、そうで無い戸なのか、ア
ウトセットと言って壁の外に飛び出した戸なの
かで納まりが変わることがあります。とは言え、
建具1枚ごとに全て違う納まりになってしまっ
ては手間も掛かるし、間違えの元になり兼ねま
せんので、ある程度ルール化して、このケース
はこの納まりと言った具合に決めています。

写真は鍵の掛からない戸の枠の納まりです。
鴨居は通常通り、建具が滑る溝だけが掘って
あるのですが、戸が壁に当たる部分は戸当た
りの棒ののような物が壁に取り付いているだ
けです。

この部分は建具の幅よりも狭いため、戸を閉
めると戸が直接壁に当たっているように見え
るのですが、実は戸当たりの棒に当たってい
るため、壁が傷むことはありません。

一般的な納まりと比べると、見ることが少な
いと思いますが、経験の中で生み出した納ま
りの一つでもあります。

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下塗り

坂道に建つ家、外壁の吹付塗装が始まりました。
吹付塗装と言ってもペンキの塗装ではなく今回
は、骨材を混ぜたマヂックコートと呼ぶ吹付塗
装になります。

複数の層に分けて仕上げていきますが、現在は
下塗りの状態で未だ最終の色味までは出ていま
せんが、何となく良い色味であることが想像で
きます。

黒系ですが完璧な黒になるのではなくイカスミ
色とも言える濃いグレー系の色に仕上がる予定
です。

光の加減もあり、写真では薄めのグレーのよう
に見えるかもしれませんが、実際見るともう少
し黒味が強く出ています。おそらく仕上げ塗り
が終われば目指してるイカスミ色に近づくと思
います。

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気持ちの良い場所を探す

障害物も何もない野中の一軒家であれば、そ
こに建つ家には問題なく日が降り注ぎ家の中
には気持ちの良い場所が沢山生まれることと
思います。

しかし、街中の建て込んだ敷地では、そうも
いきません。お隣の建物が陽射しを遮り上手
に計画を立てないとあなたの家は一日中、お
隣の建物の影のままと言ったことも珍しくあ
りません。

日射取得の説明で図のような絵をご覧になっ
たことがある方も多くいらっしゃると思いま
すが、建て込んだ街中では、こんな絵は正に
絵に描いた餅になり兼ねません。だって、お
隣の建物が日射を邪魔する訳ですから・・・。

そこで、建て込んだ敷地の中でも気持ちの良
い場所を探すために、日影図と言う物を検討
することでより、その敷地のポテンシャルを
引出し快適な住まいづくりをすることが出来
ます。

例えば、緑で囲った土地に家を建てる場合を
検討するとします。南と南東には2階建ての
建物が建っているとするなら、緑の敷地は、
それらの建物の影の影響を大きく受けます。

特にありがたい陽射しが欲しい冬は太陽の高
度も低くなるため建物の影も伸びます。そこ
で緑の敷地の中で冬でも日が差し、一番気持
ちの良さそうな場所はどこか?を探してみる
と、赤で囲った辺りが日当たりが良く、心地
良さそうであることが分かります。

敷地全体が日当たりが良ければ、そんな心配
はしなくてもいいのですが敷地の一部しか日
当たりが良くない場合は、一番日当たりのい
い場所を日中長く過ごすことになる部屋を割
り当てます。

殆どの場合はリビングダイニングが優先的に、
そのような場所を確保することになると思い
ます。

時々、ポータルサイトなどで間取りを添削し
て下さいと言った質問を見る事がありますが、
そこには隣地の情報が何もなく自敷地のみの
情報で添削をと言った内容が殆どです。

住まいの設計は周囲の環境に影響を受けるこ
とも多く、周りの環境も読み込んで初めて良
い家が出来上がります。ですので、我々は計
画の際に、その場所に立って環境を読み込む
ことから計画を始めます。

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通気層と通気口

建物の耐久性が求められるようになり、通気
工法が採用されるようになりました。通気工
法とは壁内や天井裏或いは屋根上の断熱材よ
りも屋外側に空気が流れる層を設ける工法で、
室内から排出される水分が通気層に流れる空
気で乾燥させたり、或いは万が一、何らかの
原因で外壁から侵入した雨水が通気層でスト
ップし、それ以上部屋内側に行かないように
したりする役割を持ちます。

