リノベーションについて その16
構造のお話
今回は少し難しくなるかもしれませんが構造
の問題です。事前調査が必要な理由のナンバ
ーワンがこの問題にあると言っても過言では
ありません。但し、これは間取りさえ把握で
きれば床下や屋根裏を覗かなくても、凡そ判
断できます。
柱が無い
良くあるのが2階の出隅の柱の真下に1階の
柱が存在しないと言ったパターンです。
床の間の横が書院になっていたりするとこの
ようなケース非常に多いのですが何が問題か
と言うと出隅の柱には非常に大きな力が作用
し易いのです。力の流れは上から下へ、即ち
屋根から地面へスムーズに力を受け流し、地
面に伝えることが必要なのですが、その際に
1階の柱が無いと、その力は梁で負担するこ
とになります。従って梁は大きなサイズの材
料が必要になりますが、大きな材料が必要と
言うことは材料費も増えますし、大きさにも
限界があります。他にももっと専門的な理由
はありますが難しすぎるためこの場では割愛
させていただきます。
下図が、その一例です。このケースでは「2
通」と「ろ通」の交点に2階の柱が載ること
になるのですが、その位置の1階には柱が存
在しません。しかし直ぐ隣の「3通」に柱が
存在するため、このケースでは未だマシな方
かもしれません。
極端な例ですが
しかし、次のケースになると「ろ通」には
「1通」と「6通」にしか柱が無い上に2階
には「2通」の位置に柱が載ります。こうな
ると構造的には相当無理な計画になり何かし
らの問題が起こる可能性が高くなります。極
端な例を挙げましたが、リノベーションでは
往々にしてこのような無謀な構造計画がされ
ているケースも結構あります。
直下率
ですので力の流れをスムーズに流そうと思え
ば2階の柱の真下には1階の柱が存在してい
ることが理想となります。上下の柱の位置の
一致する割合を直下率と言う言葉で表すので
すが、直下率の低い建物は繰り返し地震にも
弱いと言うことが発表されています。繰り返
し地震とは直近では熊本県を中心に起こった
大きな地震が数日の内に起こることを指しま
す。
スパン飛び過ぎ問題
これも又、間取りを把握できれば凡そ、分か
るのですが柱と柱の間隔が大きく空いている、
いわゆる構造スパンを飛ばしすぎている間取
りが存在ます。スパンを飛ばし過ぎると、経
年で2階の床のたわみが大きくなったり、下
屋に問題が起こることもあります。
2間以内に柱が欲しい
新築で考える場合は、単純梁の状態でスパン
2間で材料の成が約8寸で考えられます。こ
れは両端の柱の上に載る梁の上には何も荷重
が載らない状態での話です。下図が、その内
容を説明したものになります。
丘立ち柱
仮にそのスパンの上に柱や束が載ると梁の成
は8寸では持ち堪えられません。建物が新し
い内は何ともない様に見えても次第にたわみ
が大きくなるため2階の床に影響が出ます。
その柱や束が1本、2本と本数が増える度に
梁成を大きくする必要がありますが、材成に
も限界がありますので私の場合、新築建物で
は出来るだけ梁の上には柱が載らないような
計画を目指すのですが、どうしても仕方ない
場合は1本だけ柱や束が立つように収める努
力をしています。
大丈夫だろう?は大丈夫では無い
何度も繰り返しになりますが、リノベーショ
ンでは、無理な構造計画になっていることが
良くあります。
大きな梁が入っているから大丈夫だろうと思
っていても計算してみるとアウトになってい
るケースも非常に多く、これを是正できるの
はリノベーションの機会しかありません。
見た目よりも中身が大事
見た目重視の無柱大空間も良いけれど、その
危うさを良く知っておくことが重要ですし、
下手に床を抜いて吹き抜けを造っても良くな
いケースも出てきます。
その意味でもトータルにバランスを見て判断
する目を持つ人に仕事を依頼する方が賢明で
す。
リノベーションについて その15
精密検査のように
リノベーション前の調査では床下や天井裏を
調査することを以前お伝えさせていただいた
と思いますが、では床下や天井裏を覗いて何
が分かるのか?と言うと実は色んなことが分
かります。
人の身体は問診や触診では分からないけども
胃カメラやMRIなどで身体の内部を覗くこ
とで分かることがあるのと同じで、床下や天
井裏を覗くことで、その家の骨格が分かった
り、傷んでいる場所や蝕まれている個所が分
かったりすることがあります。
もっとも隅から隅まで覗ける訳ではないため、
完全把握することは難しく解体時に発見とな
ることもあります。
点検商法にご注意を
珍しいケースでは悪徳点検商法に引っかかっ
てしまっていたのを発見してしまったことも
あります。
天井裏を覗き込んだ際に普段見覚えの無い珍
しい金物が一杯ついてて「あれは、どうされ
たのですか?」と御伺いすると実は飛び込み
の営業マンが来てと、その会社の名前の入っ
た報告書なるものを見せていただきました。
耐震補強とは
耐震補強って屋根裏に金物を取り付けただけ
では補強になることはありません。まずは壁
と接合部(柱と梁が繋がる部位や柱と土台が
繋がる部位など)を補強したり、荷重の軽量
化を計ったり、基礎の補強をしたりなど、全
体的な話になるため屋根だけ、床だけを何と
かすると言った補強は無いものと考えていた
だいて良いと思います。
おまけに、その家では床下を覗き込んだ際に
直ぐ目の前にある樹脂製の床束が変な間隔に
並んでいて手を伸ばして触った所簡単に束が
外れてしまいました。それも1本だけではな
く2本も、おそらく手の届かなかった遠くに
あった束も只、置いてあるだけで全く床を支
えていなかったのです。
消費者センター
私は、その報告書と手で外すことが出来た床
束を持って消費者センターに相談に行くよう
に勧めましたが、事実を知った住人の方は相
当、ショックを受けられていました。何せ、
その業者はテレビCMも大々的に流し、一部
上場している会社だったのですから。後で調
べた所、その会社はそう言った悪徳な訪問営
業による点検商法で一時、国から業務停止命
令を受けていたことも分かりました。
床下で分かること
