Narito Ashida Narito Ashida

サイン&フォント

この写真は先日、長野県へ出張で行った時に
街ブラで見かけたパン屋さんのサイン(看板)
です。前回、長野出張の話は一旦終わりとし
ていましたが、今回はこの話がメインではあ
りませんのであしからず。(この、「あしから
ず」と言う表現は死語かもしれませんね・・
・)

このサインは実にストレートな表現で、もし
これがパン屋さんじゃあなかったら、面白い
けどなあと変な期待をしながら近寄ると本当
にパン屋さんでした。明朝体のフォントで表
現されたサインも珍しいのですが、最後の句
読点にも何かしら意味を込められていそうで
すね。

話は変わりますが、丁度1か月前に閉幕した
関西万博ですが、各パビリオンには日本人
向けにカタカナで国名が書いてあったので
すが、中にはそのカタカナフォントが建物
の雰囲気と違和感を感じたパビリオンもあ
りました。恐らく各パビリオンで共通のカ
タカナフォントだったのではないか?と思
いましたがそれが違和感を感じた原因かと
思います。

このように、建物の持つ雰囲気とサイン
(看板)は全く関係ないように見えて、実
はかなり密接に関係します。特に商売をさ
れている場合、外部から誰もが見えるサイ
ンは重要なアイテムにもなります。フリー
素材から適当に拾うのではなくて、ちゃん
とデザイナーを入れて作られたサインは人
目を惹くとともにコンセプトまで反映され、
商売の繁盛にさえ関係します。それは名刺
などのロゴデザインなども同じです。

当事務所のロゴも単なるゴシック体ではあり
ません。今のウィンドウズフォントでは芦田
の「芦」の字のくさかんむりの下は「戸」(よ
こいち)のとにはならず「ノ」を書く「と」
になります。しかし当事務所のフォントはよ
こいちの戸を書くようになっています。これ
はお任せしたデザイナーさんの拘りでもあり、
私自身の仕事に取り組む姿勢やスタンス、性
格なども考慮していただき、このようになっ
たのだそうです。名は体を現わす、ならぬフ
ォントは企業を現わすとでもいいましょうか?

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街で出会う個性

松本市内を街ぶらしていて、ふと目に留まっ
た建物です。

ツタに覆われた外壁に、「何あれ?」
単なる手入れの出来ていない建物でも、こう
言った状態になることはあるのですが、この
建物の場合はそうではないことが直ぐに分か
りました。ツタに覆われているのは妻面だけ
で平側はちゃんと窓が開いています。平側を
見ても建物の正体が、なんだか分からなかっ
たので、妻側に回ってみると正体が判明しま
した。レストランの看板がありました。調べ
て後から分かったのは、ここはフランス料理
レストランの「鯛萬」さんです。ホームペー
ジによると白壁の建物とのことでしたが、も
はや白壁を確認出来るのは平側のわずかな部
分のみで、ツタに覆われた下はフランスアル
ザス風の建物なんだそうです。

「雀踊り」の頭飾りが載った建物に、こんな
街の中で出会えるとは思いもせず感動さえ覚
えました。雀踊りとは棟の上についた王冠の
ような物で、本来は石置屋根の棟の水密性を
守ると言った機能が備わっていたものが、時
代を経て華美に装飾の色合いが濃くなったの
だそうです。建物の前に別棟の小さな建物が
あるため全景が拝めませんでしたが、シンメ
トリーなその姿に落ち着きを感じずにはいれ
ません。写真の左奥にも蔵のような、なまこ
壁が写っていますが、そこも同じ敷地内にあ
るようで平成28年に松本市の近代遺産として
登録されているそうです。中も拝見したかっ
たのですが、この日は公開されていなかった
ようで残念でした。

松本城に向かう道すがら銀行?今も銀行とし
て使われているの?と思える外観に目が留ま
りましたが、外壁にぶら下げられたタペスト
リーと呼ぶべきかサインと呼ぶべきかが、銀
行らしくはないので、何なんだろう?とふと
足を止めました。「アルモニービアン」と言
う名前だけは分かりましたが、後に調べてみ
ると結婚式場とのことで、それらしい雰囲気
が伝わってきました。国の登録有形文化財に
登録されているのだそうで、街中の比較的便
利な場所にあり人気のありそうな感じです。

以上で、長野出張第一弾のシリーズは終わり
ますが、又長野に行く機会があれば続編をお
送りしたいと思います。

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めざせ芸術の都

街ブラ
松本城まで歩いたのは、茅野で歩いたのと同
じ理由で、街ブラで歩いて得る情報が非常に
多いからです。車では一瞬でも歩くと遠くか
らと近くから或いは立ち止まって色んなアン
グルから目的を確認出来たり、下調べやネッ
トでは出てこない自分だけの情報を得ること
が出来るのも楽しさの一つです。