従って通気層に貼ってあるシートは透湿防水
シートと呼ぶ物で字の如く屋内からの湿度を
屋外に透過させるけども屋外から入った水分
は内部に浸透させないと言う特殊な条件をク
リアするシートになります。

通気と言うことは空気の出入口が存在して初
めて機能する訳ですが、空気の出入口イコー
ル水の出入り口にもなり得るため簡単ではあ
りません。

写真は屋根裏面への通気口ですが虫が入らな
いように、水が入り難いように場所や網目の
細かさを決めています。

唯一、心配なのは妻面の軒裏部分で、台風な
どによって雨が下から吹きあがる場合に、こ
こから少し水が入る可能性が残されます。し
かし入る水の量は僅かだと思いますので、通
気層に流れる空気が乾かせてくれると言う算
段です。

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小上り

坂道に建つ家の工事もいよいよ大詰めに入って
参ります。内部では小上りとなる部分の床下地
組が出来ました。

小上りの高さをどの高さに設定するのかは毎回
悩みどころですが、今回は階段の割付に揃える
べきか椅子の座面程度にすべきかで迷いました。

階段の蹴上(1段の高さ)高さが低ければ前述
の2つの寸法が丁度同じくらいに揃うこともあ
るのですが、今回の蹴上寸法は少し高めになっ
ているため微妙に違いがありました。

結局、今回は少し低めの椅子の座面高さ程度に
小上りの高さを設定しています。理由は、小上
りに隣接してダイニングスペースがあり、テー
ブルも収まるため、小上りが椅子のような役割
を兼ねることを目的としています。

仮に階段の二段目と小上がりの高さを揃えた場
合は、少し座面高さの高い椅子と同じくらいに
なるのですが、そうすると他に色々と納まりが
良くない部分が発生するため、低めの設定にし
ています。

たった数センチの差ですが、座り心地にも差が
生まれます。私は身長176cmですが椅子の座面
高さは低めの方が落ち着く感じがします。出来
れば椅子の座面は40cm未満の物を選びたいと
思っているのですが、北欧家具などは相対的に
座面高さが高めの物が多いため、お勧めさせて
頂くのが多いのは国内産のメーカーになります。

座面が低いと言うことは、それに合わせてテー
ブルも少し低めにする方が心地よさに直結しま
す。

家の中では立っている時間よりも、椅子に座っ
たり、布団で寝たりする時間の方が長いのでは
ないかと思いますが如何でしょうか?であるな
ら、やはり座るための場所や家具って重要です
よね。お店で椅子を選択する場合は少し長い時
間試し座りさせていただくと、自分に合うかど
うかが分かって良いと思います。

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Jパネル

木の家と言うことで全ての素材が無垢の材料で
できれば文句なしですが、しかし中々そうはい
かないのが現実です。

例えば無垢材は反る、割れると言った欠点を持
ち合わせています。或いは幅の広い少し面積の
大きな材料を無垢板で調達しようとすると相当
高価な物になることは想像できます。

一カ所だけなら未だしも、そう言った個所が複
数必要になると値段も比例します。そこで登場
するのが集成材と呼ぶ材料ですが、今回紹介す
るJパネルは、より無垢材に近い集成材と言え
ます。

無垢材の欠点を補うように、三層構造になった
パネルは一層ごとに貼り合わせてある材料の方
向が異なっていて反り難いように考えられてい
ます。材料の小口を見るとその方向性の違いが
一目瞭然として分かるのですが、その小口をあ
えて見せるように使う事が出来るのも、この材
料の面白さでもあります。今回は階段の踊り場
の踏み板として採用することで、限りなく無垢
材に近い階段が出来る事になります。

写真の腰壁に採用しているのがJパネルですが、
パネルの厚み分だけ上半分の壁よりも飛び出さ
せて、内障子の敷居としても兼用しています。
この写真で見る限り、無垢板となんら変わらな
いように見えます。

こちらの写真をご覧いただくと三層に貼り合わ
せてあることを御理解いただけると思います。
このJパネルは過去にも何度か採用させていた
だいたことがあり、非常に利用価値のあるもの
であることは実感しています。

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断熱材何使う?