床下に潜って分かること、雨漏りなどによる
腐朽やシロアリによる蟻害、床下地材のスパ
ンが飛びすぎて居たり、束が少なかったりす
ると床のたわみが大きくなることもあります。
床下は乾燥している方が良いのですが、建物
が建つ場所によってはそのような環境に恵ま
れないことも多々あります。特に山の際に建
つ家などは山からの水の影響を受けやすく湿
気ていることが多いのではないでしょうか。
木材腐朽菌
木材を腐朽させる木材腐朽菌と呼ぶ菌は湿度、
温度、栄養(木材自体)、酸素の4つの条件
が揃うと発生します。これら4つの条件の内、
3つはコントロールの仕様が無いのですが、
湿度に関してはコントロールの仕様があるた
め床下の湿度を抑える工夫を皆がなんとかし
ようと努力しています。
シロアリ
シロアリは突然現れる訳ではなく、先の木材
腐朽菌によって木材が柔らかくなった所を食
害するため、やはり木材腐朽菌が繁殖しない
ような環境づくりが必要なのですが、所が近
年では乾燥した材料にも害を及ぼす乾材シロ
アリと呼ぶ種類も海外の木材に混じって国内
に発生するようになっています。
日本固有種であったヤマトシロアリは殆ど床
下や柱の足元程度までの食害ですが、この乾
材シロアリは2階の桁の高さであっても被害
に遭うことがあるそうですが、私は未だ乾材
シロアリの食害にあった跡を見たことはあり
ません。
よく見るのはヤマトシロアリやイエシロアリ
の被害跡ですが、これらの種類は春先の5~
6月頃の外気が少し暖かくなってくる頃に水
回りなどを中心に羽アリが群飛と言って大量
に発生するため唯一目視で確認出来るタイミ
ングなのですが、丁度この頃になるとCMな
どにも良くシロアリ退治は・・・と言った内
容で流れてきます。
食害跡
写真は解体時に発見されたシロアリによる食
害を受けた土台の部分です。扉の向こう側は
トイレになっていてやはり、水を使う場所の
近辺は湿度も高くなることから木材腐朽菌が
発生する条件が整いやすくなることがこの事
例からもお分かりいただけることと思います。
雨漏りから
こちらの写真は先の写真とは又別の現場です
が、外部に面した柱の足元です。雨漏りなど
によって柱の足元の条件が揃い、木材腐朽菌
が発生した後に柱の内部をシロアリによって
食害された跡です。
シロアリは木材の表面を食べずに薄皮1枚残
した、その内側を食害する傾向があるようで、
外部からは何も被害を受けていないように見
えることもありますが、実はその部分を触る
とペコペコと薄皮1枚が凹んで実は食害に遭
っていたと言ったことが分かることもありま
す。幸か不幸かどちらのケースも撮影箇所の
上の方まで被害に遭っていることはありませ
んでしたので補強工事が大々的になることは
ありませんでした。
イレギュラーを減らす
これらのように、リノベーションでは最初に
予定していなかったケースが登場します。し
かし出来るだけ予定していなかったケースを
減らす意味でも事前の調査は重要になってき
ます。
リノベーションについて その14
気を付ける
まだまだリノベーションの実例はあるのですが、
今回からリノベーションにおいて気を付けるべ
き点や問題となる点などを紹介させていただき
ます。
リノベーションの動機
リノベーションの動機としては各ご家族個々の
問題を解決することが最も多いと思います。そ
れ以外で多いのは、間取りの不便さ、劣化や老
朽化による問題、結露、バリアフリー、設備機
器の更新、光熱費、最近では耐震性や断熱性を
考えられる方も増えています。
設備機器
今回は設備のお話になります。昔は電気とガス
を併用したパターンが多かったと思いますが、
一時オール電化が主流を占め、大きな災害が起
こったことで電気一本を家庭のエネルギー源と
することを不安視する方も増えました。太陽光
発電を搭載することで電気代を抑え、かつ非常
時の電源として活用する方法もあります。又、
緊急時に電気自動車を電源として活用する方法
もあります。
いざと言う時の備え
実はつい先日、私の住む地域で落雷による停電
がありました。そんなに酷い雷鳴がしなかった
ため、直ぐに復旧するだろうと思っていたので
すが、いつまで経っても電気は点きません。懐
中電灯とスマホの電燈機能を立ち上げていまし
たが、スマホのバッテリーもいつまでもつか分
かりませんし、いざと言う時のための備えが出
来ていないことを痛感しました。
電気のない生活
昔と違い現代の生活は多くの電力を必要とする
製品ばかりです。エアコン、電子レンジ、エコ
キュート、ポット、炊飯器、IHコンロ、テレ
ビ、パソコン、トイレ、などなど私たちの身の
回りには電気を必要とするものばかりです。電
気が止まるとたちまち私たちの生活がストップ
することが想定されます。
分電盤
これは分電盤の写真ですが、築20数年程度の
お住まいでしたので未だ回路の数も多い方です。
ところが築年数が40~50年程度のお住まい
になると回路の数は半分程度になるため、写真
の黒いスイッチの数が減ります。
そのように築年数の経ったお住まいの設備機器
の更新を伴う、リノベーションではこれらの回
路の数が足りなくなるため増設する必要もあり
ます。住まいのあっちとこっちで電気を使うと
ブレーカーが落ちることが多いお宅は既に回路
の数が足りていないんだと思います。
私どもの調査では、このような個所のチェック
も必要となるため撮った写真です。
リノベーションについて その13
店舗兼住居の実例
今回の実例は、店舗兼住宅になります。店舗
兼住宅と書くとお住まいの片隅でお店をやっ
ているイメージをもたれるかもしれませんね。
しかし、今日ご紹介する建物は1棟の建物内
部でこそ、つながってはいるものの、お店と
お住まいが完全に分離した建物です。
遥か宮崎県から
ご依頼いただいたのは、丹波から遠く離れた
宮崎県高千穂町になります。以前、「リノベー
ションについて その9」で紹介した写真館さ
んの実例をホームページからご覧いただき、
こんなに素敵に生まれ変わるんだったらと、
はるばるお問い合わせいただきました。
写真館リノベーションならお任せ下さい
