中庭のある家 / 2023年
地方のゆとりある敷地に建つ家に何故、中庭を設けたのか?
この住まいのお隣には某企業の社屋があり、その主執務室は2階に置かれています。ガラス張りの執務室からは、常に見下ろされているような視線が気になり、その視線を気にすることなく生活するには建物の形状や窓の配置も重要でした。
又、周囲の気配を気にせず生活したい、しかし完全に内向きになるのではなく程よく外部とは繋がっていたいと言う想いもあり
その解決策として少し開放的な「中庭」を導きました。
風が抜けたり、陽の移ろいや庭に咲く草木の顔で四季を感じられる、そんな中庭を目指しました。
入居後、住まい手さんは、あの窓からこんな景色を楽しめたり、夜になると少しだけ離れた所を走る列車の音や外で鳴き声を奏でる虫の音等を感じながら、この住まいでの生活を楽しまれています。
断熱や耐震と言った諸性能を確保することは、もはや当たり前のこととして捉え、更に先を見据えた居住環境を目指しました。
建築場所 兵庫県丹波市
敷地面積 605.86㎡
建築面積 116.43㎡
1階床面積 70.80㎡
2階床面積 44.72㎡
車庫面積 44.72㎡
延床面積 160.24㎡
Ua値 0.57W/㎡K
ηac値 2.4%
長期優良住宅
施 工 有限会社 あかい工房
造園工事 山本造園
撮 影 中村写真工房
東面全景
建物の背後にある山の稜線と屋根の勾配が符合し、見る角度によっては屋根の上に緑が乗っているようにも見えます。車2台が収まる車庫を兼ねてトンネル状のアプローチを設けました。トンネル状のアプローチの効果で門を設けなくても、人が玄関付近まで近づきにくくなると言う防犯効果も併せ持ちます。
東面外観
敷地にゆとりがあるため、建物の前に来客用の駐車スペースも設けています。
アプローチ(玄関に至るには、トンネル状の通路を通る)
トンネル状のアプローチの片側は塀を兼ねた高基礎になっていて、杉型枠の打ち放し仕上げとしています。
中庭
造園業者さんの提案と施工で中庭には四季折々に咲く草木を植え、一年を通し庭を楽しめるようにしています。
中庭
中庭
塀を兼ねた高基礎には通風と遊び心を持たせる意味で小さな穴を設けています。
中庭夜景
左)玄関ホールから見た廊下部分、右)玄関
ダイニングスペース
ダイニングスペース
リビングダイニングスペース
リビングダイニング(手前)、ピアノ置場と畳スペース(奥)
畳スペース(足元が掘り込み式になっているので、足を伸ばして洗濯物を畳んだり、アイロンを掛けたり出来ます)
エアコン下に椅子があるスペースはピアノ置場
キッチン(右)と家電棚(左)どちらも造り付けとしている
キッチンはシンプルに(魚焼グリルも食洗器も不要とのことで、キッチン周りは凄くスッキリ納まります)
上左)食堂から玄関ホールを見る 上中)2階廊下から吹抜を介した外の風景 上右)吹抜からの見下ろし
下左)2階廊下 下中)子供部屋(上部に設けた欄間からはぼんやりと明かりが入る) 下右)主寝室
主寝室
室温測定
一年で寒さの一番厳しい時期がやってくると効果検証の時期です。
と言う訳で2024年の1月22日~2月1日までの約10日間、室内の温度湿度を測定するデータロガーを設置させていただきました。
狙い通り、設置の翌日から最強寒波がやってきました。
赤い折れ線が温度の変化で、青い折れ線が湿度の変化です。主に赤い折れ線の温度変化に注目していただくと分かりやすいと思います。
こちらの住宅の仕様で、どの程度の結果が出るのか少し楽しみでしたが、平均室温が17.2℃と、まずまずの結果となりました。
24時間冷暖房の家ではなく、就寝時にはエアコンをオフにする部分間けつ暖房のため、エアコンをオフにすれば当然、室温が下がっていくことになります。そして、その低下度合いを探るのが、この測定の大きな目的の一つになります。
これまでの経験から、最低室温10℃を下回ることが無いことは確証していましたが、目標値の13℃までは、あともう少しです。
又、外気温を気象庁のアメダス観測データから読み取ると1月24日に最低外気温-3.4℃を記録しています。
同日の室内最低室温が12.8℃を記録し、室内外での温度差は16.2℃あったことになります。
暖かい住まいでは、人の活動も活発になり、より健康に過ごすことが出来ると言った検証結果も出ています。
住まいの温かさの追求は、これからも追及して参ります。