3月に入り直ぐに人生初のコロナに感染して
しまい、1週間ほどを棒に振りました。今週
初めからようやく本格スタートしております。

その間も現場は少しずつ動いています。所で、
当事務所では壁に用いる断熱材には袋入りの
物を採用することをしていません。

それは何故かと言うと、袋入りの断熱材は施
工不良になりやすいからと言う理由なのです
が、勿論正しい施工を理解している職人さん
であれば、そうなることは少ないと思います
が、果たしてどれだけの職人さんが袋入り断
熱材の正しい施工を理解しているのでしょう
か?

壁の中には構造金物があったり、時には構造
材が飛び出してきたり、材成の違う梁同士が
途中で継がれていて壁の中に変な凹凸が出来
たりと必ずしも断熱材を施工するために相応
しい状況であるとは言えません。

そう言った変化に追随しようと思うと袋入り
の断熱材では、非常にし難いのです。又、袋
と中に入っている断熱材が一体的な挙動をし
ないために、後で手直しをするにも上手くい
かないこともしばしばあって壁面への袋入り
断熱材の採用は基本、止めています。

採用する断熱材は高性能グラスウールを基本
仕様としていますが、時には新聞紙を砕いた
セルロースファイバーや、場合によっては外
断熱の際にフェノールフォーム系の商品を採
用しケースバイケースで対応しています。い
ずれも正しい施工が肝心で、正しい施工がな
されていなければ性能値も何割か下がると言
われています。

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西へ向けて

正午を少し過ぎ、鎌倉を出発し向かった先は
小田原です。今回一番の期待を寄せていたの
が小田原にある江之浦測候所と呼ぶ、デザイ
ナーの杉本博司さんが構想と基本設計、デザ
イン監修をされた施設です。

江之浦測候所へのアクセスは車で直接行くか
或いは電車の場合は最寄りの駅まで送迎バス
が来てくれるシステムになっています。送迎
バスの時間はおよそ30分に1本程度の頻度
であるのですが、基本的には何時の便に乗る
のかまで事前予約を入れておかないといけな
いので、遅刻は出来ないと思い、早めに鎌倉
を出発したのです。

最寄りの駅までは鎌倉から大船で1度乗り換
えて約40分で到着します。高台から海を見
下ろす絶景の無人駅に到着すると跨線橋を渡
り、改札へと向かいます。この跨線橋も、こ
じんまりしたサイズ感で後ろを振り返ると青
空に生える海を見下ろすことも出来ます。

改札に来るまでは無人駅であることは分かり
ませんでしたが、昔懐かしい木製のベンチと
木の駅舎、マリンカラーとも言える可愛い外
観も、これまた江之浦測候所への期待を増大
させてくれるものでした。

早めに到着したのでバスの時間までは、駅や
景色を楽しんだり、駅の周りを散策してみた
りと退屈することはありませんでしたが、そ
れでも尚且つ持て余す時間を惜しむように予
約の1本前の送迎バスが到着したので、「1
本早いですが、これに乗っても良いですか?」
と運転手さんに尋ねると「はい、どうぞ」と
のこと、この日は平日とあって、私を含め、
もう1組のカップルだけが、バスにのってい
るだけでガラガラで席にも余裕があったので
OKが出たのでしょうね。

と言う訳で1時30分に根府川駅を出発する
送迎バスに乗れたのでした。江之浦測候所の
ウェブサイトにはバス停から歩くと40分程
度は掛かると書かれていた通り、その道は曲
がりくねった峠道です。バスだとおよそ7~
8分で到着しましたが、歩くとその程度掛か
るのは頷けました。

バスが到着したのは駐車場で、既に数十台の
車が停まっており、賑わっている様子が推測
出来ました。施設のエントランスまでは薄暗
い森のような小径を通り抜け、森を抜けた所
で180°Uターンし石段を数段駆け上がりま
す。すると先ほどまでの海への視界が再び開
け、売店のような建物が迎え入れてくれます。