多いなあ
歩いて気付いたのは松本は博物館や美術館な
ど芸術やアートに関する施設が、あちらこち
らに点在していて街の目指すべき方向が見え
てくる気がしました。

松本市美術館
中でも松本市は草間彌生さんの出身地だそう
で、松本市美術館は草間彌生美術館と言って
も過言ではないような外観で赤いドットが壁
面を飾り「yayoi kusama」と書かれていま
す。前庭には派手なドット模様のチューリッ
プ?のオブジェが草間ワールドへ誘うように
配置されています。

ドットの世界
ピロティーの下にはベンチも壁も自販機もド
ット模様で、ベンチの置いてある位置と壁面
のドットの位置が微妙に揃っています。

賑やかさから一転
ピロティーになった建物の足元を潜り抜け一
歩、足を踏み入れると、そこは表の賑やか
さとは異なり、落ち着いた雰囲気を醸す芝
生の中庭が準備されていました。静けさの
奥にはレストランがあったり、草間彌生さ
んの商品が買えるギフトショップもありま
した。

時間の関係で中には入りませんでしたが、お
そらく常設展示が草間彌生さんの作品展示で、
企画展示が他の方の作品展示と言うことなの
でしょう。この日も駐車場からすぐ近くの展
示室では企画展示が行われていました。

松本市立博物館
一方、松本城への道すがら脇を通り抜けただ
けでしたが松本市立博物館では「日本刀は美
しい」と言う特別展が開催されていたようで、
対側の歩道から認識出来るほど大きなポスタ
ーが興味を誘ってきました。松本城へ行くこ
とが第一の目的でしたので、この誘惑には負
けまいと、後ろ髪をひかれる思いで歩を進め
るのでした。多分、外国人の方には刺さる展
示だったことと思います。

まつもと市民芸術館
3つ目は、まつもと市民芸術館です。ここは
演芸や観劇を鑑賞できる所のようで、間口
に対して奥行きの長い建物で建物全景を把
握することが出来ませんでしたが、建築家
の伊藤豊雄さん設計の建物と言うことで興
味深々に立ち寄りました。建物は幾つかの
立方体や楕円筒や円柱が組み合わさり構成
されているようで、内部までじっくり拝見
出来なかったのは心残りでしたが、その雰
囲気だけでも感じ取ることが出来たのは収
穫となりました。

松本まるごと博物館構想
と駆け足で巡っただけでも幾つかの美術館、
博物館を目にすることが出来ましたが他にも
小さな施設が点在しているようです。なんで
も松本市は市全体をひとつの博物館とみなす
「松本まるごと博物館構想」と言う取り組み
を行われているようで、どうりで多いなあと
感じた訳です。

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国宝

次は
茅野を後にし、特急で向かった先は松本です。
松本市は長野県内では比較的大きな都市にな
るのでしょう、駅前から広がる街の雰囲気か
らも、それが伝わってきましたが、同時に観
光客の多さも目につきました。恐らく日本文
化の色香が海外の方々を惹きつけるのでしょ
うね。

駅を降りてまず向かった先は国宝松本城です。
駅からは少し離れた位置にあるようでしたが、
歩きの範囲内と言うことで地道に歩いて向か
うことにしました。

大阪城や姫路城など、比較的大きなお城を見
ている関西人としては、小ぶりな印象でした。
お濠の脇にある、これが天守閣だとは思わず、
大きめの櫓の一つだと思って入場しました。

何故、これを櫓と思ったのかですが、以前震
災後の熊本城を見たことがあり、その櫓の一
つがお濠の隅を固めるように配置されてたの
です。なので、ここも同じくお濠の隅にある
櫓と思っていました。

意外に難敵
所が入場してみると、これが天守閣だったと
は意外でした。しかし、そんな小ぶりのイメ
ージとはかけ離れ、天守に向かう階段は途中
け上げ(段差)40cmもあるような部分が
あります。け上げ40cmとは通常の階段の
倍の高さですので、足腰が悪い方やお子様連
れの方にはかなりタフなお城です。それを甲
冑などの防具を身に着けた武士たちが上り下
りしていたことを考えると、かなりの難所の
ようにも想像しました。