つまり、当方は写真館リノベーションを2棟
も経験させていただいていて結構なノウハウ
が蓄積されています。前回との大きな違いは、
お住まいを併用している点ですが、スタジオ
に北向きの大きな窓を確保して自然光での撮
影業務をしたいと言った点、世代交代してこ
れからは子世帯のご夫婦が主となってお店の
運営をしていきたい点などは共通しています。
初めての訪問
お問い合わせをいただき、私が初めて現地を
お伺いさせていただいたのが2017年8月
のことになります。この時は前年に熊本地震
が起こったばかりで熊本空港から途中の道路
も通行止めになっている所もあり、未だ地震
からの復興には程遠い時期でもありました。
高千穂は宮崎県の北部にあり、熊本、大分な
どにもほど近い場所ですが、丹波よりも雄大
な自然を感じる山の中にあります。熊本空港
からは、どんどん山の中に分け入って行くイ
メージですが、高千穂に入るとパカっと天蓋
が外れた感じで、標高も高いため天空に居る
感じがします。
ヒアリング
あらかじめヒアリングシートはお渡ししてい
たと思います。お話をお伺いさせていただき、
今どのような点にお困りなのか、あるいは、
お悩みなのかなど、そしてどのようなご希望
をお持ちで、どのような運営を目指されるの
かなどを聞かせていただきました。
お店をされる場合、お住まいとの違いはここ
にあって、目指す方向性や運営方法など、あ
る程度計画しておかないと設計の指針も定ま
りにくいため重要なのです。
調査
それらを一通りおうかがいした後は早速、建
物の現況調査となります。調査で何をするの
か?ですが、先ずは間取りを把握すること、
既に当時の図面がある場合は、その図面と照
らし合わせて現況との相違が無いか?を確認
します。同時に現況柱の位置が分かる部分は
チェックします。
内部把握が済めば次は外部の把握です。屋根、
外壁、基礎の状態などを確認し、早急に対応
が必要な個所が無いか、雨漏り、劣化、蟻害、
基礎のひび割れ具合、雨樋の状態などを確認
し、そして最後に躯体内部の調査で床下や天
井裏の確認になります。
調査の順番
実は調査の順番には訳があって、床下や天井
裏の調査をしようと思えば衣服が汚れます。
我々は、衣服が汚れるのを承知しているので
構わないのですが、汚れた服のまま室内の調
査をするとお客様のお住まいも汚してしまう
ため、衣服が汚れにくい順に調査をするのが
セオリーだと考えているのです。
床下や天井裏の調査は、相当の埃やゴミ、中
には生き物(くもの巣やゴキブリ、ネズミの
糞、ハチの巣など)もあるのでマスクや手袋
なしでするのは健康に害が及ぶこともあるた
め注意が必要です。
工事前写真(BEFORE)
(各段左から右へ順に、ご覧ください)
外観
エントランス
エントランス
撮影スタジオ
控室
控室
工事前
工事前もスタジオは2階にありました。エン
トランスは独立した形でしたが、お客さんが
来店した際に音が鳴って、その音を聞きお店
の人が奥の居住スペースから出てくる形でし
た。2階の階段へは割と急な階段を上がらな
いといけない状態で、年配の方や足の悪いお
客様には少し不便でした。2階のスタジオは
北向きに面した窓はあるものの、それを生か
して撮影するには窓の面積が不足しているた
め、人工照明を用いた撮影が行われていまし
た。
工事後(AFTER)
(各段左から右へ順に、ご覧ください)
外観
エントランス周り外観
エントランス
受付カウンター
完成後
完成写真が撮れてないため、一部クライアン
ト様のお写真をお借りしているものもありま
す。工事中に私が撮った写真と混ぜて掲載し
ています。従って実際の外観、特に地面の舗
装はもっときれいに仕上がっています。
1階は1台分の駐車スペースと写真館へのお
客様をお迎えするエントランスとなっていま
す。住居スペースへは駐車スペースの奥に専
用の玄関を設けています。外観はお客様がお
店に入りやすいように、レッドシダー(米杉)
による木の装いで、やわらかさを表現してい
ます。
かわいい
工事完成前にこの外観を見た女子高生からは
「かわいい、これ何の店?」と会話しながら、
丁度お店の前に居た私の後方を過ぎ去って言
ったのを聞きました。以前は来客があった時
に音で知らせていましたが、工事後はガラス
張りでスタッフルームとエントランスがつな
がり、すぐにお客様の来店が分かるようにな
りました。
工事後(AFTER)
(各段左から右へ順に、ご覧ください)
2階スタジオ
2階スタジオ
2階スタジオ
控室(メークコーナー)
2階スタジオ
これらすべての写真も私が工事中に撮ったも
ので、特に1枚目のガラス面には未だ養生の
ためのビニールが掛けられたままですが、人
工照明による撮影は出来るようになったため
にお店は、一部仮オープンされていました。
その他の部分も未だ片付けやセッティングが
完全ではありませんが大目に見ていただけま
したら幸いでございます。
2階にあるスタジオへは緩やかに上りやすく
なった階段を利用して上がっていただきます。
スタジオの4面どこをバックにしても撮影が
可能なように設計しています。工事により撤
去することが出来なかった柱も撮影のための
背景となります。1面は緩やかなカーブを描
く壁になっていて微妙な変化はスタジオに面
白みを加えます。
カーブする壁
緩やかなのカーブの表裏。緩やかなカーブの
通路の奥には控室を設けています。カーブの
どちらが表で、どちらが裏と言うわけではあ
りませんが、微妙なカーブは先が見通しにく
いため、奥行きを期待させるとともに少しの
不安も覚えます。従って、そこに導かれる人
の行動は緩やかでありながら、優しさをもっ
て接するようになります。その優しさが撮影
した写真の表情にもあらわれ、記録と記憶に
も残ります。
広く使いやすく
こちらも私が撮影した工事中の写真ですが、
お店のプレオープンに向けて準備中でした。
トイレはいち早く完成し使える状態でした。
広くて綺麗に、小さなお子様から年配の方
まで、皆が心地よく使えるスペースを目指
しています。
プレオープンに向けて
こちらも私が撮影した写真です。既に工事と
