たつのの古民家リノベーション (2015年)
築100年以上、歴史にゆかりある家系のお住まいは数年前より空き家となっていました。
近所に住まわれていた、住まい手にとって、この建物は小さな頃からの憧れでもあったそうです。長屋門に蔵を持つ構造の建物は、その昔、庄屋さんだったそうです。もっと遡ると戦国武将の家系に行き着くそうです。住まい手さんは年貢として米が持ち込まれていたのを覚えているとも、話して下さいました。
そんな憧れの建物の行く先を重んじた住まい手は一大決心をされ、この建物を購入されました。
築100年以上と伺い、少し構えていましたが、内部を詳細に調査してみると、20~30年ほど前に大きくリフォームされた痕跡があちらこちらに見受けられました。
コンクリートの基礎が打たれ、和室の設えも、その頃に一新されたようで歴史的価値を生かした形の工事とすることも考えましたが、その面影を伺えるのは、かろうじて構造体のみです。であるなら、今様に暮らしやすく一新すべきとの判断を下しました。
母屋の南側には、使用時間の長いリビングダイニングキッチンを設け、北側には三間続きの和室を設けました。東側には水回りを設け、その近くに寝室を配置し、生活動線がコンパクトになるようにしています。又、長屋門と蔵は、将来地域のコミュニケーション拠点と出来るようにも配慮しています。
母屋の南側には主庭を整備し、玄関前の東側と和室から眺める北庭も整えました。
建築場所 兵庫県たつの市
リノベーション面積 164.64㎡ (49.8坪)
増築面積 8.85㎡ ( 2.6坪)
傷みの激しかった長屋門と蔵
焼き板を張り替え、漆喰を塗り直し、瓦を葺き替え門扉も新調しています
南面外観
森のように鬱蒼としていた庭も綺麗になりました
石灯籠は、この庭にあったものです
綺麗に整備された南庭
Before
左から
◆長屋門 傷みが激しい状態でした
◆露地 暫く空き家となっていたため全てにおいて傷みが激しい状態でした
◆南庭 庭の木々も伸び放題で森のような状態でした
玄関の位置を南側に寄せています(元の玄関は写真中央辺りの奥まった位置にありました)
玄関(元は増築された応接室でした)
Before
左から
◆露地の延長上に元の玄関がありました
◆元の玄関
◆増築された応接室
LDK
二間続きの和室と広縁のあったスペースは天井を高く確保したスペースです
ダイニングキッチンスペース
広縁の部分は天井高さを抑えています
内障子は全て完全に壁の中に引き込むことが出来ます
ダイニングスペース
Before
左から
◆広縁
◆和室から広縁を介し庭を眺める
◆仏間を備えた二間続きの和室
◆この和室は、その設えから建築当初のものでは無く数十年前の改装工事の時のものと推測出来ます
母屋の北側に設けた和室は三つ間続きの部屋です
襖一枚で南側のLDKに繋がります
主寝室
敷地の東端に位置します(元はダイニングキッチンスペースでした)
Before
左から
◆敷地の東端に位置するダイニングキッチンは工事後、主寝室に変わりました
◆母屋の中廊下を挟んだ北側の部屋は昼でも電気を点けないと薄暗い状態でした
◆同じく中廊下を挟んだ北側の部屋
施工 / 株式会社 ハウスインフォ
撮影 / 中村写真工房