足腰が悪い人やお子様連れはご注意を
上階ほど人数制限が設けられ、又上階は階段
も一つしかないため上がる人と降りる人が交
錯する部分もあったり時には交互通行にされ
たりで混みあいます。又途中で足を踏み外し
持っていた携帯が手元を離れ、下の人の頭に
当たる事故が発生したり、こんな事故が起こ
りやすいことは、予想が出来ることでもある
ため、もう少し入場口で厳しく制限を設ける
べきではないかとも思いました。恐らく皆さ
ん簡単に上がれると思い込んで来ているはず
で、こんなのとは想像していなかったはずで
す。

ちょうなハツリ
下層階の梁は写真のように、ちょうなハツリ
の痕跡がありましたが、上層階に行くと、そ
のような跡がなかったのと、写真のような金
属のブレースが梁を貫通し設けられていたた
め、後の時代に修復または補修などで架け替
えられたのかもしれないなと思います。

守護神
最上階の天井は井桁組された架構の中に二十
六夜神と呼ぶ松本城を守る神様が飾られてい
ました。

松本の街
最上階から眺める松本の街は南側以外の景色
が素晴らしく、上写真は西、北、東の順に並
んでいると思います。街と山が非常に近くに
ある内陸の地方都市は、丹波では感じられな
い都会感もあり、何よりも最高の青空がこの
日の気分を高揚させてくれました。

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お詣り

御柱祭
藤森建築を後にして向かったのは市の境界を
跨ぐものの、少しだけ先にある諏訪大社上社
本宮です。ここは御柱祭と呼ばれる見ている
だけでも、そら恐ろしそうな大木を坂から落
とす、あの神事が行われる神社です。

実際の会場は少し離れた場所にあるようです
が、映像を見ているだけでも柱の上に載って
いる人々の身の危険を案じずにはいれません
が、あの神事、坂から木を落とす前に未だ序
章があるようで、山から木を伐りだして麓に
下ろしてくるのも又その神事の一環として行
われるようで、実に長い日時を掛けて行われ
るものだなあと感心します。

実際に参加される方々の人出をどのようにし
て確保しておられるのかも関心があります。
何せ過疎化が進む地方の街の神事ですので、
おそらくどこも人手確保に苦心されているも
のと想像します。

参拝
私がアプローチしたのは正面鳥居側ではなく
東側にある鳥居の方から神社境内に入りまし
た。

いよいよ境内へ
国の重要文化財でもある入口御門を潜ると布
橋を渡ります。

本殿のない神社
こちらの神社は本殿がないそうですが山や神
木などの自然を神とする自然崇拝信仰が残っ
ているためだそうです。春宮では杉、秋宮で
はイチイの古木がご神木として祀られている
そうで、どうりで冒頭の御柱祭の神事が荘厳
であることと符合します。私も普段、国産木
材である杉やヒノキを材料とした建築づくり
に携わっていることもあり、神々への良いご
挨拶が出来たのではないかと思います。

速足でしたが諏訪大社上社本宮へのお詣りを
済ませ、次の場所へと向かうのでした。

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建物探訪2

守矢資料館を後にして直ぐ近くの藤森建築、
空飛ぶ泥船、高過庵、低過庵、五庵を訪問。

空飛ぶ泥船
まさに空を飛んでいるようにも見えますが、
UFOもののテレビなどで見る綺麗な円形では
なく、少しいびつな形で、ぼてっとしたフォ
ルムに愛着が沸きます。テンションを掛けて
引っ張り上げているのですが、テンションを
掛ける位置によってバランスを崩し上下逆さ
まになってもおかしくなさそうですが、強風
時などは、どうされているのでしょう?空飛
ぶ泥船が建つ敷地は少し高台になった途中に
あり、向かい側の街の景色や山並みが美しく
眺めることが出来るのだと思います。

高過庵(たかすぎあん)
アメリカのTIME誌で、世界でもっとも危
険な建物トップ10に選出されたこともある
そうで、確かに途中にある踊り場まで到達す
るだけでも怖そうですが、中からの景色はど
のようなものでしょうか?ゲゲゲの鬼太郎が
住んでいてもおかしくなさそうです。

高過庵と低過庵の対比。
低過庵が半分地中に埋まっているような感じ
になっているため、その差が際立ちます。

低過庵(ひくすぎあん)
段差のある土地の低い側に建てられているた
め、段の上側からは半分地中に埋まっている
ように見えます。スライドして開くらしい屋
根のために設けられているレールも建築に馴
染んでいます。

五庵
今回、訪れた藤森建築の中では最も新しい建
物です。先ほどの建物とは少し離れた住宅地
の中の空き地にある巨岩の上に建っています。
2021年に開催されたパビリオン・トウキ
ョウ2021で展示された高床式の茶室を一
旦解体して、この場所に再建されたそうです。
翼を広げた鳥の頭にちょこんと載せられた帽
子のような屋根が愛らしくもあります。