しては完成していたのですが、お店のプレオ
ープンに向けて色々慌ただしくされている途
中に撮ったものですから今行けば綺麗にされ
ていることでしょう。但し、この段階では店
の奥にある住居スペースは絶賛工事中でした。
住居部分
こちらが、その住居部分の工事中の様子です。
この頃、私の体調不良により、丹波での検査
などの予定があったため、お店の最後までと
住居部分の残りの部分を確認出来ずに現場を
後にせざるを得なかったのが悔やまれるので
すが、又機会を見つけてお伺いさせていただ
こうと思っています。
構造補強
今回の工事では1階の車庫の間口を広げる工
事を行いました。以前は車を入れるとドアを
開けて乗り降りする行為がし難かったためで
すが、今回は少しだけ間口を広げて車を入れ
て人が通れるスペースを確保しています。そ
のために基礎の打ち直しと土台の新設、補強
梁を半間ごとに設け2階床の補強を兼ねてい
ます。
高千穂に寄った際には
今回の更新では完成後の写真を多く掲載でき
ませんでしたが、高千穂は観光地でもありま
す。高千穂に唯一、自然光スタジオを持つ写
真館、工藤写真館様にお立ち寄りいただき、
記念の写真でも如何でしょうか?撮影はしな
いよと言う方は、外観だけでも皆様の目でご
確認いただけます。詳しくは こちら から
工藤写真館様のウェブサイトをご覧ください。
リノベーションについて その12
木造住宅のリノベーション
今回は木造住宅のリノベーション実例を紹介
させていただきます。ひとえにリノベーショ
ンと言っても建物全体をリノベーションする
場合もあれば、その一部だけをリノベーショ
ンする場合もあります。
補助金を上手に活用しましょう
今年も又、断熱改修や窓の設置に関する国の
補助事業が行われているので、そのような補
助金をうまく活用しすれば、よりお得に工事
が出来ます。
部分リノベーション
そして、今回は部分リノベーションの事例に
なります。2階建ての建物の1階の殆どのス
ペースを二期に分けて工事させていただきま
した。
ご要望
お子さんたちも既に巣立たれて、定年までは
未だ数年働く時間のある、ご夫婦お二人がこ
れからの人生を丁寧に暮らすことを目的とし
たリノベーションです。まず一期工事では生
活のメインとなるLDKスペースの工事を行
いました。将来、1階だけで生活が完結する
ようにしておきたいとのご要望と住まいの暑
い寒いを何とかしたいとのご要望が最も大き
な内容でした。
元の間取り
1階には水回り(浴室、洗面脱衣、トイレ)
とDK、そこに隣接する和室、玄関、廊下、
階段のある間取りでした。
方向性
将来、1階で生活が完結するようにするため
には、そこに就寝のためのスペースが必要に
なります。そこでDKと隣接する和室の間の
壁を取り払い、ひとつながりの空間としてい
ます。和室があった部分にはベッドを置ける
ようにスペースを確保しています。そして、
回れる動線になっていた廊下は、ご夫婦お二
人でもあり、コンパクトな、このお住まいに
とってライフスタイルにそぐわなくなったと
判断し、違うスペースとして割り当てていま
す。
1.DKスペース(AFTER)
いつも綺麗に片付いている
こちらのお住まいは完成後も時々訪問させて
いただく機会があるのですが、いつお伺いし
ても、この写真の状態からあまり変わってい
ません。台所周りにあった雑多なものは、全
て収納の中に収められています。流し台の背
面は窓を小さくして大きな収納を設けていま
す。収納は場所があれば良いというものでは
なく、適材適所にスペースを割り当てる必要
があります。
2.ダイニング(AFTER)
内障子
この写真にある1本の柱は、工事前の間仕切
り壁の中にあったもので撤去することは出来
ませんでした。内障子は左右の壁の中に引き
込まれるため、障子を引き込むと窓が現れま
す。
3.LDスペース(AFTER)
ひとつながり
こちらは、元和室であったスペースをひとつ
ながりにして、将来ベッドを置くことを想定
しています。そのためベッドが壁と触れる部
分は壁面を保護するために板張りとしていま
す。テレビは台の上に置くとスペースをより
占拠してしまうため壁掛けとしています。
4.小上り
おこもりスペース
上の写真の白い壁の位置と下写真Dのインタ
ーホンがついた壁が同じ位置になります。D
の写真にある3枚扉の内、左2枚の向こう側
は収納で右1枚は廊下につながる扉になりま
す。収納のあった一部を小上がりの畳スペー
スとし、そのさらに奥には将来、引き受ける
ことになるかもしれない仏壇置き場のスペー
スを設けています。この小上がりは畳1枚に
も満たないコンパクトなスペースなので寝転
がることは出来ませんが、壁に背を当てて足
を延ばすことは出来ます。人、一人が佇むに
は丁度良い、おこもりスペースです。
A)左上・・・1の写真の工事前
B)右上・・・2の写真の工事前
C)左下・・・3の写真の工事前
D)右下・・・4の写真の工事前
5)1階測定結果
6)2階測定結果
温熱測定
一期工事はキッチンを触ることから、工事中
の不便さに配慮して暖かい時期を選んで工事
をしています。在宅しながらの工事でしたが、
工事中は外にある流し台を使って、まるでキ
ャンプをしているみたいですと不便さを楽し
み工事の完成をお待ちいただきました。
又一期工事後の翌年の2月に温熱測定を実施
させていただきました。上の2枚が、その測
定結果です。1枚目が工事をした後の測定結
果で、2枚目は工事をしていない2階の部屋
の同じ期間の結果です。
赤いラインが温度で青いラインは湿度のデー
タです。上は青と赤が交錯していて、下はそ
れらが交錯していないので、エラーしている
ように見えるかもしれませんが測定した機器
が違うものでしたので表示方法が異なってい
るだけで決してエラーしている訳ではありま
せん。上は縦軸が左右にあって左に温度を、
右に湿度が表示され、下は左側のみに縦軸が
あります。
注目していただきたいのは両者の平均室温と
最低室温です。工事をした1階の平均室温が
16.2℃であるのに対し、工事をしていない2