ここで獲れた柑橘類を絞りたてで提供する売
店なんだそうですが、この日はとても寒い日
で、とてもそんな身体を冷やすようなものを
欲する気分にはなれずスルー。

そしていよいよ受付のあるガラス張りの建物
へと到着するのでした。大きな荷物を抱えて
いたため下の階のロッカーを勧められ、まず
は身軽になりました。ガラス張りの建物を出
るといよいよ施設の中に進んで行くのでした。

一番最初は又ガラスに覆われた建物ですが、
その長さがとても長く100メートルもある
んだそうです。ここは夏至光遥拝100メー
トルギャラリーと名付けられた片面はガラス、
片面には写真が飾られたギャラリーで、その
名の通り、このギャラリーの向かう先には夏
至の日の出の時刻の太陽を拝むことが出来る
のだそうです。

一番先まで行くと一旦扉を開けてテラスに出
ることができ、快晴の相模湾を見下ろすこと
が出来ました。

そして、このギャラリーを出ると特別に順路
と言える道順は無く、そして建物もなく、殆
どが屋外の石段や坂道を行ったり来たりする、
アトラクションのようなハイキングのような、
敷地内各所に用意された茶室、神社、歴史の
ある石、オブジェなどを探しながら歩き、そ
の場所場所で見える海や山の景色を感じる、
およそ美術館とは程遠い体力と脚力を鍛える
アスレチック気分を味わえる施設でした。

現代アートが沢山あって、と言うイメージで
いたのですが、それとは程遠い感じでしたが、
いい意味での期待を裏切られた感じを持ちま
した。中でも一番興味深かったのは先ほどの
夏至光遥拝100メートルギャラリーの下を
潜る冬至光遥拝隧道と名付けられた錆び鉄を
箱型に加工して70メートルの長さで、先端
数十メートルを山から突き出したトンネルで
すが、このトンネルの先端からは冬至の日の
出が拝める方向に向けられているそうで、ト
ンネル状になっているため、その中を通れる
のは当然ですが、途中からその上にも載れる
ようになっていて、山から飛び出している部
分も、その上を歩けます。

山から飛び出していると言うことは何も支え
る物がない状態になっているため、その上を
歩くと微妙に揺れているのが分かり、ちょっ
とこわごわと歩を進めるのがやっとでした。

一応止め石と言って京都のお寺などに行くと、
これ以上先に進まないで下さいと言う意味の
石を縄で縛った物が置かれているのですが、
それと同じように止め石があり、それ以上先
には行ってはいけないことになっているので、
歩を進めることが出来るのはそこまででした。

敷地はかなりの高低差があるため調子よく下
まで降りて行ったは良いものの、午前中にも
歩き回り、敷地内を探索した後だけあって、
帰りは階段と登坂地獄で太ももが悲鳴をあげ
ているのが分かりましたが、帰りも又バスの
便があるため、時間に遅れまいとして必死に
半分ダッシュくらいの勢いで戻っていくので
した。

ダッシュのおかげもあり、帰りの最終便の1
本前の3時30分発の便に間に合い江之浦測
候所を後にしたのでした。そしてようやく丹
波への帰路へと就こうとしたのですが、何と
静岡は新幹線の便が不便なことか・・・。

駅は沢山あれど、特急に相当する、のぞみが
停まる駅がありません。小田原、熱海、三島、
どの駅も、のぞみは停まらず、あえなく帰り
は、ひかりで帰ることにしましたが、早く駅
に着いたので1本早い便に変更しようと思っ
ても、これまた便の数も少なく1時間ほど前
に三島駅に到着したにも関わらず、変更でき
ず当初の予約していた通りの便に乗るしかな
かったのです。そうは言っても、無事に帰っ
てこれたことは何よりで、帰ってきた翌日か
らは低気圧が長く居座り続けています。

これにて鎌倉と小田原の旅編は一旦、終了と
なりますが、又思い出した頃に旅の余韻に浸
ることがあるかもしれませんが、その際はど
うぞ宜しくお付き合いくださいませ。

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