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建物探訪

高部公民館を後にして、向かった先は神長官守矢資料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)です。神長官守矢家は古代から明治の初めまで諏訪上社の神長官と言う役職を勤めてきた家なのだそうです。

こちらも4本の木が屋根を貫きます。この木はイチイの木だそうで、高部の集落を歩いて得たものだそうです。

柱が屋根を貫通する部分のディテールです。パイプを屋根に埋め込んで、その間を柱が通り抜けています。多分、雨の日はここから雨が漏ってきているんだろうなと思いますが潔い納まりです。

入った所でお金を払い、パンフレットを貰って、早速内部へ。写真撮影OKとのことで、さほど広くはない内部ですが、目の前の展示が、やけに気になります。

ウサギの串刺し、鹿の頭、25頭のイノシシと鹿の頭。流石にウサギの串刺しはショッキングですが、鹿やイノシシの頭は、昔のお金持ちの家に飾ってあるイメージですが、丹波でも生きている鹿は時々見かけるので、珍しさは感じませんでした。でも、1頭だけ頭が置いてある鹿は今にも話し出しそうで風格を感じました。諏訪上社では剥製の鹿の首で神事が行われるそうです。

トイレ周りの窓や戸のディテールです。既製品は一切なし、全てが制作物で、ガラスも平滑でなく微妙な凹凸に気泡が世界観に味を加えます。

この階段は上ってみたかったけど、ロープが張られてあったので見るだけでした。2階には収納庫と倉庫があるそうです。

この窓が開いている所を見たかったのですが、残念ながらこの日は閉まっていました。

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長野出張

先週、長野県へ出張して来ました。目的は現
地調査を兼ねた打ち合わせのためですが、長
野県へはスキーをしていた頃に良く行ってた
のですが、独立後はスキーをすることもなく
なったため、かなり久しぶりの訪問になりま
した。

お伺いしたのは岡谷市と呼ぶ諏訪湖のほとり
にある街です。名古屋駅からは特急しなのに
乗り山間を走ります。丹波を出発して6時間
少し、丁度お昼頃に到着しました。

午後からはヒアリングや打ち合わせ後に現地
確認及び調査に時間を費やしました。また、
そちらの進捗は追って挙げて行くことにしま
す。

当日の滞在は駅前のホテルです。チェックイ
ンしたのは既に日が沈んだ後でしたので窓の
外の景色が分かりませんでしたが、翌朝、窓
から外の景色を眺めると僅かに諏訪湖の水面
が顔を出していました。(下写真)

翌朝、知らない街に来た場合は恒例の建物探
訪です。お隣の茅野市には藤森輝信さん設計
の建物が点在しているとのことで、朝早くか
ら茅野に移動です。朝の電車は丁度、通学時
間帯で多くの学生さんとともに観光客らしい
人々の姿も見受けられました。茅野駅から目
的地までは距離にして2キロ少しです。微妙な
距離で移動手段を模索しましたが、結局徒歩
を選択しました。

徒歩で移動する理由は、マークしていなかっ
た建物や街並みに出会える可能性が非常に高
いからです。但し、これは距離に限界がある
ので、私の場合は3キロくらいまでと思います。
ウォーキングで歩く距離が大体、それくらい
なのです。

で、一番最初に訪問したのが比較的近年に完
成したとされている高部公民館です。交通量
の多い道路沿いに、ふと現れる、らしさ全開
の外観は誰が何と言おうと藤森さんの設計に
よるものと一目で分かります。

柱が屋根を貫き、銅板を揉みこんで張った屋
根、黒い焼き板の外壁に漆喰で縁取りされた
窓。

建物に近寄るに従ってわくわくする気持ちと
にんまりする顔、傍から見ていると変かもし
れませんが多分、建築好きに共通する行動や
表情なのかもしれませんね。

建物の足元を隠すように鉄平石を張らずに立
てかけるだけなのは新鮮でした。

2枚目の写真から道路にそって少し進むと建
物の裏側を走る細い道路と合流する三叉路に
なります。敷地は三叉路の側に行くに従い絞
り込まれるようになります。ここから裏道側
に回ると二つの入り口があります。そして、
こちら側の屋根は銅板を揉み込んだようなく
しゃくしゃものではなく、一般のたてひら葺
き。おそらく予算のこともあったのでしょう。

竪樋を設けずに写真のように軒樋からの水を
そのまま地面に落とす潔いデティールです。

柱の足元は、どうなっているんだろう?銅板
が巻いてるのは分かりますが、その下の黄色
い部分はコンクリートの基礎の上に何かしら
の仕上げを施しているようにも見えますが、
柱は固定されているのか?はたまた置いてあ
るだけなのか?