階は平均12.2℃です。滞在時間の差はありま
すが、結構大きな差が出たと思います。又1
階の最低室温は10℃を切っていないのに対
し2階は10℃を大きく下回り、その半分以
下の数値になっています。これは、何度も言
いますが断熱対策による効果で、数値によっ
てはっきりと結果が現れています。
E)上左 、 F)上中 、 G)上右
H)下左 、 I)下中 、 J)下右
単なるお化粧直しではない
上の6枚の写真は解体時、床防湿、床壁天井
それぞれの断熱施工の様子、一部土台にはシ
ロアリによる蟻害が見受けられた様子です。
リノベーションとは単なるお化粧直しではな
く、人に例えるとクリニックで検査を受けて
その結果を受けて悪い部分、不都合な部分も
治療するのと同じで、構造的欠陥を見直し、
断熱性能を上げて健康で快適に暮らせるよう
にし、尚且つ人の感性に訴えかけるように仕
上げることが本来の目的です。ですので見た
目だけを良くする訳ではありません。
7)左・・・洗面脱衣工事後
8)右・・・洗面脱衣工事後
L)左・・・洗面脱衣工事前
M)右・・・洗面脱衣工事後
2期工事
一期工事の結果を受けて、その3年後に2期
工事を行わせていただきました。2期工事は
洗面脱衣と浴室のみです。工事前は、お風呂
と洗面所が寒すぎて、入っても直ぐに出てく
るんだと仰ってました。
こちらも一期工事と同様に、工事の内容は同
じで寒さ解消のための断熱施工を両スペース
ともにしっかりと施しています。洗面脱衣場
は滞在時間こそ短いものの洗面、洗濯、物干
し、お化粧、収納など使用頻度が高い場所で
す。
そう言った場所を如何に快適につくれるかを
考えました。そこでの行為は洗濯物を干した
り、脱衣の際に手を上に上げはするものの、
それ以外はそんなに天井の高さはなくても良
いのではないか?と考えました。
すなわち一部、天井が低くなっている部分が
あってもいいのではないか?と考えました。
それは洗濯機や洗面器の真上の空間が正にそ
れで、手を上げ下ろしする軌道を考えると円
弧が描けたことから、天井の円弧(R)が生
まれました。そのRは直接壁に接することな
く、壁との間に少しスリットを設け、その隙
間に照明を仕込んで部屋全体を照らしていま
す。
こちらは洗面脱衣と浴室の工事中の様子です。
浴室の床と基礎立ち上がり全面への断熱や浴
室~洗面脱衣室間の床下人通口の断熱です。
3期工事
長らく空き地になっていた、隣地にアパート
が建ち、家の目の前がアパートの駐車場にな
ってしまいました。今のままでは落ち着いて
窓も開けられないとのことで三期工事を行う
ことになりました。庭に緑は要らないとのこ
とでしたが、そう言わずに1本だけでも良い
ので植えませんか?とお勧めしました。
塀の素材を何にするかに迷いましたが木の塀
にした場合、塀の裏側のメンテナンスがし難
いためガルバリウム鋼板による目隠し塀にし
ています。
人の背丈分ほどの高さのある塀なので、そこ
そこ圧迫感が出るかな?とも思いましたが室
内からは意外に圧迫感を感じることはありま
せんでした。このように三期に渡る工事を終
え、すっかり見違えったお住まいでご夫婦お
二人の丁寧な生活が日々送られていることを
祈りたいと思います。
リノベーションについて その11
鉄骨造の事例
今回は、鉄骨造の建物のリノベーション事例
になります。元は会社の作業場として建てら
れた建物ですが廃業されたのか、売りに出さ
れていたのを購入されて、そのまま住んでお
られました。
元は作業場でした
元は1階が作業場とトイレ、浴室、洗面、2
階に和室と流し台が設えられていました。幸
い、生活に必要な水回りが備わっていたため
そのまま住むことが出来たのでしょうけども、
お風呂の入るために、わざわざ1階に降りて
きて又2階に上がらないといけない非常に不
便な動線でした。
1階は作業場だっただけあり、広いスペース
が備わっていたのですが、そこは洗濯物干場
や物置、トレーニングスペースなど雑多使い
方がされていて、その間を潜り抜けてお風呂
に入らないといけない、あるいは顔を洗いに
行かないといけないと言った生活が繰り広げ
られていました。
鉄骨ALC造とは
又鉄骨ALCと呼ばれる外壁は軽石のような
無数の小さな気泡が空いた厚み10cmくら
いの板ですが、それだけではとても断熱性能
が足りる訳もありません。
南面採光が難しく
おまけに敷地の南側には直ぐ傍に隣家が建ち、
光は入ってきません。主な採光面は北面です。
東面と西面にも窓は設けてありますが、間口
が狭い。今回の計画では南面採光を望めない
ため、空いているその他の面で採光を得て、
寒いALC造の建物の断熱性を高めること、
鉄の構造体の中に国産木材による木の空間を
つくりあげ、ご家族が健康で快適に暮らせる
リノベーションを目指しています。
雨漏り補修
まず、雨漏りの痕跡があった壁面ですが、こ
れは元のALC壁の水密性が経年により低下
していたことが原因でしたので、コーキング
補修をした上に外壁の塗装を施しています。
断熱施工
そして揺れやすい鉄骨造の特性から壁面は普
段は使わない付着性の高い現場発泡吹付系の
断熱材を採用しています。折版屋根の下には
高性能グラスウール断熱材をを採用し、窓は
二重窓としています。
インナーガレージ(AFTER)
インナーガレージ(AFTER)
(BEFORE)
(BEFORE)
元あったスペース
上4枚の写真は同じスペースの工事前後のも
のです。作業場に車を乗り入れて車に荷物を
積み込めるようなつくりであったことが推察
されました。(写真3~4枚目)これら写真
の端に斜めの壁が写っていますが、ここが階
段になっていて2階に上がるようになってい
ました。
作業場であればこれで良かったのですが、こ
と住居となるとこの動線では生活が分断され
てしまうため、今回は階段の向きを180°振
り替えています。
インナーガレージ
2枚目の写真の黒い壁に設けられた戸を開ける
と生活スペースになります。このスペースをそ
のままインナーガレージにしたのは、雨や雪が
降っても濡れることなく乗り降りできるように
することと、例え、ここを生活スペースに取り
