高台の景色を生かしたピアノ教室のある家(2015年)
「崖の上のポニョ 」よろしく、眼下を見下ろす高台に住みたい、から始まった土地探しは紆余曲折を経て、不動産業者を介さずに、土地所有者との直接交渉により実現しました。
運よく見つかっ土地の選択ですが、ここに拘ったのは、どこにもアクセスが良いため、お子様に将来の選択肢を増やしてあげられるとの思いが込められています。
ピアノの先生をされている奥様からのご要望は「周りに気がね無くピアノを弾きたい」でした。そのために施された防音対策ですが、断熱も兼ねたセルロスファイバー+仕上げの過程に少し工夫を凝らした結果、かなり防音効果が得られています。
高台の景色を生かすこと、ピアノの音と切り分けるために、生活のメインを2階に設定しています。
建築場所 兵庫県篠山市
敷地面積 175.12㎡(52.97坪)
建築面積 87.11㎡(26.35坪)
延床面積 131.45㎡(39.76坪)
■ 低炭素建築物認定取得
Ua値 0.66 W/㎡K
ηA値 1.5 %
※ 最後まで見て頂くと、冬季の室温測定の結果も掲載しています。
左/立地は一見木々に囲まれた森のように見えますが、高台に開発された住宅地です
右/目の前はいきなり崖では無く遊歩道を挟むため、室内からの眺めは、下から見る程、高さを感じる事はありません
夜になって照明が灯ると木のシルエットが浮かび上がります
住まい専用の玄関(写真正面)とピアノ教室専用の玄関が向い合っています
左/エントランスの奥にある大きな窓を持つフリースペース
右/住宅部分のエントランス
防音の効いたピアノ教室では毎日、心ゆくまでピアノを弾くことが出来ます
2階に設置したプライベートスペースはコンパクトにまとめています
この写真はダイニングスペースです
キッチンに立つと窓の外には眼下の景色が広がります
コンパクトな住まいでは、親子の距離が近くなるメリットもあります
コンパクトな住まいでは家族それぞれが好きなことをしていても、直ぐに目の届く範囲に居るメリットがあります。
L字型に配置したダイニングとリビングをロフトから見下ろせます
窓を開け放てばバルコニーも、その空間の一部となります
左/主寝室
右/バルコニーは深く伸びた屋根に守られています
左/洗面
中/洗面所からもバルコニーに繋がります
右/ トイレ
室温測定
住まいの完成後、生活が落ち着いた頃合いを見計らって、室温測定機器を設置させて頂きました。
2016年1月8日から同15日までの1週間計測機器を設置させていただきました。
上図の赤線が温度の変化を、青線が湿度の変化を示します。縦軸に室温と湿度、横軸に日時変化を記しています。
計測期間中の最高室温は1月13日の午前7時頃で、21.7℃、最低室温は1月14日の午前7時頃に、12.4℃を記録してます。
そして期間中の平均室温は17.8℃でした。
最高室温や最低室温を境に急に室温が下降や上昇しているのは暖房をオフにしたりオンにしたりと言った人の生活のリズムに呼応しているためです。
そして下に掲載したのは同測定期間中の気象庁のアメダスデータです。
建設地市内にはアメダスポイントが無いので、地理的に最も近い位置のデータを採用していますが、測定期間中の室内温度と比較してみます。アメダスデータでは最低室温を示した日の最低外気温は1月14日で-3.3℃で室温との差は、およそ15.7℃です。
室内と屋外で測定のタイムラグはありますが、冬の真っ最中の朝でも、かなり暖かい室温であることが分かります。
冬季における、この室温の高さは人の健康にも影響を与えるため、体を冷やさない家として健康的に住んで頂ける裏付けにもなります。
施工 / 株式会社 大前工務店
撮影 / 中村写真工房