流石に内部を見ることは出来ませんでしたが、
小さな建物がどのように活用されているのか
も気になります。

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リノベーションについて その20

しばらく続けてきました、「リノベーション
について」シリーズですが、一旦これまでの
内容をまとめて、締めにしようと思います。

又、時期を見て「その21」から再開するか
もしれませんが、その時には宜しくお願い致
します。


まとめ
1.建築確認申請が必要になることがある
壁、柱、床、はり、屋根又は階段の1か所で
も過半に及ぶ工事がされる場合は確実に建築
確認申請の提出が必要になります。例えば階
段の位置や向きを変えるだけでも建築確認申
請が必要になります。必要なら提出すればい
いやん、と思われるかもしれませんね。

只、提出だけで済むのなら何の苦労も無いの
ですが、建築確認申請を提出するということ
は階段以外のあらゆる部分を現在の建築基準
法に従ってグレードアップしていかないとい
けません。それだけ皆さんの金銭的負担も増
えます。様々にハードルが上がることをお分
かりいただけますでしょうか?

2. 耐震性や断熱性も考える
リノベーションでは出来上がりの表面的な部
分が注目を浴び勝ちです。例えばキッチンが
新しいのになり嬉しい、とか、お風呂がユニ
ットバスに変わり便利になったとか、見た目
に分かりやすい部分の評価はしやすいのです
が、折角、大々的に建物を触るのなら耐震性
や断熱性についてもグレードを上げておくべ
きなんです。

耐震性なんて、「いつ地震が来るのかも分から
ないのに」とか「あと何年、この家に住むか
分からないのに」などとネガティブ発言を耳
にすることもあるのですが、やっておくこと
で精神的な安定に繋がりますし、ついでにす
ることで費用を抑えることが出来たり補助金
を使えることだって出来ます。

又断熱性を上げることで、ご自身の暮らしが
劇的に変わります「こんなに暖かくなるんだ
ったら、もっと早くやっておけば良かった」
と仰る方も多くいらっしゃいます。ご自身の
身体に優しくヒートショックの心配も減らせ
ることから、特に冷え性の方、アトピーや喘
息をお持ちの方やご年配の方には是非とも考
慮していただきたいと思います。

3. 事前の調査が重要
人間も健康診断を受けたり人間ドッグに入っ
たりしてメンテナンスをするように、建物も
あらゆる面から調査をしておくことで、その
建物が持つ問題点を把握しやすくなります。
先の耐震性や断熱性の問題を解決するにして
も調査が丁寧に行われることで、より的確な
補強や修繕を行いやすくなります。

4. 構造種別
建物は木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造な
ど様々な構造種別があります。日本の戸建て
住宅では殆どの建物が木造で出来ていますが、
木造は自由度も高く、何度も増改築を繰り返
しながら住み継がれていて、それが良い場合
もありますが、逆にそれが雨漏りの原因を生
んだり、構造的な欠陥を生んだり、欠点にな
る場合もあります。

又、集合住宅(マンションやアパートなど)
では鉄筋コンクリート造や鉄骨造が採用され
ることも多く、木造のような自由度はありま
せんので無茶な増改築はし難い建物と言えま
す。但し、一旦つくってしまうと、後から躯
体に穴を空けたりすることが難しいため特に
設備機器を更新する際に問題となるのがそれ
らの配管配線を、どのような方法で躯体を貫
通させるのかと言うことです。新築する場合
は、それらを見越して先に予備の穴をあけて
おくなどするのですが、リノベーションの場
合は特に躯体への配慮が必要になります。

5. 設備機器の更新
構造種別は置いておきリノベーションでは設
備機器の更新をされる方も多いと思います。
特にオール電化にするのか、ガスも併用にす
るのか、あるいは太陽光発電を導入するのか、
マニアックですが、オフグリッドと呼ぶ管や
線をつなぐことなく、電力や水を自力で調達
する方法もあります。

それらのメリット、デメリット、ご自身の生
活に照らし合わせて、どの方法が最もライフ
スタイルに適しているのか、を見直すのも、
この機会に見直してみるのも良いと思います。