込んだとしても面積的に部屋が余ってしまうこ
とが勿体ないと思ったためです。尚、インナー
ガレージは断熱区画外としたので断熱施工はし
ていません。
LDK(AFTER)
LDK(AFTER)
作業場(BEFORE)
作業場(BEFORE)
2つの提案
こちらの4枚は1階の作業場だったスペース
の工事前後のものです。作業場の時は間口が
広く見えます。工事後は建物の奥行に沿って
キッチンの隣に水回り(浴室、洗面脱衣、ト
イレ)を並列させたために奥行きの深い空間
になりました。提案時には、こちらのパター
ンと建物の一番奥に水回りをまとめてLDK
の間口を確保する提案の2つの案を用意しま
したが、建物の奥からゴミを出したりするた
めの勝手口(1枚目写真の奥にある黒い扉)
があるる方が良いとのことで、こちらの案に
まとまりました。
2階寝室(AFTER)
2階和室(BEFORE)
2階寝室(AFTER)
2階食卓(BEFORE)
2階寝室
次の4枚は1枚目と2枚目が同じアングルの
工事前後、3枚目と4枚目が同じアングルの
工事前後になります。1枚目の正面の窓はサ
イズや仕様などを新しい物に取り替えました
が、それ以外は窓の位置や大きさは替えてい
ません。それぞれ2階の寝室ですが雰囲気と
ともに部屋の明るさも変わったと思います。
インナーガレージ部は天井にも断熱施工しています
1階キッチン周り断熱施工の様子
2階寝室壁断熱
建物種別による断熱の考え方
これら3枚の写真は断熱施工の様子を写した
ものです。薄いピンク色に見えるのが現場発
泡ウレタンを吹付たものです。天井には高性
能グラスウール断熱材を敷いて壁面と断熱層
を連続させています。木造ではない建物の断
熱施工をどのように捉えるのか、答えは一つ
ではありませんが、ここでも又一つ気付きを
得たように思います。
リノベーションについて その10
マンションリノベーション
今回はマンションリノベーションのお話です。
マンションリノベーションと言えばコンクリ
ートの躯体が剥き出しになっているのが格好
良いみたいな風潮があるのですが果たして、
それで良いの?最上階や角部屋であっても、
それで平気?と思えます。
特に最近の夏は異常な高温が続きます。コン
クリートは熱容量が大きい(熱を蓄える能力
が高い)ため昼間に太陽に照らされて蓄えた
熱は時間差で夜になって部屋の中に放熱され
ます。そうなると最悪で、家の中が夜になる
と暑すぎて寝ることさえままならないと言っ
た事態も起こり得ます。
今回、紹介させていただくのはマンションの
1階住戸のフルリノベーションの事例です。
よくある片側が廊下で片側がバルコニーと言
った形式のマンションでは無く、階段室型と
呼ばれる形式のマンションです。一つの階段
の両側に住戸が存在しているため、片面はバ
ルコニーに面し、その反対面の部屋は直接屋
外につながる窓となっています。
いずれの形式でも殆どがバルコニー側は日当
たりが良く、その反対側は陽が射さずに寒い
ため、もしかしたら物置部屋として使われて
いることも多いのではないでしょうか?
共用部分の自由度は
マンションの場合、規約により窓や玄関戸は
共用部となるため触れないことが多いと思い
ますが、こちらのお住まいにおいても同様で
した。そのため窓は内窓を設け二重窓として
います。玄関戸だけは、この時は、どうしよ
うもなかったのですが、今なら対策はとれま
す。
工事前後
上4枚の写真の内、1、2枚目はバルコニー
側の部屋の工事後のものです。間にあった間
仕切り壁は木下地であったため取り払って一
部屋にしています。一方、1枚目写真の左手
の壁はコンクリートの躯体壁であったため取
り壊すことは出来ませんでした。1枚目も4
枚目も窓が3枚なので同じ個所の工事前後に
なります。(広角レンズで撮っているため、レ
ンズから遠い位置にあるものほど歪んで伸び
て写ります。そのため1枚目の写真の3枚窓
は随分と大きな窓に写っています)
北側の部屋
そして、こちらの2枚の写真は北側の部屋の
工事前後になります。工事前は和室でした。
工事後は隣にウォークインクロゼットを備え
た寝室になりました。
マンションでも断熱施工は大切
上の4枚は工事中の写真です。最初の2枚は
外気に面する壁面と熱橋となる外壁の折り返
し部分への断熱施工を写しています。天井面
も熱橋となる部分があるため壁の折り返しと
同じ位置まで断熱を施しています。
又、1階住戸なので床は全面に断熱施工を施
しました。3枚目は二重床の施工の様子です
が床下地材に断熱材が一体化したものを使用
しています。4枚目は住戸中ほどにあったキ
ッチンですが、新たなキッチンは少しだけ場
所を移しています。
キッチン
上の写真のスタバの看板が取り付けられた壁
面に工事前のキッチンがありました。
温熱測定
このように丁寧に断熱施工を施した結果を確
認するため、8月に温熱測定を実施させてい
ただいたところ、驚くような結果が得られま
した。
上下動のない安定した室温
上のグラフの赤いラインは湿度の変化ですが、
下にある青(黒く見えています)のラインは
温度の変化を表したものです。夏真っ盛りな
時期なのに温度変化がほとんどありません。
平均28.4℃、その辺りでずーっと推移してい
て30℃を超えることがありません。確かに一
日中エアコンを付けっ放しにしてれば、そう
なるのかもしれませんが、夜にはエアコンを
オフにされています。
普通にしていれば夏場の太陽の移動に伴い、
もう少し温度の上下動があると思いますが断
熱の効果と日射遮蔽がきちんと行われている
証拠だと思っています。
夏のみならず冬でも安定
又、春先の肌寒い時にも訪問させていただい
たことがあったのですが、家の中に入ると暖
かくて上着を1枚脱ぎました。暖房を稼働し
ているのかと尋ねると何も付けていないとの
ことでした。
やっぱりやったことに間違いは無かったと確
信できた出来事でもありました。恰好ばかり
が優先されがちなマンションリノベにおいて
も、快適に長く暮らすには暑い寒いの課題は
解決しておくべき項目の一つではないでしょ
うか?
