街並みの家(2018年)
市内でも徐々に姿を失いつつある妻入商家の古い街並みの中に建つ新築のお住まいです。
以前は、この場所にも街並みに貢献できる古い建物が建っていました。
しかし、その建物には水回り設備が無く、隣地に建つ母屋の離れとして物置部屋として使う以外ない状態でした。
最終的に若夫婦が母屋から独立した住まいとして機能させるために建て替えることに決意されました。
とは言え、街並みから姿を消すその建物への配慮から、新たに建てる建物の外観を街並みに寄与させるため
プライバシーを守りながら陽射しや風を導き、建物の顔となるよう縦格子で窓を覆いました。
この格子により生れた陰影が建物の外部にも内部にも様々な趣を生み出しています。
建築場所 兵庫県丹波市
敷地面積 98.57㎡(29.82㎡)
建築面積 51.11㎡(15.46㎡)
延床面積 97.71㎡(29.56㎡)
Ua値 0.57 W/㎡K
ηa値 2.5 %
南面外観
通りに面した大きな窓を格子で覆い、プライバシーを守り採光や通風を確保しています。
南面外観夜景
夜に照明を灯すと窓越しに綺麗な光がこぼれ出す。
東隣のお住まいは駐車場を確保するために道路から大きく後退して家を建てています。そのため、この建物の東側上空は採光を確保するためのスペースが空いており、そこから朝陽を取り込むように考えています。
左/コンパクトな玄関でも収納はしっかり確保しています。
右/コンパクトな住まいには工夫が必要でスペースを兼ねることもその手法の一つです。
ダイニング脇に設置された収納を拡張し、階段の一部としてしています。
ダイニングスペース
南面と東面に設置された窓から降り注ぐ陽射しが建物の中央にあるダイニングスペースも照らします。
左/キッチンは建物の一番奥の北寄りの位置で、家全体を見渡せます。
右/サンルームを介して家の中から空を眺めることも出来ます。
左/小さい吹抜ですが、採光と通風を確保する上で重要なスペースです。
右/サンルームの床は、うっかり窓を閉め忘れて、雨が降り込んでも平気なタイルで仕上げています。
寝室は開口部を絞って、少し落ち着いた雰囲気に仕上がっています。
施工 / 株式会社 谷川建築
撮影 / 中村写真工房