6. 点検商法にはお気を付けください
最近は随分と減っているのかもしれませんが、
住宅系の工事で訪問営業でやってくるのは、
殆ど怪しんで良いと思います。困った場合は、
一人で判断せずに、誰かに相談する。それが
無理なら御家族が気を付けていただくと言っ
たオーソドックスな対処方法しかないと思い
ます。「身内に建築工事の関係者が居るから、
御社には頼めません。」と言った方便で切り
抜けることも考えてみて下さい。

7. WHOでは
WHO(世界保健機関)では住まいと健康に
関するガイドラインにおいて冬季の室内温度
は18℃以上が好ましいと勧告しています。
冬の室温が18℃以上であれば呼吸器系疾患
や心血管系疾患のリスクが低減できると確認
されたからです。また高齢者や子どもの場合
は、さらに暖かい環境が必要であることも述
べています。
詳しくは、こちら をご覧ください(PDFが開
きます)

8. 温熱測定
当事務所では新築で出来たお住まいや、リノ
ベーション前後のお住まいの温熱測定を実施
させていただいています。これは前述の「W
HOでは」にも関係しますが、実際に出来た
お住まいの室温を把握しておくことで、この
仕様であればこれくらいの室温を確保できる
と、皆さまに、お伝えできるようにすること、
とともにデータを分析し、今後の改善にも生
かすために蓄積させていただいています。そ
のためには、こちらの意向を汲んで適切に施
工していただける施工者さんのご協力も大事
になります。

9. 石場建ての建物
基礎の無い建物を、石場建て構法と呼ぶので
すが昨今、このような建物を購入して住んだ
り、用途変更して他の用途の建物として生か
したいと言う需要があります。但し、用途変
更する場合、床面積が200㎡以上になる場
合は用途変更のための書類手続きが必要とな
ります。手続きが必要になると言うことは当
然、耐震の面でも断熱の面でも現在の法を順
守する必要が生じる訳です。

出来るだけ現在の面影を変えずに手を加える
にしても、法順守のための根拠が必要になり
ます。それらの根拠を示すのは、全て何らか
の計算をする必要が生じます。石場建ての構
造安全性を検証するには限界耐力計算が向い
ていると言われています。しかし、この計算
を出来る人は未だ少ないのですが、私も時間
を見つけて取り組んでみようかと思いますが
現段階では未だ出来ていないのが現状です。
出来るようになった暁には又公表させていた
だきます。

10. 住宅医と言う選択肢
私も登録している住宅医と呼ぶ民間の制度が
あります。これは、ここまでに取り上げてき
たリノベーションにおける問題点を調査の上
に洗い出して、最善を尽くし改善しようと言
った取り組みをされている方々の集まりです。
詳しくは こちら をご覧ください。


と言う訳で20章に渡りお伝えしてきました
「リノベーションについて」シリーズも、こ
こまでで一旦、締めとさせていただきますが
又ウェブサイトにもリノベーションの専門ペ
ージを増やしたいと思いますので、ご期待下
さい。ありがとうございました。

次回からは通常のブログに戻りますので宜し
くお願いいたします。

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リノベーションについて その19

雨漏りはとても気になる
このシリーズの「その8」の時に屋根替え工事
をした時の写真を少しだけ紹介させていただき
ましたが、リフォームやリノベーションでは屋
根からの雨漏りも気になる部位になります。昔
の建物では下屋の防水シートの立ち上がりが少
なく、その立ち上がり不足の部分から台風など
で雨が巻き上げられると、大変な雨漏りとなっ
て部屋の中を濡らしてしまいます。

立ち上がりとは
写真が下屋の防水シートの立ち上がりを写した
ものです。立ち上がりとは垂直壁面に沿ってど
れくらいシートが立ち上がっているかを指すの
ですが、この写真で約30cmほど立ち上がっ
ています。

昔の建物では
ところが昔の建物では5cmほどしか立ち上が
っていません。それでは強風で雨が巻き上げら
れると防水シートを乗り越えて建物の内側に入
り込み1階の天井から雨が漏り始めます。天井
に雨染みがあるのは、おそらくそれが原因の可
能性が高いと思いますが、他にも谷樋になって
いて、その谷樋が銅板で葺かれているため酸性
雨で銅板が腐食し穴が開いて雨漏りになる可能
性も高くなります。

シンプルが一番
屋根の形状は出来るだけシンプルである方が雨
漏りの可能性を下げることが出来ます。屋根の
形状がシンプルと言うことは平面形状も同様に
シンプルであると言うことになります。

屋根替え
話が逸れましたが、屋根替えに話を戻します。
この建物は元々、茅葺であった屋根の上から
茅を下ろさず、その上から鉄板を被せた、い
わゆる缶詰と呼ばれる状態になっている屋根
です。