リノベーションについて その9
実例紹介
今回は、BEFOREとAFTERを見比べ
ながらリノベーションの実例を説明
させていただきます。
店舗の実例
こちらの建物は住宅ではなく店舗として利用
されています。1枚目が工事後(AFTER)、
2枚目が工事前(BEFORE)です。写真館の
建物で撮影のためのスタジオがお店の2階に
あります。
住宅では北面に大きな窓を設けることは稀で
すが、写真館では光量の変化の少ない北面の
窓から光によって撮影すると人工照明とは違
った自然な仕上がりになるのでとても重宝さ
れます。元々2階のスタジオの窓だけ触るつ
もりだったそうですが、世代交代に備え、お
店の雰囲気を一変させることになりました。
建物の顔となる2階の大きな窓がシンボリッ
クで、それらを取りまとめる黒い外壁に木部
の格子、1階のショーケース部分の位置も殆
ど変えずにまとめています。
同じアングルでも
上の2枚は、ほぼ同じアングルの工事前後で
す。先に載っているのが工事後(AFTER)で
後者が工事前(BEFORE)です。ほぼ同じ位
置からの撮影ですが奥行きが違って見えるの
は、実は工事前には壁の奥に現像室があった
のですが、写真もデジタル処理の時代になっ
たため、現像室を無くし、テーブルを置いて
いるスペースで2階のスタジオで撮った写真
の確認をお客様と一緒に出来るようになって
います。又今では、このスペースを生かして
定期的にイベントも開かれているようです。
自然光スタジオ
そして、こちらの写真は2階スタジオの工事
前後になります。先に載せているのが工事後
(AFTER)のスタジオの様子で、実際に撮影
が行われている所を撮っていただきました。
窓枠が床から少し上がっているのは、そこに
腰を掛けることが出来るようにするためで、
座るために窓枠の奥行も少し深めにしていま
す。白い衝立は反射板で、その奥には人工照
明を点して撮るスタジオも併設しています。
エントランス
この2枚はアングルが全く違いますがエント
ランスと受付カウンターを中心に映した工事
前後のものです。出入り口や受付カウンター
の位置は全く変わっていません。前者の壁が
木の板になっている部分はギャラリーとして
使うため自由に写真を飾れるように素材を木
としています。その壁の流れのまま受付カウ
ンターも同じ素材で仕上げています。
プランの余白に生まれる魅力的なスペース
こちらの写真は、工事後のものです。出入り
口の隣に奥行きの深いスペースが出来ていま
す。元々、ショーケースのあった部分を拡張
しショーケースとしての機能と少し腰を掛け
て佇むことが出来るスペースになりました。
リノベーションにおいては、このようにプラ
ン上、余白のスペースが生まれることがあり、
そう言ったスペースが実は心地よい雰囲気を
生み出してくれることもあります。
写真だけでは分からないことだらけ
とまあダイジェスト的に紹介させていただい
たのですが、こちらの建物はフルリノベーシ
ョンしていますので、まだまだ他にも以前と
は変わっている部分ばかりです。今回は住宅
とは違った建物でしたが、写真で見るのと、
実物を見るのとでは思っていたイメージが全
く異なると思いますので、もし気になる建物
の見学会があるのなら、ぜひ足をお運びいた
だくことをお勧めします。
リノベーションについて その8
ハプニング
リノベーションでは時として予期していなか
った良い意味でのハプニングもあったりしま
す。
下地無し窓
写真は、設計段階では触る予定のなかった壁
ですが、窓をつけて欲しいとのリクエストに
より、急遽、既存土壁に開けた開口です。見
た瞬間に、笑ってしまいました。
まるで額縁を通して眺める絵画のような風景
が、広がっていたのです。向こう側に広がる
のはお寺の境内です。思わず窓を設けずに、
このままでも良いのでは?と思ったほどです。
お茶室などの数寄屋建築では下地窓という手
法があります。壁の下地となる竹小舞が開口
の中に現わされたあの窓ですが、さしずめ下
地無し窓とでも呼ぶべき状態です。
壁の中から、こんにちは
上の写真に写る井戸のポンプ、その後ろに竹
を編んだような衝立が立っています。これは
壊した土壁の中にあった竹小舞をそのまま利
用したものです。
幾つか出てきたため他の箇所でも、塀に利用
したりなどしました。雨に当たるといずれ風
化はしますが、すべて廃棄してしまうよりも
昔の面影を残すと言う意味で面白いのでは無
いか?と思います。
民家博物館
そして上の写真、民家博物館のような展示に
見えるかもしれませんが、実は屋根替え工事
で撤去された茅葺屋根の一部です。扠首組
(さすぐみ)構造と呼ぶ屋根の部分だけが載
せてあるだけの構造なので形を保ったまま解
体出来たのだと思います。
経験値が上がる
新築では、中々起こることの少ない、このよ
うな珍しいハプニングとでも呼ぶべき出来事
は、これも又一つの経験として培われていく
ものと思っております。
リノベーションについて その7
完成実例紹介
これまでは工事前や工事中のお話ばかりでし
たがので、今回からは完成した様子も含めて
紹介させていただきます。前回、柱を抜いて
補強の梁を入れるため新たに門型にフレーム
を構築して入れ子状にしたとお伝えしました。
その後の完成した様子が次の写真になります。
完成した部屋
上の写真が前回の補強梁を入れ、完成した部
屋になります。壁に掛かっているエアコンの
直ぐ左側の梁と、エアコンから少し右に離れ
た所に映っている梁の2本は補強で設けた門
型フレームの梁の一部です。元あった躯体の
内側に新たに基礎を打ち、土台を敷き、柱梁
の構造体フレームを入れ子状にしているため、
和室部分の窓際の壁厚が通常の壁の2倍にな
っています。窓の部分が出窓のように見える
のはそのためです。
北寄りの部屋
上の写真は先ほどの部屋の東隣の部屋です。
写真の奥に見えている部屋が南庭に面する部
