9T+ / 2022年
塀に頼らずとも、プランの工夫により外からの視線を遮る工夫をしています。生活のメインスペースを9坪の建坪に収め、そこに水回りが取り付くことから付けたネーミングが「9T+」です。断熱気密性に拘った長期優良住宅となっています。
断熱性を高めることで得られる効果は室内環境の向上にありますが、その効果は特に冬に発揮されます。
建物内の温度が一定に保たれ、居間は暖かいけど洗面所や脱衣場、トイレが寒いと言ったことがなくなります。そうなると極端な温度差が原因となるヒートショックも起きにくくなります。又循環器系の疾病や皮膚疾患にも効果が高いと言われます。
実際に住まい手さんもエアコンが直ぐに効きますと仰っておられ、その効果のほどを実感されています。
又、一旦暖まった熱は窓からその多くが逃げていくのですが、その窓の性能を適材適所に配置し、熱の逃げを最小限に留めています。
このようにすることで結果的に、光熱費の抑制にもつながります。
南面の大きな窓とガラスの性能を上げ、その他の面には大きな窓を配置していません。
こちらのお住まいでは外張り断熱や付加断熱など特別なことをしている訳でもなく通常の充填断熱で施工しています。と言うことはコスト面でも大きなプラスが発生している訳でもありません。
エアコンも9坪(18畳)の空間に8畳用のエアコン1台で十分に効果を発揮できているのですが、これは外皮性能計算と、暖房負荷計算を根拠に算出したものですので、これくらいでいけるであろうとの推測で割り出している訳ではありません。つまり、ちゃんと裏付けがあり、実際にも問題無いことが確認出来ているからこそ、自信をもって大丈夫と言えるのです。
建築場所 兵庫県
敷地面積 246.75 ㎡
建築面積 46.72 ㎡
1階床面積 45.55 ㎡
2階床面積 29.81 ㎡
Ua値 0.49 W/㎡K (外皮性能)
ηa値 1.6 % (日射熱取得率)
C値 1.0 (気密性能測定値)
玄関ドアの正面に植栽を配置し、植栽が育った際に玄関の目隠しとして貢献することを狙っています。
外構は今後徐々に整えられる予定です
キッチンの対面カウンターは小上がりに腰を掛けて利用でき、多目的に利用することを想定しています。
シンクとガス台が別になったセパレートキッチンは意外に省スペースで成立し、冷蔵庫の出っ張りも気にならずに収まります。
空間の1/4を占める小上がりは座ったり、寝転んだり思い思いの過ごし方が出来る場所です。
ガスコンロを使用しているため延焼の可能性のある部分の天井は防火上の制約を受け、石膏ボードを貼って塗装仕上げの白い天井になっています。
施工 / 有限会社 あかい工房
撮影 / 中村写真工房
初期案
初期案では玄関へのアプローチや南面デッキをコンクリートスラブにより浮かせる予定でした。資材高騰による影響を受け、最終的に建物ボリュームを含め、それらも少し見直すことにしました。
二期工事で外構が整いました