ご予算の関係で屋根だけを葺き替える提案を
させていただきました。内部は屋根を支える
構造体が繰り返された積雪などの重みに堪え
兼ねて、折れてしまい、応急処置が施された
状態でした。天井裏に上がると屋根板も脆く、
危うく踏み抜きそうになりました。

一見、立派に見える梁も割と華奢で、余計な
荷重を載せるとたわみも大きくなりそうでし
た。そのため屋根架構は出来るだけ下部に柱
のある個所に屋根を支える束を置き、成立さ
せることを考えました。又屋根勾配も写真ほ
どきつくすると、屋根面に足場を設けないと
いけないため、屋根替え後の勾配は少し緩く
なっていますが、それでも6寸勾配(約31°)
もあります。

割と華奢
写真から、複雑な屋根組ですが、割と華奢な
梁サイズであることをお分かりいただけると
思います。

扠首組
屋根は扠首組(さすぐみ)と呼ぶ軒桁より上
の部分を置いてあるだけの構造なので、屋根
の解体は比較的楽なんです。

屋根の解体
そのため、一旦屋根を取り払った状態が上の
写真なのですが、見事にフラットな状態が生
まれています。

定点観測
同じ場所から屋根が出来上がって行く様子が
分かります。

余計な負担をかけない
屋根の形状が対象になっていないのは、先述
した下に柱が建つ位置に小屋束(屋根を支え
る部材)を立てたためで、そうすることで華
奢な梁に余計な負担を掛けずに済みます。何
も考えずに以前と同じように対称形の屋根に
してしまうと、長期目線で建物の寿命を縮め
ることになります。見た目こそ大きく変わり
ましたが、屋根の大きさは健在です。

リノベーションとは
リノベーションとは単に直すだけの行為では
なく、事前の調査を元に、建物の特徴を把握
し長期目線で建物のことをより良い状態にす
る行為です。

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リノベーションについて その18

築40数年の住まいを測定
前回は、築20数年のお住まいのリノベーシ
ョンした部屋としていない部屋の温熱測定結
果を比較してみました。

建築年代から考えると20数年前のお住まい
では、厚みこそ薄い物でしたが天井及び壁に
はわずかに断熱材が入っていました。

では、もう少し築年数が古いお住まいではど
うか?と言うことで築40数年のお住まいの
温熱測定をしています。現段階で特に工事の
予定は無いため工事前後の比較はできません
が公開させていただきます。こちらのお住ま
いは内外ともに真壁造の土壁仕様で無断熱の
住宅です。

2階寝室の室温
2023年2月15日から2月21日までの
7日間、2階の寝室を測定したもので、昼間
はほとんど在室していないため、リビングな
どのように暖房が常についている訳ではない
ため、より室温は低くなりがちだと思ってい
ただければ幸いです。

赤が室温、青が湿度で最低室温3.9℃、平
均室温8.9℃と、とても寒いのですが、後
半はやや室温も上がり気味で、外気温にひっ
ぱられて、やはり無断熱住宅だと、こんなも
のか、と言う気もします。

内外真壁の家では外気温による影響大
そして、こちらの表は同地域のアメダスデー
タで赤囲みの範囲が測定期間になります。測
定期間前半3日間は、最低気温がマイナスに
なる寒い日が続きましたが2月19日辺りは
平均気温が10℃を超える、この時期にして
は比較的暖かめの日があります。

このようなお住まいに、どのように断熱補強
をすべきか?難しい判断ですが、土壁の長所
を生かすなら室内は真壁のままで外壁側に断
熱措置を施した上で、内外真壁の短所である
雨対策を強化すべく屋外側は大壁として仕上
げるべきと考えます。

内外真壁の建物の改修
上の2枚の写真は先の温熱測定のデータの建
物ではありませんが、内外真壁のお寺の庫裏
の改修工事前後のものです。1枚目が工事前
で2枚目が工事後になります。2階部分は手
を入れていないため、変化はありませんが1
階部分は断熱改修も含めて水回りを増設して
います。隙間だらけの木製窓は取り替え、建
物の外側は焼き板を貼って大壁仕上げとして
います。

もっと早くやっておけば
工事後、住職からうかがったお話では「工事
前と比べると全然あったかくて、こんなに変
わるんだったら、もっと早く工事をしておけ
ばよかった」とおしゃっておられました。断
熱改修を行うと殆どの方が「もっと早くやっ
ておけば・・・」とおっしゃいます。それほ
ど、寒さと言うのは年齢を重ねれば重ねるほ
ど身体に堪えるようになります。温度差によ
るヒートショックの可能性も高くなります。