屋です。つまり、この部屋は建物の北寄りに
存在しているのですが、写真の左側の出入り
口部分も少し壁厚が分厚く映っています。こ
こも既存の構造体の内側に新たに構造体を入
れ子状に設けたため壁厚が、通常の倍の分厚
さになってるのが分かる部分です。天井の左
端に少しだけ映っている梁が構造補強で設け
た3本のフレームの内の1本です。
柱があっても
上写真のように三つ間続きの和室とするため
に、どうしても邪魔になる途中の柱を1本だ
け抜いたのですが、こちらの部屋には1本柱
が出ています。端にある部屋でもあり、北側
にある離れの廊下への出入口もあるため、柱
があっても大丈夫なデザインとしました。こ
の柱は元あった柱を同じ位置で差し替えたも
のです。
調査で分かったこと
建物の南側半分は、ご覧のように黒い大きな
梁が建物を支えていたのですが、事前調査し
た所、先ほどの和室がある北側半分は少し様
子が違っていました。
この建物自体は築100年が過ぎていると思
われるものでした。住まい手が居なくなり売
りに出されていた所を、この住まい手さんが
購入されたものです。
以前の持ち主さん
事前調査して分かったのは、どうやら30~
40年ほど前に以前の持ち主さんによって、
大規模にリノベーションされたであろう痕跡
があったことです。
おそらく、その時に建物の北側が触られたの
ではないか?と推測します。全体的に古民家
独特の雰囲気が、残されていなかったため、
新築同様な雰囲気に仕上げました。
リノベーションについて その6(柱を抜いた話)
前回は、事前調査の件についてお伝えしました。
柱を抜きました
今回は、実際の工事の話です。今回、紹介する
現場では事前に調査をして、少しだけ間取りを
変えたかったのですが既存の柱が邪魔なので柱
を撤去する必要がありました。しかし、そのま
ま柱を抜いてしまうと屋根が倒壊してしまいま
す。従って、補強の梁を入れて、その上に束を
入れて屋根を支える計画にしました。
柱を抜くのは簡単なではない
上の写真にある黄色く色づけした柱を抜きたか
ったのですが、ご覧のように門型にフレームが
組まれているため黄色の柱を抜くと門型のフレ
ームが崩れ、赤丸で囲んだ部分の屋根を支える
束が持ち堪えることが出来ません。緑の部分に
柱を新たに入れるなどすれば良いのですが、和
室の続き間にしたいため、緑の部分に柱が出る
と邪魔になります。そこで写真の後ろに控える
新たな門型のフレームを建物の中に入れ子状に
設け、本体と一体化しています。そのために、
基礎も新たに打ち直しています。
補強方法
上2枚の写真をご覧いただくとお分かりいただ
けるかと思いますが、既存の柱梁の内側に、基
礎を打ち、土台を設け、そこに新たに門型のフ
レームを計3か所5人掛かりで何とか設置する
ことが出来ました。
安全性の検証
勿論、適当に補強をしている訳ではなく、構造
計算をした上で、安全性を確認し、補強の方法
を検討した上で施工しています。これだけ大掛
かりな補強は後にも先にも、やっていませんが、
建物の規模も相当大きなお住まいでした。
リノベーションについて その5
前回は、壁を抜いて部屋のあっちとこっちを
一つなぎにしたい場合、建物全体の把握が重
要になると申し上げました。
1階だけを触るだけなのに
それは2階建ての建物の1階だけを触る場合
でも同じことです。1階だけ触るのに、どう
して2階が関係あるの?と思われるかもしれ
ませんが、力の流れは上から下に流れる訳で
すから、1階が構造的に脆弱ならば2階の力
を十分に受けることが難しいかもしれません。
柱を抜くことの意味を考える
仮に1階の柱を抜かなければならなくなった
場合、2階との関係が把握できていなければ、
柱を抜くことで建物の崩壊につながるかもし
れません。そんな恐ろしいことが起きないよ
うに事前の調査がかなり重要です。
床下調査
もっとも、事前調査で確認できる範囲は限ら
れていて、例えば床下は床下収納や畳の部屋
があれば畳を上げて覗き込む或いは、本格的
な調査になれば床下に潜り込んでする調査も
あります。
天井裏調査
他に天井裏を確認することも出来ます。天井
点検口や古い造りの家ならば押入れの天井の
端の方を押し上げると、板が動くこともしば
しばあります。そうやって天井裏を覗き込む
か、本格的な調査をする場合は天井裏にも上
がり込むこともあります。
天井裏調査
写真は、天井裏の調査に上がった時の写真で
す。こちらのお住まいでは天井裏物置用の可
動梯子がついていたため、比較的天井裏への
アタックは容易でしたが、2階建ての建物の
全体のリノベーションでしたので、抜きたい
柱、抜きたいけど抜くと建物が崩壊するため
抜けない柱がありました。またオレンジ色に
映っているのは鉄骨の補強です。長い距離(
スパン)を木の梁だけで飛ばそうと思うと限
界があるため、鉄骨の梁が採用されたのだと
思いますが、昔はよく、こう言った方法が採
用されていたようです。
2枚目の写真の奥の方まで行きたかったので
すが、足場がなく薄い天井板を踏み抜いても
いけないので、これ以上先には進みませんで
した。
階間(かいま)は難しい
このように、床下や天井裏などは事前の調査
である程度把握できるのですが、一番問題な
のが1階と2階の間の天井裏(階間)です。
本当は、ここが一番重要な部分なので事前に
把握しておきたい部分です。
本格的に工事を行うことが約束されるなら、
一部天井を剝がすなどして確認することもあ
りますが、本格工事開始はまだ数か月先なの
に、天井が惨めな状態で数か月我慢しなけれ
ばならないのも気が休まらないという方もい
らっしゃるので、難しいところではあります。
仮住まいが出来れば
仮に、早めに他の建物で仮住まい出来るなら、
思い切ってそう言った部分も解体して事前の
調査を行うこともでき、設計の予想と、実際
の工事の乖離を埋めることが可能になります。