全面改修は難しくても
全面改修は難しくても長時間滞在するLDK
+水回りだけの改修を考える方も増えていま
す。欲を出すなら寝室も改修出来れば快適な
睡眠時間をもたらせてくれることと思います。

限られた予算の中で何が出来るのかを皆さん
と一緒に考え、そしてこのようなデータの蓄
積から結果を分析し、常に最善の方法を求め
続け、提案出来ることが私どもの強みでもあ
ります。

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Narito Ashida Narito Ashida

リノベーションについて その17

断熱工事の効果
このシリーズの「その3」の時に断熱の話を
少しさせていただきましたが、今回はその効
果についてお話をさせていただきます。

今年の4月から新しく建つ住宅については省
エネ住宅の義務化により、全て一定の省エネ
性能を有することを求められるようになりま
した。

既存住宅は法の外か?
では既存住宅はと言うと法の網からは外れ、
取り残されています。但し、国の制度によっ
て内窓を入れたり、高断熱化工事や高効率機
器の導入に対して補助金が与えられています。

暑い寒いは身体に堪える
個々では住まいの暑い寒いを何とかしたいと
言う要望も多く、昨今夏の異常な暑さは特に
年配の方の身体にも堪えます。そして結露も、
何とかしたい現象の一つでしょう。


実測データより
次のグラフは2階建て住宅の1階のみを断熱
工事も含めたリノベーションをしたお住まい
の温熱測定結果です。1枚目が工事をした後
の1階の測定結果で2枚目は同お住まいの工
事をしていない2階の測定結果です。どちら
も測定期間は同じです。

1枚目は赤と青の線が交錯していますが2枚
目はそれらの線が交錯していません。これは
エラーでは無く、新しく購入した測定機器と
以前に購入していた測定機器による表示方法
の違いです。

1枚目は縦軸がグラフの両端に目盛りを設け
てあり左の縦軸が室温を右の縦軸が湿度を現
わしています。一方2枚目は縦軸は左端にし
か無く室温も湿度も同じになっているため線
の交錯の有無が生まれます。

どちらも赤が室温で青が湿度を現わしていま
す。何れも2021年2月14日から同2月
23日まで測定していて、工事をした後の1
階は平均室温が16.2℃、一方工事をして
いない2階は平均室温12.2℃で、その差
が4℃もあります。

但し、滞在時間が長くなる1階は平均室温も
高くなりがちなため、どう比較すべきかが難
しい所ですが、最低室温を比べてみると工事
をした1階は10.3℃、工事をしていない
2階では4.5℃と倍以上もの違いが生まれ
ています。

最低室温の差に注目
最低室温とは要するに保温力の違いです。夜
寝る前に暖房をオフにしてから朝起きて暖房
をオンにする直前までに室温がどれほど下が
るのか、10℃以上あれば布団から出て上着
を羽織れば、そんなに寒さを我慢せずに、す
ぐにでも行動できる温度です。私の場合は。

一方4.5℃になると、先ず布団から出るの
に勇気を振り絞る必要があり、布団から出た
としても直ぐに上着を着込まないと、寒すぎ
て行動さえ起こせません。それほどの差が今
回の工事でついたのです。逆を言えば差が付
いたことで、やっぱり2階も断熱工事をした
いと言う要望が生まれてもおかしくありませ
ん。

WHOでは
WHO(世界保健機関)では、2018年に、
住まいと健康に関するガイドラインにおいて
冬季の室内温度は18℃以上が好ましいと勧
告しています。これは、冬の室温が18℃以上
であれば、呼吸器系疾患や心血管疾患のリス
クが低減できると確認されたからです。また、
高齢者や子どもの場合は、さらに暖かい環境
が必要であることも述べています。

室温18℃への挑戦
先述の当方の測定結果によると、室温18℃
までには少し及んでいません。これは部分間
歇暖房と言う日本の暖房方法が影響している
と考えています。

部分間歇暖房とは人が居住する部屋で起きて
いる時間のみ暖房を運転することを指すので
すが、24時間連続冷暖房システムを採用し
ていないお住まいでは、殆どが部分間歇暖房
になると思います。人が居ない部屋と人が寝
ている時には暖房がオフになるため室温は下
がるしかありません。しかし平均でなら18
℃は目指せる可能性はあるので、もう少し改
良すべき点や住まい方の工夫で達成できるラ
インかと思っております。

特別ページもご覧下さい
因みに、既出のグラフのお住まいのインタビ
ューを含めた特別ページも作っています。

宜しければ、こちら もご覧下さい。
リノベーション特別ページ

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